AGA治療で頭皮への注射は必要?注入治療の効果や費用を解説

「AGA治療で行う注射は効果があるの?」「注射の費用はどれくらい?」とお悩みの方に向けて、この記事ではメソセラピーやHARG治療の効果、費用などについて詳しく解説しています。

目次

AGA治療を調べる中で、「飲み薬だけでなく、注射もしたほうがいいの?」「注射でもちゃんと効果は出るの?」と疑問に思っていませんか?そもそも、どのような種類があるのか、費用がどれくらいかかるのかも気になるところです。

そこで今回は、AGA治療で行う注射には効果があるのか、どのような効果が期待できるのかなどについて解説します。注射の種類や費用相場についても解説しているので、参考にしてみてください。

■ 本記事のサマリ

  • 注入治療は、注射器やガスを使って発毛促進成分を頭皮に直接注入する治療
  • 内服薬や外用薬と比較し、発毛効果が実感しやすく、短期間で効果が出る等の特徴がある
  • しかし、その分費用や通院の手間が掛かるデメリットもある
  • 一般的なAGA治療では、まず身体への負担が少ないAGA治療薬から開始し、注入治療に進むパターンが多い
  • AGA治療薬で効果が出なかった人や既に薄毛がかなり進行している人は注入治療も選択肢の一つ

AGA(男性型脱毛症)の主な治療方法は「内用薬」と「外用薬」

AGA(男性型脱毛症)の治療法にはいくつか種類がありますが、代表的なのは次の4つです。

  • 内服薬
  • 外用薬
  • 注入治療
  • 植毛

内服薬にはミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドがあります。
ミノキシジルは血行を促進したりヘアサイクルを整えたりすることで発毛を促すもの、フィナステリドとデュタステリドはAGAを進行させる原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑えるものです。

ミノキシジルは外用薬としても使用されています。一般的にはまず身体への負担が軽いと言われるこれらの内服薬や外用薬を使ってAGA治療を行うことが基本です。

そのほか、患者さんの希望や毛髪の状態によっては頭皮に成長因子や栄養素などを注射する注入治療、薄毛の部分に髪の毛を植え付ける植毛などもあります。

注入治療とは?特徴やメリット・デメリット

注入治療とは、注射器などを使って発毛促進に効果がある成分を頭皮に直接入れていく治療です。
内服薬や外用薬と比べるとメジャーではありませんが、女性でも行えたり効果を早く実感できたりなど、注入治療にしかないメリットもあるため注目されています。

注射(針)を使わない方法もある

頭皮に注射をすると聞くと、注射が苦手な方は「自分にはむりだ…」と思われるかもしれません。

注射器を使って何ヶ所も細かく注入していく方法もありますが、針を使用しない方法もあるのでご安心ください。炭酸ガスを噴射するときの圧力で有効成分を浸透させる方法等があります。

AGA注入治療のメリットは
「発毛実感の高さ」や「効果が出るまでの期間」

注入治療を行うメリットとして、次のものが挙げられます。

  • 内服薬や外用薬で効果がなかった方でも発毛を実感しやすい
  • 定期的な通院だけでよいので毎日のように薬を服用する必要がない
  • 効果が出るまでの期間が短い
  • 副作用のリスクが低い
  • 女性でも治療できる

注入治療は、ミノキシジルやフィナステリドの投薬でうまく効果が出なかった方でも効果が出やすい治療です。内服薬や外用薬のように毎日使う必要もありません。

薬を飲み忘れやすい方は、通院だけで済む注入治療のほうがスムーズに治療を進められることもあるでしょう。通院頻度は注入治療の種類によって異なりますが、2週間から1ヶ月に1度のことが一般的です。

また、効果が出るまでの期間が短いこともメリットとして挙げられます。内服薬や外用薬は発毛を実感できるまでに4〜6ヶ月ほどかかりますが、注入治療は有効成分を直接注入していくため、早く効果を実感しやすいのです。

フィナステリドやデュタステリドなどで見られることのある性欲減退や勃起機能不全(ED)などの副作用が起こるリスクも投薬治療と比べると高くありません。

女性の薄毛治療は選択肢が男性ほど多くありませんが、注入治療は男女関係なく受けられることもメリットです。

AGA注入治療のデメリットは
「コスト」や「通院の手間」

注入治療のデメリットとしては、次のものが挙げられます。

  • 内服薬や外用薬と比べると費用がかかる
  • 通院の手間がいる
  • 頭皮の腫れや内出血が起こることがある

内服薬や外用薬を使う場合は月に5,000〜10,000円程度が相場です。しかし注入治療の場合は、高いところでは1クールで最大200万円ほどします。

人によっては何クールか行う必要があるため、かなり費用がかかることを想定しておかなければ治療を続けることが難しくなってしまうでしょう。

また、軽くではありますが注入部位が腫れたり内出血を起こしたりすることがあります。

メソセラピーとは

AGAの注入治療では、メソセラピーとHARG(ハーグ)治療が代表的です。まずはメソセラピーについて詳しく見ていきましょう。

メソセラピーには針を使わない治療法もある

メソセラピーとは、注射針つきのローラーや炭酸ガスなどを使って有効成分を頭皮に浸透させる治療方法です。注射器を使うパピュール法やナパージュ法、針がついたローラーを使うダーマローラー法、針を使わないノーニードル法やフラクショナルレーザー法などがあります。

必ずしも注射針を使うわけではないため、針が苦手な方でも治療を受けやすいでしょう。1クール(6〜16回前後の注入)の治療を終えるのに約6ヶ月から1年かかります。治療頻度は2〜4週間に1回が目安です。多くの方が治療開始から3ヶ月ほどで効果を実感できるといわれています。

メソセラピーで使われる注入薬は様々

メソセラピーでは、さまざまな有効成分が使われることが特徴です。クリニックによって使用している成分はやや異なりますが、よく使われているものには次の成分があります。

ミノキシジルやフィナステリド

ミノキシジルは血行促進を促進し、ヘアサイクルを整える成分、フィナステリドはジヒドロテストステロンの産生を抑えてAGAの進行を抑える成分です。外用薬や内服薬としても使われますが、頭皮に直接注入することで髪の毛の成長をしっかり促進させます。

グロースファクター(成長因子)

グロースファクター(成長因子)とは、名前のとおり髪の毛の成長を促す成分です。ケラチノサイト成長因子(KGF)やインスリン様成長因子(IGF-1)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)などが治療によく用いられています。

クリニックによって使用するグロースファクターの種類が異なるため、気になる成分があるときは医師にあらかじめ確認しておきましょう。

幹細胞成長因子

幹細胞成長因子とは、ヒト肝細胞から抽出して作られた成長因子のことです。通常は目の細胞は目、皮膚の細胞は皮膚にしか分化できませんが、幹細胞はあらゆる細胞に分化できる力をもっています。

幹細胞成長因子には乱れたヘアサイクルを正常化する働きがあるといわれており、近年で多くの注目を集めている成分です。

その他の栄養素が使われることもある

コエンザイムQ10やミネラル、亜鉛や銅ペプチドなども一緒に注入されることがあります。メソセラピーの中心となる成分はミノキシジルやグロースファクターなどの成分ですが、発毛を補助するために栄養素も注入することがあるのです。どのような栄養素を使用するかはクリニックによって大きく異なります。

HARG(ハーグ)治療とは

AGAの注入治療としては、メソセラピーのほかにHARG(ハーグ)治療というものも有名です。メソセラピーと似ていますが、注入する成分に大きな違いがあります。

HARG(ハーグ)治療は注射を使うことが一般的

HARG治療とは、メソセラピーと同様に発毛に効果がある成分を頭皮から直接注入していく治療のことです。1クールを6~9回とし、月に1回施術を行っていきます。

注入方法は注射を使うことが一般的で、メソセラピーのように針を使わないノーニードル法やフラクショナルレーザー法などはありません。

HARG治療では注入する薬剤が高価なため、1回あたり9~20万円とかなりの費用がかかります。ただし、HARG治療に使う薬剤は日本医療毛髪再生研究会によって成分が決められているため、クリニックによって効果に違いが出にくいことが特徴です。

また、認定を受けたクリニックしか施術することができません。一方でメソセラピーには明確な定義がないため、使用している成分はクリニックによって異なります。

HARG(ハーグ)治療の方が有効成分が比較的多い

HARG治療で使われる注入薬は、HARGカクテルと呼ばれるものです。幹細胞や成長因子など150種類以上もの成分が配合されています。髪の毛を成長期へと誘導したり、毛包を成長させたりするだけでなく、抜け毛や薄毛の進行を予防するのにも効果的です。

多くの有効成分が配合されていますが、メソセラピーと比べてHARG治療のほうが優れているとは一概にいえません。コストなども含めて、医師と相談しながら自分に合う治療を見つけることが大切です。

AGA注入治療の費用相場

AGA治療のなかでも、注入治療は費用が高いことで知られています。せっかく治療効果が出てきたのに「資金が底をついて続けられない」とならないようにするためにも、費用の相場を確認しておきましょう。

メソセラピーの費用相場は10万~150万程度

メソセラピーの相場は、1回につき約17,000〜110,000円です。注入する薬剤の量や種類、何回コースで契約するかによって料金が変わります。
1クールが約6〜16回のため、総額費用は安くて102,000円、高いと1,760,000円ほどかかると見ておくとよいでしょう。

メソセラピーはクリニックによってどのような成分を含んでいるのかが違うため、値段だけで善し悪しを決めることはできません。予算も考えながら、自分が納得できるクリニックで治療を受けましょう。

HARG(ハーグ)治療の費用相場は50万~200万程度

HARG治療の相場は、1回につき約90,000〜220,000円です。注入していく範囲によって価格が異なるクリニックもあります。
1クールの治療にかかる総額は約540,000〜1,980,000円ほどになるため、決して安い金額とは言えません。

クリニックによってはプラスアルファで独自の成分も同時に注射しているところもあります。値段だけでなく、治療の詳細についてもしっかり調べたうえで治療を受けるようにしましょう。

AGA治療は投薬治療から始めるのがおすすめ

AGA治療を始める場合、最初からメソセラピーやHARG治療を行うのはあまりおすすめできません。内服薬や外用薬と比べると、費用がかなり高いためです。

また、日本皮膚科学会が公表している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」では成長因子導入および細胞移植療法の治療については推奨度C2(行わないほうがよい)とされています。これは、ガイドラインが作成された時点で安全性や有効性がまだしっかりとわかっていなかったためです。

現在はメソセラピーやHARG治療の安全性や有効性が確認されてきていますが、費用や手軽さを考えると、やはり最初は内服薬や外用薬の使用が適切だと考えられます。

ミノキシジルやフィナステリドなどの薬で思うように効果が出なかった方や、AGAがすでにかなり進行している状態の方は注射を使った治療を検討してみてもよいでしょう。

AGA治療で注射が必要か迷ったらクリニックに相談

AGA治療について調べていると、どの治療がよいのか迷ってしまうかと思います。AGA治療では、まずミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドなどの内服薬や外用薬を使用することが一般的です。始めからメソセラピーやHARG治療などの注射を使うことはあまりありません。

とはいえ、ヒトによっては注入治療のほうが向いているケースもあります。しかし、どの治療方法が合っているかの判断は、専門家にしか分からない部分も多いため、自己判断でAGA治療を始めるのではなく、クリニックに相談して適切な治療を行うことが大切です。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

  • 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
  • 本記事の内容は公開日時点の情報となります。 情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

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