フィナステリド(プロペシア)でうつ病になるってホント?フィナステリドとうつ病の関連性を医師が解説

プロペシア(フィナステリド)の副作用の一つに「抑うつ症状」がありますが、実際の発生率は1%未満と言われています。しかし、ごく稀とはいえ、対策する方法がないか気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、プロペシア(フィナステリド)によるうつ病の実際と対策方法について、過去の論文などを元に医師がご紹介していきます。

目次

■ 本記事のサマリ

  • フィナステリド(プロペシア)で
    うつ症状が出る確率は1%未満
  • フィナステリド(プロペシア)と
    抑うつ症状の関連は不明確
  • フィナステリド(プロペシア)の
    副作用は服用中止でほぼ消失する
  • 安全な治療を行うためにも

    医療機関での治療を推奨

フィナステリド(プロペシア)で
うつ症状が出る確率は0.2%程度

フィナステリド(プロペシア)の副作用の一つとして「抑うつ症状」が挙げられます。

しかし、実際のところ、フィナステリドでうつ症状が発生する確率は1%未満と報告されています。

まずは過去の調査の事例を紹介していきます。

  • プロペシアの製造販売後調査
    約3年間で収集された症例943件のうち、精神障害を訴えた症例は2件のみ(0.2%)だった
  • ヘアテクトの治療実績
    約1ヶ月間で収集された症例2,452件のうち、精神障害を直接訴えた患者様はおらず睡眠障害(寝付きの悪さや日中の眠気)を訴えた症例は4件(0.2%)だった

研究の実施体制や治療期間によっても副作用報告率は異なりますが、いずれも0.2%前後の報告であり、抑うつ症状の発生率は非常に稀と言えるでしょう。

フィナステリド(プロペシア)と
抑うつ症状の関連は不明確

なお、実はフィナステリド(プロペシア)と抑うつ症状の関連性はまだ明らかになっていません

一説には、フィナステリドによる男性ホルモン抑制が関連していると考えられています。

そもそも、男性は、男性ホルモンの減少で抑うつ症状が起こりやすくなると言われています。
一方で、フィナステリドは、AGAの原因となる男性ホルモンを抑制する効果があるため、フィナステリドによるホルモンバランスの変化が気分の乱れを引き起こすのではないかと推測されているのです。

若い人が発症しやすい?
"思い込み"が起因の発症に要注意

また、AGA治療における抑うつ症状は、フィナステリド以外の要因も影響するとも言われているため注意が必要です。

例えば、自分の頭髪に関する悩みやストレス、また、「うつ病になるかもしれない」という不安が元に抑うつ症状を発症してしまうケースがあるのです。

過去にフィナステリド服用患者からの精神障害報告3,282件を元にした研究では、45歳未満の若年患者でうつ症状との関連が顕著だったと報告されました。*¹

しかし、同一研究内で、フィナステリドと同じ薬効を持つデュタステリドでは抑うつ症状に関する特徴的な傾向は見られなかったと報告されています。

この理由として「フィナステリドのほうが、メディアなどで抑うつ症状のリスクについて多く言及されており、ノセボ効果(思い込み効果)が誘発されている可能性がある」と、思い込み効果の可能性について考察されています。

不安な状態のまま治療に進まれること自体が、うつ症状につながるリスクになりうるため、過度に心配しすぎないことも重要です。

*1 Nguyen D.-D., Marchese M., Cone E.B., Paciotti M., Basaria S., Bhojani N., Trinh Q.-D. Investigation of suicidality and psychological adverse events in patients treated with finasteride. JAMA Dermatol. 2021;157(1):35–42.

フィナステリド(プロペシア)の
副作用は服用中止でほぼ消失する

万が一、抑うつ症状が発生した場合、服用を中止することでほとんどは回復できると言われています。

そもそもフィナステリドは体内で24時間以内に分解され、効果を失っていきます。(これを薬の”代謝”といいます)

そのため、普段は毎日薬を続けて飲むことで、体内のフィナステリドの血中濃度を一定に保ち、効果を継続させています。

しかし、副作用が発生した際には一度服用を中止することで、薬は速やかに代謝され、中止1~2日後には体内からほぼフィナステリドが無くなり、フィナステリド起因で発生していた副作用症状も改善されることが期待できるのです。

実際、フィナステリドの副作用全般が、抑うつ症状に限らず服用中止でほとんどが回復すると、過去複数の研究で言われています。

更に、実際にヘアテクトにで治療された患者様でも同様の傾向が見られています。

例えば、へアテクトの患者様のうち、副作用報告をされた患者様37名に実施したアンケート調査では、服用中止するほどの副作用症状が出たと思われる回答者は8名でしたが、その後の服用中止により全員が副作用が改善したと回答されました。*¹

*1 分析概要
解析対象/へアテクト患者様のうち、2023年4月に治療を開始された患者様2,452名
アンケート対象/解析対象者のうち、2023年4月~5月の間に副作用と思われる症状を報告された方
調査期間/2023年7月13日~7月20日

安全な治療を行うためにも
医療機関での治療を推奨

フィナステリド(プロペシア)で抑うつ症状が起こる確率は0.2%前後で非常に稀と言われています。

そもそも抑うつ症状とフィナステリドの関連性自体明確担っておらず、思い込み効果も影響する危険があるため、過度に心配しすぎる必要は無いでしょう。

また、万が一抑うつ症状が発生した場合でも、服用中止でほとんどの症状が改善することが期待できます。

しかし、抑うつ症状の発症しやすさは、個人の特性やその時の精神状態、環境によっても左右され、個人が独断でリスクを判断するのは難しいケースが多いです。

抑うつ症状発症のリスクを軽減したり、万が一のときに最適な対策を取るため重要となるのが、医師の適切な指示の下での治療です。

最近のクリニックではオンライン診療やチャットでいつでも医師や専門家に相談できる先が増えてきました。

精神障害の発生リスクや、万が一発生した場合に安全に治療するためにも、自分が通いやすいクリニックを選ぶことをお勧めします。

ヘアテクトなら、24時間以内に専門家が質問にすぐに回答いたします

ヘアテクトでは、薄毛の専門家が24時間薄毛の質問や相談を受け付けております。

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天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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