AGA治療の効果がない6つのケース|正しい薄毛対策や服用方法

「AGA治療は本当に効果があるの?」「なぜ効果がない人がいるの?」と疑問に思っている方に向けて、この記事では治療効果が出づらくなる6つのケースや、効果を出しやすくするための方法について解説しています。

目次

AGA(男性型脱毛症)を発症した場合、ミノキシジルやフィナステリドなどを使って治療を行っていくことが一般的です。発毛効果が認められている有効な治療法ですが、なかには「AGA治療をしても効果がない」と感じる方もいます。

AGA治療は適切に行っていかなければ、どんなに効果的な薬を使っても意味がありません。今回は、AGA治療で効果がないと感じる原因や、正しい治療方法について解説します。

■ 本記事のサマリ

  • AGA治療薬は、基本的にほとんどの方で発毛効果が検証されている
  • しかし、発毛効果は治療開始から4-6ヶ月後に出てくるため、根気強い治療継続が必要
  • 発毛効果がないと感じる理由として、初期脱毛や不適切な薬の選択・服用等が挙げられる
  • 適切な治療法を選ぶためにも、クリニックに相談の上で治療を進めることを推奨
  • AGA治療は早いほど効果が高く、治療開始が遅れるとその分効果が出るまでの期間も長くなるため注意

AGA治療に効果がないは誤り

AGA治療に効果がないというのは、基本的に誤りです。治療を開始した多くの方は発毛効果を実感しています。

たとえば、プロペシアという商品名でも知られるフィナステリドを使って3,927名の男性を対象に行った試験では、12ヶ月から24ヶ月服用することでプラセボ(偽薬)を使ったグループよりも有意に硬毛数の増加が見られました*¹。

これとは別の試験でも、フィナステリドを服用した方の99.4%で写真評価において効果が認められています*²。

*1 Mella JM, et al. Efficacy and safety of finasteride therapy for androgenetic alopecia: a systematic review, Arch Dermatol, 2010;146: 1141-1150
*2 Yoshitake T, et al: Five-year efficacy of finasteride in 801 Japanese men with androgenetic alopecia, J Dermatol, 2015; 42: 735-738

また、実際ヘアテクトで治療を行った5,000人の患者様のうち、半年~1年間治療されている方の85%が治療効果を実感されています。

このように、100%の方に治療効果が出るとは断言できないものの、ほとんどの方はAGA治療を行うことで発毛を実感しているのです。

AGAに効果的な治療薬

AGA治療によく使われているのが、次に挙げる3つの治療薬です。

  • ミノキシジル
  • フィナステリド
  • デュタステリド

ミノキシジルには内服薬と外用薬とがあります。血行を促したり、ヘアサイクルを正常に戻したりすることで発毛を促す成分です。

フィナステリドとデュタステリドは、AGAを進行させる原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を阻害する働きがあります。

ジヒドロテストステロンは、テストステロンに5αリダクターゼ(5α還元酵素)が働くことで作られるものです。フィナステリドはⅡ型の5αリダクターゼを、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害する効果があります。

AGA治療で効果がない6つのケース

前述の通り、AGA治療を行った方の多くが効果を実感していますが、効果がないと感じる方がいるのも事実です。

効果がない方は、大きく次の6つのケースにわけられます。

思うような効果を得られていない方は、自分が次のどれかに当てはまっていないか、今一度チェックしてみましょう。

まだAGA治療の効果が出ていないだけ

AGA治療の効果が出るまでには数ヶ月単位で時間がかかります。治療を開始してから効果を実感できるまでには、ミノキシジルで4〜6ヶ月、フィナステリドやデュタステリドでは6ヶ月ほどの期間が必要です。

その理由として、髪の生え変わりのサイクルが関係しています。

通常、髪の毛は2~6年程度かけて生え変わります。しかし、AGA患者の場合は、このサイクルが半年~1年程度まで短くなっているのです。

AGA治療薬はこのサイクルを正常に戻すことでAGAを改善していくため、AGAによる異常な髪が抜けて、新しく健康な髪が生えてくるまでに数ヶ月は掛かってしまうのです。

治療を始めてまだ数日から数週間しか経っていないのであれば、効果が出ていなくても不思議ではありません。

すぐに効果が出ないからといって治療をやめてしまう方もいますが、AGA治療はどうしてもある程度の期間が必要なので最低6ヶ月はかかると見込んで治療を始めるとよいでしょう。

初期脱毛が起こっている

初期脱毛とは、AGA治療を開始して10日から1ヶ月程度で起こる一時的な脱毛のことです。

治療前よりも抜け毛が増えてしまうため、「かえって悪化した」「効果がない」と感じてしまうようになります。

しかし、初期脱毛はAGA治療薬がしっかり効いている証拠です。細い髪の毛が新しく生えてきた健康な髪の毛に押し出されたり、乱れたヘアサイクルが一旦リセットされたりすることで起こります。

3ヶ月ほど続くため精神的にも大きな負担があるとは思いますが、ここでくじけずに治療を続けることが大切です。

治療薬を正しく服用していない

用法用量を守らずに服用を続けていると、体のなかにある薬の濃度が安定せずに効果が出づらくなります。

一度や二度程度の飲み忘れなら大きな影響は出ませんが、数日や数週間単位で飲み忘れている場合は効果が出るまでに時間がかかる可能性があるでしょう。

毎日同じ時間に服用するよう習慣づけたり、飲み忘れ防止用のアプリを使用したりして毎日正しく服用を続けることが大切です。

症状と治療薬が合っていない

AGA治療では、体質によって合う治療薬が異なることがあります。合わない薬を続けていても効果はなかなか出ません。

AGA治療薬はもともと効果が出るまでに4〜6ヶ月程度の期間が必要なものですが、それ以上服用しても効果がない場合は薬の変更を検討したほうがよいケースもあります。

治療を進めていくうえで気になることがあれば早めに医師と相談するようにしましょう。

個人輸入で治療薬を入手している

安さに惹かれて個人輸入でAGA治療薬を購入している方もいます。

しかし、個人輸入の薬は安いなりの品質でしかありません。表記通りの成分がきちんと入っているのか、十分に安全性が確認されているのかなどは不明です。

有効成分が少量しか入っていなかったり、まったく関係のない成分が入っていたりすることもあるため、健康被害が出る可能性もあります。

効かないだけならまだしも、健康被害による治療費が余計にかかることもあるため、個人輸入の薬には手を出さないのが吉です。

薄毛の原因がAGAではない

ミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドはAGAによる薄毛にしか効果を発揮しません。
薄毛の原因がAGAではない場合は、いくら治療薬の服用を続けても効果は出ないので注意しましょう。

AGA以外で薄毛になる原因としては、脂漏性皮膚炎や円形脱毛症、牽引性脱毛症などがあります。クリニックを受診せず自己判断で治療を始めると適切な薬の選択ができません。

脱毛の種類に合わせて適切な治療を受けるためにも、まずはクリニックを受診するところから始めましょう。

AGA治療の効果を早く実感できるケース

では、逆にAGA治療の効果を実感している方では、どのようなケースが見られるのでしょうか。発毛効果を実感している方には、共通して次のような特徴があります。

発症してすぐに治療を開始した

効果を実感している方は、AGA治療を開始する時期が早い傾向にあります。

実は、AGA治療は開始が早いほど効果が出やすくなるのです。

これは、髪の毛を作り出している毛母細胞に寿命があることが関係しています。寿命を迎えた毛母細胞は、どのような治療を行っても再び動き出すことはありません。

AGAを発症している方はヘアサイクルが短い間隔で進む関係で、毛母細胞の寿命が短くなっています。そのため、AGAが進行してから治療を開始した場合、生きている毛母細胞の数が減っているため、効果が出にくくなってしまうのです。

AGA治療においては、できるだけ早めに治療を行うことが効果を出やすくする大きなポイントです。

治療薬を正しく服用している

円滑にAGAの治療を行っていくためには、正しい方法で服用を続けていくことが欠かせません。

飲み忘れが少なく、自分の症状に合った服用量で治療を続けている方は、効果を実感しやすいでしょう。また、自分の体質に合っているAGA治療薬を服用することも大切です。

クリニックで治療薬を処方してもらっている

個人輸入したものではなく、クリニックで処方してもらった薬を服用したほうが効果は出やすくなります。

処方される薬は安全性や有効性がしっかり確認されているため、個人輸入の薬のように偽物に当たる心配がないのです。

また、クリニックを受診することで適切な用法用量で治療が行えること、薄毛の原因がAGAなのかを診断した上で、体質に合った薬を選んでもらえることも効果の出やすさに関係しています。

頭髪のセルフケアを行っている

AGAを改善するためには適切な治療を行うことがもっとも大切ですが、補助的な役割として日頃のセルフケアも頭髪の健康を守るために重要です。

頭皮の汚れをきちんと落とす、お風呂上がりにマッサージを行う、たんぱく質やビタミンを摂れる食事を心がけるなど、髪の毛によい生活習慣を心がけましょう。

セルフケアのみでAGAを改善させることは難しいですが、AGA治療に加えてセルフケアを行うことでよりよい頭皮環境を保てるようになります。

AGA治療の注意点

AGA治療を行うことでこれまでに多くの方が効果を実感しています。しかし、治療にはいくつか注意点もあるのでこちらも確認しておきましょう。

はじめるのが遅いと効果が出るまで時間がかかる

AGAを発症してから時間が経っていたり、症状がある程度進んでいたりする場合は十分な効果が出るまでに時間がかかります。

AGAの治療効果が出るまでの期間は4〜6ヶ月程度といわれることが一般的ですが、治療が遅れた方では1年近くかかることもあるのです。

「もしかしたら薄毛になってきているかも?」と感じ始めた時点で治療を始めることで、効果が出づらくなるリスクを少なくできます。

AGA治療を中断すると効果がなくなる

AGA治療の効果は、残念ながら永続的なものではありません。

治療を中断するとヘアサイクルが乱れ始めるため、再び薄毛が目立ってくることがあります。

現代医療では抜け毛を減らして発毛を促すという対症療法を続けていくしか方法がないのです。

とはいえ、一生飲み続けるのも負担が大きいと感じる方も多いでしょう。そのため、AGA治療のゴールをどこにもっていくかを医師と相談して治療を進めることが大切です。

AGA治療が受けられない人もいる

体質や年齢によっては、AGA治療を受けられないこともあります。

ミノキシジルやフィナステリドなどは20代からしか使用できない薬です。
10代でAGAを発症した場合は、一般的な治療薬が使えないということになります。

また、肝臓の機能が落ちていたり薬の成分にアレルギーがあったりする場合も、医師の判断により治療ができないといわれることがあるでしょう。

AGA治療薬が使えない場合は植毛やメソセラピーなど、ほかの治療法を検討する必要も出てきます。

効果がないは誤り!AGA治療はできるだけ早くはじめよう

AGA治療は効果がないと言われることもありますが、実際には治療を始めた多くの方が発毛を実感しています。効果がないのは用法用量を守っていなかったり、自分に合わない薬を使っていたりすることが原因かもしれません。

AGAの治療は症状と体質に合わせて適切な薬を正しく服用していくことが大切です。治療を始めるのが遅くなると効果が出づらくなることもあるため、薄毛が気になり始めたら早めにクリニックに相談するようにしましょう。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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