AGA(男性型脱毛症)の6つの見分け方!薄毛・抜け毛の原因や原因
AGAの多くは遺伝的要因で生じるため、改善にはクリニックでの治療が必要です。AGAの見分け方には抜け毛の形状や生え際の状態などを調べる方法があります。少しでも疑いがあれば早い段階で医師に相談することをおすすめします。
薄毛の改善を目指すには、まずは原因を知らなくてはなりません。そのため、自分がAGA(男性型脱毛症)であるかどうかを見分けたいという方も多いでしょう。
男性が薄毛になる原因の大半はAGAではありますが、絶対ではありません。AGA以外が原因であれば、また別の対策が必要です。
そこで、今回はAGAの症状や見分け方、他の脱毛症との違いなどを解説していきます。
■ 本記事のサマリ
- AGAは、抜け毛の量や見た目、生え際や頭皮の状態を観察することで、ある程度見分けることが可能
- また、家族にAGA発症者がいるかどうかも判断材料となる
- しかし、AGAは進行が緩やかなこともあり、専門家以外が見分けることが難しい場合もある
- AGA治療は、発症から時間が経ってから開始すると効果が感じにくくなる
- そのため、手遅れになる前に、AGAを疑った段階で専門家に相談することを推奨
薄毛の原因9割を占めるAGA(男性型脱毛症)とは
AGAは男性の薄毛の9割を占めるといわれる疾患です。AGAかどうかを見分けるためにも、まずメカニズムを知っておきましょう。AGAで脱毛が生じる過程は次のとおりです。
- 男性ホルモン「テストステロン」が酸化酵素「5aリダクターゼ」と結合し、「DHT(ジヒドロテストステロン)」が生成される。
- DHTがアンドロゲンレセプターと結合し、脱毛因子が生成される。
- 脱毛因子が髪を作り出す毛母細胞を攻撃し、髪の成長を阻害する。
- 髪の成長期が短くなりヘアサイクルの乱れが発生。髪の毛の軟毛化や脱毛が進む。
AGAのほとんどは遺伝的要因で生じ、一度発症すると生涯進行し続けます。5aリダクターゼの活性度やアンドロゲンレセプターの感受性は遺伝するため、生活習慣の改善では治癒できないからです。薄毛の原因がAGAである場合、クリニックでの治療が必要となります。
AGAの6つの見分け方
AGAであるかどうかは、クリニックを受診すれば医師が判断してくれます。しかし、クリニックに行く前にセルフチェックで見分けたいという方も多いはずです。そこでここでは、AGAの見分け方のポイントを解説します。
見分け方①抜け毛の量を確認
AGAの見分け方の1つ目は、毎日の脱毛量を確認することです。抜け毛の増加やボリュームダウンを感じ始めたら、抜けた毛の本数を数えてみましょう。
人には10万本程度の髪が生えており、1日に平均50〜100本程度が自然に抜け落ちます。意外な自然脱毛の多さに驚かれる方もいるかもしれませんが、入浴時や寝ている間などに知らず知らずのうちに抜けているものです。
抜け毛が200本以上認められる場合、ヘアサイクルに乱れが生じているのかもしれません。ただし、季節の変わり目(特に9月から11月)は自律神経の乱れとともに疲れが体に現れやすく、抜け毛が増えやすい時期となるので考慮が必要です。
見分け方②抜け毛の太さやボリュームを確認
AGAを見分けるには、抜けた毛の太さや今生えている髪のボリュームをチェックすることも大切です。
先ほどもお伝えしたように、AGAとは髪の成長期が短くなりヘアサイクルが乱れる疾患です。ヘアサイクルとは髪の毛が毛根の毛乳頭にできてから自然に抜け落ちるまでのサイクルを指し、以下の3段階に分かれます。
ヘアサイクルごとの状態
AGAを発症すると髪の成長期が一気に短くなり、本来2〜6年程度ある成長期が数ヶ月〜1年程度となってしまいます。
そのため、十分に育ち切らないうちに退行期・休止期を迎える髪が増え、毛痩せや短毛化が進行してしまうのです。
抜けた毛や薄毛の気になる部位の髪の毛にハリやコシがなくなってきたら、AGAの初期段階である可能性があります。
見分け方③抜け毛の毛根を確認
毛根の形に異常があれば、AGAの可能性があります。
脱毛因子によって毛乳頭・毛母細胞の働きが弱まった状態で抜け落ちた毛と自然に抜けた毛の毛根では以下に挙げる点で異なります。
本来成長期を終えると毛根が毛乳頭から離れ、徐々に頭皮の表面に押し出されていくのが正常な脱毛の過程です。
しかし、AGAでは毛根が毛乳頭にくっついたままや十分に育ち切らないままの状態で毛母細胞の分裂が止まり、髪が休止期に追いやられます。
脱毛の過程を経ず未熟な状態で抜けた髪の毛根には突起や収縮があります。
AGAによるヘアサイクルの乱れを判断するためには、毛根の状態を確認しておきましょう。
見分け方④生え際や頭頂部の状態を確認
AGAの特徴として、前髪の生え際や頭頂部から地肌が目立ち出す傾向が強くあります。
AGAかどうかを見分けるにはこれらの部位を重点的に観察すると良いでしょう。
特に、AGAの現れ方は以下の3パターンに分類されるため、ご自身の頭髪と照らし合わせて確認してみてください。
◆ 生え際(M型)
前髪生え際の両サイドが脱毛し、真上から見ると生え際が「M」に見えるのがM型ハゲです。
頭頂部と耳を結ぶ線と生え際の薄毛部位との距離が2cm以下になると、AGAによるM型ハゲの可能性が高くなります。
正中線に沿ったラインには髪が残っているため、薄毛の進行に気づきにくいのが特徴です。
◆頭頂部(O型)
O型ハゲは頭頂部を中心に軟毛と脱毛が増え、薄毛が進行します。真上から見るとつむじ付近に「O」の形のハゲができるのが特徴です。
初期では徐々に頭頂部のボリュームがなくなっていくので、ヘアスタイリングをしたり頭頂部まで鏡で確認したりする習慣がなければ、薄毛を見過ごしてしまうこともあるでしょう。
◆前頭部(U型)
U型ハゲは前髪全体の生え際が脱毛し徐々に後退していきます。
生え際が頭頂部にまで達することもあり、真上から見た時の生え際が「U」の形に見えるのがU型ハゲです。
先にお伝えした2つの型よりも薄毛の進行が早く、O型ハゲと併発しやすい特徴があります。
薄毛の進行が見た目で分かりやすいので、発症に気づきやすいパターンです。
見分け方⑤頭皮の状態を確認
頭皮のベタつきもAGAの特徴の1つです。AGAを引き起こすDHTは皮脂の分泌を促す作用があるからです。
過去の研究では、DHTは本来の血中濃度以上において脂腺細胞に影響を及ぼすことが分かっています*。
*赤松 浩彦ら, 男性ホルモンの脂腺細胞に及ぼす影響について, 日皮会誌: 102(1), 47-50, 1992
薄毛が気になる部位の頭皮を触ってベタつきがないか確認してみてください。ベタつきがあれば、DHTの血中濃度が通常の範疇を超えている可能性があります。
ただし、皮脂の過剰な分泌は、自律神経やホルモンバランスの乱れによって引き起こされる場合があることも考慮しておきましょう。
見分け方⑥親族にAGAがいないか確認
AGAの多くは遺伝的要因で起こります。特に母方の家系に発症者がいれば、AGAを引き継いでいる可能性が高くなるのです。
母方の家系から遺伝しやすい理由は、AGAの引き金となるアンドロゲンレセプターの感受性に関する遺伝情報が母親の持つ染色体にあるからです。
染色体にはXとYがあり、男性はXY、女性はXXの組み合わせを持ちます。
男性の場合、Xは母親から、Yは父親から引き継ぎ、AGAの遺伝情報は母親からのXによって引き渡されることとなります。
母方の祖父や曽祖父にAGA発症者がいたら、自身もAGAになる可能性が高いと考えて良いでしょう。
ただし、もう1つの遺伝的要因である5aリダクターゼの活性度は、父親からも引き継ぐ可能性があります。
そのため、母方の家系に発症者がいなくてもAGAになる可能性は否定できません。
AGAの治療方法
AGAの治療方法には以下に挙げる4つがあります。
AGA治療の種類
これらのなかでもっとも一般的に行われているのが、内服薬と外用薬による投薬治療です。
他の治療法よりもリスクが低く、痛みもなく、費用的にも抑えられるため、多くの方が選んでいます。
AGAは早期の治療が効果的
AGA治療は初期の段階から始めると効果的です。
AGAは発症すると一生進行し続け、生活習慣の改善やセルフでのヘアケアでは改善することはありません。
そのため、適切な治療を行わなければ、薄毛の状態は深刻化していってしまいます。
そして、薄毛が進行するほど治療の効果が感じられにくくなり、症状の改善に多大な時間を要してしまうのです。
抜け毛が増えたり、髪のボリュームダウンを実感したりした場合は、できるだけ早くクリニックに相談しましょう。
早期に治療を始めれば、AGAによる薄毛がより早く改善されるようになるでしょう。
AGA以外の脱毛症の見分け方
男性の薄毛はほとんどがAGAによるものですが、別の原因で生じるものもあります。ここからは、AGA以外の脱毛症の症状や見分け方について確認していきましょう。
◆ 円形脱毛症の症状と見分け方
AGAと円形脱毛症を見分けるには、脱毛の状態に注目しましょう。
抜け毛や毛痩せがないにもかかわらず、突然特定の部位でごっそりと脱毛した場合は円形脱毛症の可能性が高いといえます。
円形脱毛症の主な原因とされる自己免疫疾患では、免疫細胞であるT細胞の異常行動によって正常な細胞が攻撃されます。
これが毛母細胞や毛乳頭細胞で起きると、突然脱毛が発生してしまうのです。
初期は小さな脱毛ですが、進行すると頭部全体や眉毛、まつ毛までもが抜け落ちてしまうこともあります。
また、治療しなくても改善の見込みがあるのも円形脱毛症の特徴です。
自己免疫疾患を引き起こす要因とされるストレスや栄養不良、妊娠状態等がなくなれば、自然と髪が生えてくる可能性があります。
◆ 脂漏性脱毛症の症状と見分け方
AGAと脂漏性脱毛症の明確な違いは脱毛初期の状態です。
脂漏性脱毛症は頭皮のかゆみや赤み、湿疹などが生じ、フケ・脱毛が徐々に増えていきます。
脂漏性脱毛症は過剰な皮脂の分泌によるマラセチア菌の異常な繁殖によって生じますが、このマラセチア菌は皮脂を餌とする常在菌で、本来悪さを働く菌ではありません。
しかし生活習慣の乱れや誤ったヘアケア、ホルモンバランスの乱れなどで皮脂が増えると、頭皮の炎症を引き起こすほどに繁殖してしまうのです。
脂漏性脱毛症の改善を目指すには、頭皮の適切な皮脂量を維持しなくてはなりません。
そのために、正しい洗髪や食生活の改善などを心がけることが重要です。
薄毛・抜け毛が気になったらAGAクリニックへ
男性が薄毛になる原因の大半がAGAです。AGAは進行性の疾患であるため、薄毛の改善には適切な治療をしなくてはなりません。
そして、適切な治療のためには、まず自分がAGAであるかを見極める必要があります。
ここでお伝えした6つの見分け方を参考にしていただければ、ご自身がAGAであるかはある程度判断していただけるはずです。
ただし、AGAはゆっくりと進行が進むため、専門家出ないと見逃してしまう可能性もあります。そのため、自己判断でAGAではないと決めてしまうのは、避けてください。
AGAであった場合に、治療が遅れ、気付いたら手遅れで治療効果が出にくい状態になってしまう可能性があるからです。
オンライン受診が可能なAGAクリニックでは、無料相談も可能です。
薄毛や抜け毛が気になったら、まずは相談してみることをおすすめします。
天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
- 本記事の内容は公開日時点の情報となります。 情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。