プロペシアをやめてよかったは間違い!フィナステリドはAGAに効果的

「プロペシアをやめてよかった」「効果がない」という意見は本当なのでしょうか。この記事ではフィナステリドでどれくらいの効果が確認されているか、どういった人で発毛が確認されているのかなどを詳しく解説します。

目次

「プロペシアをやめてよかった人っているの?」
「なぜプロペシアをやめてよかったと思うの?」

AGAの治療を検討している方やAGAの薬を飲み始めた方の中には、継続的なプロペシアの服用に不安を感じたことがある方もいると思います。
プロペシアは主要なAGA治療薬ではありますが、効果や安全性、トータルコストが分からないままでは得体の知れない不安が出てきても無理はありません。

適切な知識があればプロペシアを含むAGA治療薬と上手く付き合っていけるはずです。今回はプロペシアの作用や「服用をやめてよかった」と言われる理由、プロペシアをやめる方が見逃しがちな視点などを解説します。

■ 本記事のサマリ

  • プロペシアは、世界中でAGA治療に使用される安全面と効果面に優れた薬
  • 副作用リスクは1%程度と言われており、定期的な病院受診で最小限に抑えられる
  • AGAは完治しないため、治療を止めることで薄毛が進行してしまう危険性もあるため注意

プロペシアの有効成分はフィナステリド

プロペシアの有効成分は医薬成分「フィナステリド」です。

フィナステリドは元々前立腺肥大症の治療に使われていましたが、治験中にAGA患者の発毛が認められたことから脱毛防止薬としての開発が進んだものです。

AGA治療薬としての認可がFDAから下りたのを機に、1997年にアメリカでの販売が開始され、日本でも2005年よりAGA治療に用いられるようになりました。

現在では世界100カ国以上でAGA治療に使われており、安全面と効果面に優れた脱毛抑制の成分として認知されています。

フィナステリドはAGA(薄毛)に効果的

フィナステリドは体内の酵素「5αリダクターゼII型」の活性を抑制することで、AGAの引き金となる男性ホルモン「DHT」の合成を阻害し、抜け毛を防ぎます。

AGAは男らしさを生み出す主要な男性ホルモン「テストステロン」が5αリダクターゼと結合し、脱毛因子の前駆体となるDHTを生成することで生じます。
脱毛因子の作用は、髪を作り出す毛母細胞にダメージを与え、成長期にある髪を退行期へと追いやることです。
そのため、AGAになると髪が太く長く伸びる前に抜け落ちてしまい、薄毛が進行します。

5αリダクターゼにはⅠ型とII型の2種類がありますが、多くのAGAが関連するのはII型です。
したがって、フィナステリドはほとんどのAGAに効果を発揮できます。

実際、日本皮膚科学会のガイドラインでは、フィナステリドによる治療の推奨度は最も高いAランクと評価されているのです。

プロペシア(フィナステリド)やめてよかった人の意見

フィナステリドはAGA治療に用いられる主要な成分ですが、一部のユーザーには「やめてよかった」という声もあります。

なぜフィナステリドに否定的な意見があるのでしょうか。
ここで、プロペシアをやめてよかった理由によく挙がるものを紹介します。

金銭的な負担がなくなった

フィナステリドをやめて金銭的な負担がなくなったと考える方も多いです。
なぜなら、AGA治療は保険が適用されないので処方薬がやや高額になりがちな上、服用のゴールがなく薄毛が気になる限りずっと飲み続けなければならないからです。

AGAは発症すると進行し続けるもので、自然に治るものではありません。継続して治療を行うことで、金銭的に負担に感じてしまう方も少なくないようです。

副作用の心配がなくなった

フィナステリドには可能性が低いものの副作用のリスクが存在するため、服用をやめることで不調への不安が解消できたという声もあります。
フィナステリドには以下に挙げる副作用があるとされています。

  • 発疹
  • 制欲減退
  • 肝機能障害
  • 乳房の肥大
  • 抑うつ症状

これらの副作用が生じる確率や度合いは数値で示されているものの、本当に発生するものなのかは服用を継続してみなければわからないと考えると、AGA治療を続けていくのが不安になってしまっても無理はないでしょう。

もともと効果が感じられなかった

プロペシアによる発毛の効果が感じられず、服用をやめる方もいます。

しかし、血行を促進して発毛を促すミノキシジルとは異なり、プロペシアはあくまでDHTを抑制して脱毛を防ぐ薬です。

プロペシアを飲むことで新たな髪が生えてくると期待する方にとって、思い描いていたものと異なるプロペシアの効果に物足りなさを感じることもあるでしょう。

プロペシアをやめてよかったという人に欠けている視点

プロペシアの継続的な服用に安全面やコスト面、効果面で不安を抱える方がいますが、これらの不安はプロペシアによる治療を具体的に知ることで解決できるかもしれません。
そこで、以下ではプロペシアにあるデメリットの理由と対応策を解説します。

治療のコストを軽減することは可能

プロペシアの継続的な服用で金銭的な負担を感じている場合、治療コストを削減できる可能性を見逃しているかもしれません。

クリニックでのプロペシアの相場は、月額7,000円程度です。

しかし、運営コストを抑えているオンライン診断専門のクリニックを利用すれば、治療費はかなり抑えられます。

また、医師に相談して減薬したりジェネリック医薬品を選んだりすることでも治療費の軽減が可能です。
プロペシアが高額だからとやめてしまう前に、クリニックの変更や治療方法の見直しを検討してみましょう。

治療のコストを軽減することの注意点

ネット通販などを利用したプロペシアの個人輸入は大幅に治療のコストを削減できますが、必ず避けなければなりません。

なぜなら、医師の判断を伴わない個人輸入には以下の問題があるからです。

  • 偽造医薬品の可能性がある(有効成分が入っていない・異なる成分が入っている)
  • 適切な服薬の仕方が不明確
  • 重度の副作用が出ても国から救済金が下りない

ネットでは安価な薬剤が売られていますが、思わぬ不調や医療費が生じる恐れがあります。

コスト面のメリットに流されず、デメリットにも目を向けるように意識しましょう。

副作用のリスクは1%程度と比較的低い

先にお伝えしたように、プロペシアには複数の副作用リスクがあり、疾患への不安からプロペシアの服用をやめてしまう方がいます。

しかし、実際にはこれらが起こる確率は1%程度と非常に低いとされています。プロペシアの添付説明書には、次のような記載があります。

『国内長期投与試験期間中における副作用(臨床検査値異常変動を含 む)の発現割合は1.1%(4/374例)であり、前相を含め96週間にわたり1mgが投与された症例の長期投与試験期間中における副作用の発現割合は1.6%(2/124例)であった。』

更に、フィナステリドを利用した複数の研究でも、長期間治療中に発生した副作用は全て軽度で、かつ一過性のものだったことが報告されています。

  • 10年間、532名を対象に治療したが、副作用は全て一過性で軽度であった*¹
  • 5年間、903名を対象に治療したが、副作用は軽度で、全例が継続治療をした

*1:M. Yanagisawa et al. Long-term (10-year) efficacy of finasteride in 523 Japanese men with androgenetic alopecia. Jan 2019
*2: 吉竹 俊裕.「日本人の男性型脱毛症に対するフィナステリド長期投与の801例調査」

また、ヘアテクトで治療されている患者様2,452人を対象に調査したデータでも同様の傾向が見られており、副作用が出た方のうち91%は症状が軽度で継続服用することを患者様が判断されていました。
更に、副作用で治療を完全に中断されたのは7名(0.3%)で、いずれも服用中止後症状が改善したとの報告を受けています。

万が一不調が生じれば医師への相談が必要ですが、継続的な服用に神経質になる必要はないといえるでしょう。

プロペシアで副作用が出たときの対処法

プロペシアは副作用のリスクが低いものの、まれに不調が生じることがあります。万が一副作用が起きた場合は医師に相談の上、減薬を検討しましょう。

プロペシアには一般的に治療で使用される1mg錠の他に0.2mg錠があり、自分に合う量を選択できます。副作用と思われる不調が出たり副作用が心配で治療をためらったりしている方は、0.2mg錠から始めてみると良いでしょう。

また、プロペシアを減量しても不調が続く場合は医師に相談して服用を中断したり、別のAGA治療薬に切り替えることもできます。

医師と相談することで、上手にAGA治療を継続していきましょう。

服用直後や不適切な服用方法では
効果が実感できない場合もある

プロペシアの効果が実感できず服用をやめてしまう方の中には、効果的な服用の仕方ができていない可能性があります。

プロペシアの効果を実感できない理由には次のことが挙げられます。

  • 服用を始めて半年経たないうちに効果を判断している
  • 用法・用量を守っていない
  • 初期脱毛について理解していない

プロペシアによる脱毛防止の効果に即効性はなく、一般的に服用を始めてから半年程度で効果を感じられます。
したがって、服用を始めたばかりで「効果がない」と決めつけるべきではありません。

プロペシアによる初期脱毛の可能性も

また、プロペシアには初期脱毛と呼ばれる好転反応があります。治療開始から10日から1ヶ月程度で起こり、3ヶ月ほど抜け毛が増加します。

これはプロペシアの作用でDHTが抑制され、正常な髪が育とうとすることで生じるものです。

初期脱毛では退行期に追いやられた弱々しい髪の毛が頭皮の表面に押し上げられ一時的に脱毛が進みます。
しかし、この脱毛は毛母細胞が本来の活性を取り戻し、毛根で発毛の準備が整っている証です。

この状態を効果がないと考えずに、治療効果が出ており、ヘアサイクルが正常化する過程と理解しましょう。

効果をより実感する心がけ

プロペシアの効果をより実感するには、以下の心がけが大切です。

  • 栄養バランスの良い食生活
  • 規則正しい生活
  • 適切なヘアケア

まず、プロペシアの効果を高めるのに大切なのは栄養素です。特に薬物代謝に使われる酵素はタンパク質でできていることから、効果をより実感するためには欠かせません。

また、毛母細胞の活性を促す成長ホルモンは良質な睡眠のもと分泌されます。
自然な眠りを誘うホルモン「メラトニン」は起床してから14時間から16時間程度で分泌されるため、規則正しい生活は眠りの質を高めるといえます。

その他、髪の健康を保つ上で重要な頭皮環境は適切な頭皮ケアによって維持できます。
頭皮を保護する皮脂を適度に維持しつつ頭皮の清潔を保つよう、頭皮への整髪剤の付着を避けたり低刺激なシャンプーを選んだりすることが大切です。

ミノキシジルとの併用も検討する

先にお伝えしたようにプロペシアはあくまで脱毛を防ぐものであって、発毛の強い効果があるわけではありません。
もしもより確かな効果を感じたいなら、発毛作用のあるミノキシジルを併用すると良いでしょう。

ミノキシジルには血管拡張による血行促進作用があり、毛母細胞の活性を強めることで発毛を促します。

ミノキシジル単体ではAGAを食い止める効果はありませんが、プロペシアと併用することで、AGAをピンポイントで防ぎながら発毛を促せるのです。

なお、より効果を強めたい場合はプロペシアから「ザガーロ(有効成分:デュタステリド)」に変えることも選択肢の一つです。ザガーロは5aリダクターゼのⅠ型とⅡ型の両方に作用するため、より広い範囲での脱毛を防止できます。

プロペシア(フィナステリド)をやめて後悔する人は多い

プロペシアを止めてよかった、という方もいる一方で、プロペシアをやめてしばらくすると薄毛が進行したという方は多いのではないでしょうか。
AGAの進行を直接的に食い止めるには内服薬以外に方法がないのが現状です。以下では、プロペシアをやめた場合のデメリットや選択肢を解説します。

AGA(男性型脱毛症)は治療しないと薄毛が進行する

AGAは治療しなければ食い止められません。なぜなら、AGAは遺伝的な要因で生じ、生涯進行し続けるからです。

前述の通り、男性ホルモン受容体はDHTと結合することで脱毛因子を生成するため、プロペシアの作用でDHTを抑えることでAGAの進行を防ぎます。

しかし、プロペシアをやめれば5aリダクターゼの活性が再び増し、DHTの産生が進んでしまうのです。
このDHTの活性で起こるのがヘアサイクルの乱れと脱毛の進行です。

折角毛量を改善したとしても、治療を止めてしまうと元の薄毛に逆戻りしてしまう可能性があるのです。

プロペシアをやめた場合の選択肢は?

プロペシアをやめた場合、AGA治療の選択肢には注入療法や自毛植毛などの選択肢があります。

しかしこれらの治療法には保険が適用されないためプロペシアよりも治療費用が高額になりがちな上、合併症やアレルギーが起きるリスクがあります。

また、サプリや市販の育毛剤には今ある髪を健全に保つことは期待できますが、AGAには効果がありません。

他の選択肢の作用を踏まえると、プロペシアの服用は最も手軽に試せるAGA治療といえるでしょう。

妊活を始める人はプロペシアをやめる検討も

副作用リスクの低いプロペシアですが、これからパートナーとの子供を設けたい方は服用をやめる検討も必要です。なぜなら先にお伝えしたように、プロペシアには次の副作用リスクがあるからです。

  • 性欲減退
  • 勃起不全
  • 精液の減少

これらの副作用はいずれも妊活に必要な男性の働きを阻害し、不妊につながる恐れのあるものです。
プロペシアの継続的な服用はパートナーとよく話し合ってから決めるようにしましょう。

プロペシアをやめてよかったは鵜呑みにしないように

プロペシアはAGAの直接的な原因であるDHTの生成に作用できる薬として、AGA治療に広く用いられています。

中には「プロペシアをやめてよかった」というユーザーの声がありますが、効果面と安全面でプロペシア(フィナステリド)がAGA治療の最良な選択肢のひとつであることは間違いありません。

プロペシアのコスト面や効果面、安全面で心配がある場合、治療方法を工夫すれば解決できる可能性があります。安易に服用をやめる前に医師に相談したり、オンラインクリニックを探してみたりしてみましょう。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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