フィナステリド(プロペシア)でテストステロンは増える?減る? 男性ホルモンとの関係や身体への影響を解説
「フィナステリドでテストステロンは増える?」フィナステリドが産生抑制するのは、男性ホルモンの中でも『ジヒドロテストステロン』と呼ばれる成分です。本記事では、フィナステリドと男性ホルモンの関係や、身体への影響について解説します。
■ 本記事のサマリ
- フィナステリドは
テストステロン値に大きく影響しない - フィナステリドが抑制するのは
ジヒドロテストステロン(DHT) - フィナステリドの服用では
筋肉量や集中力は劇的に変化しない
フィナステリド(プロペシア)は
テストステロン値に大きく影響しない
結論からお伝えすると、フィナステリドの服用で血中のテストステロン値は劇的に変化しないと考えてよいでしょう。
まずはじめに、現時点ではフィナステリドとテストステロンの関係は明確にはなっていない状況です。
しかし、過去複数の研究で、フィナステリドがテストステロン値に影響しなかったことが報告されています。
例えば、フィナステリドの説明書であるプロペシア®錠の医薬品インタビューフォームでは、6週間の服用で血清テストステロン濃度に特異的な変化はなかった旨が記載されています。
また、その他にも11人の患者が1週間フィナステリドを服用した研究でも、血清テストステロンには影響がなかったと報告されています。*
これらの結果からも、フィナステリドの服用がテストステロン値に劇的な変化を起こすとは考えにくいでしょう。
フィナステリドが抑制するのは
ジヒドロテストステロン
フィナステリドがテストステロン値に影響すると誤解される理由の一つに、フィナステリドの作用機序があります。
フィナステリドは、AGAの原因となる男性ホルモンの産生を抑えることで、薄毛の進行を遅らせる薬です。
しかし、フィナステリドが抑える男性ホルモンはテストステロンではなく、「ジヒドロテストステロン(DHT)」と呼ばれる男性ホルモンです。
DHTは、テストステロンが5αリダクターゼという酵素によって変換される、より強力な男性ホルモンであり、テストステロンとは全くの別物です。
同じ男性ホルモンのため誤解されがちですが、フィナステリドが下げるのはテストステロンではなく、DHTの血中濃度なのです。
フィナステリドの服用では
筋肉量や集中力は劇的には変化しない
もちろん、フィナステリドを服用することで、筋肉量や思考力が劇的に低下することもありません。
テストステロンには男性らしい筋肉を作る効果や集中力などを高める効果があるといわれています。
しかし、前述の通りフィナステリドが抑制するのはDHTであり、テストステロンではありません。
DHTにも二次性徴期に男性らしい体つきを作る効果などがありますが、一般に成人男性の筋トレ効果などを高めるために必要な男性ホルモンは「テストステロン」です。
つまり、テストステロン値に影響を与えないフィナステリドでは、筋トレ効果や思考力にも大きな影響を与えるのは難しいと言えるでしょう。
なお、参考までに、フィナステリドよりも強力なDHT抑制効果を持つデュタステリドを用いた研究では、デュタステリド2.5mgを毎日20週間服用した群とそうでない群で筋肉量に有意な差が出なかったと報告されています*
このことからも、フィナステリドのDHT抑制効果による筋肉量の変化は起こりにくいと考えてよいでしょう。
フィナステリドと
男性ホルモン療法も両立できる
実は、血清テストステロン値を上げる効果のある男性ホルモン療法とフィナステリドの両立も一般には可能です。
前述の通り、フィナステリドは直接男性ホルモンに影響するのではなく、テストステロンをDHTに変換する「酵素」(5αリダクターゼ)を抑える薬です。
そのため、男性ホルモン療法でテストステロンが増加したとしても、テストステロンはDHTには変換されず、AGA治療効果を保つことが可能なのです。
なお、持病等の影響で男性ホルモンとフィナステリドの併用ができないケースはあるため、心配な場合は必ず医師に相談した上で治療を受けることをお勧めします。
AGA治療は継続が重要
日常のギモンを気軽に相談できるクリニック選びを
フィナステリドは血清テストステロン値には直接影響しません。
そのため、テストステロンの効果である筋トレ効果の増長や集中力の増加は期待できません。
一方で、直接テストステロンに影響しないため、フィナステリドは男性ホルモン療法との両立も可能です。
しかし、持病や症状によっては両立できない可能性もあるため、心配な場合は医師に相談した上で治療を受けることをお勧めします。
なお、AGA治療で高い効果を期待するには、お薬を毎日継続して服用し続けることが重要です。
しかし、テストステロン値や筋トレ、新しく始める治療への影響など、お薬の不安や疑問は日常的に発生するものです。
これらによって独断で服用を中断してしまい、AGAが再発してしまうケースも少なくありません。
折角の治療を無駄にせず、治療効果を最大化するためにも、AGA治療を受ける際には、治療に関するギモンをすぐに相談しやすいクリニックを選ぶことをお勧めします。
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天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
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