湯シャンはハゲる?薄毛に効果がある?頭髪へのメリット・デメリット
湯シャンははげる?それとも薄毛に効果がある?湯シャンをやるか迷っている方はいませんか?湯シャンが合う・合わないの見極め方やメリット、正しいやり方をまとめました。
「湯シャンは薄毛予防に効果がある」
「湯シャンをするとかえって薄毛が進行する」
湯シャンに対するこのような評価を聞いた方も多いはずです。そのため、薄毛対策として湯シャンを取り入れるかどうかで悩んでいる方も少なくないでしょう。
湯シャンは、体質や生活習慣によって合う・合わないが分かれる洗髪法です。湯シャンのメリットやデメリット、正しい方法を理解したうえで、取り入れるかどうかを判断しなくてはなりません。
そこでこの記事では、湯シャンの効果や正しいやり方、注意点やよくあるQ&Aをまとめました。
■ 本記事のサマリ
- 湯シャン自体には薄毛を劇的に改善したり、逆に進行させる効果はない
- 特に、多くの薄毛の場合は原因がAGA(男性型脱毛症)のため、湯シャンでは薄毛が改善できない
- 湯シャンは特に乾燥肌や敏感肌の人は効果が出やすい
- 湯シャンをする場合はまず週2-3回から初めてみることを推奨
そもそも湯シャンとは|なぜ広まった?
湯シャンとは、シャンプー剤を使用せずにお湯またはぬるま湯のみで頭皮と髪を洗うことを指します。
シャンプーを使うことで、頭皮の皮脂汚れやスタイリング剤を落とすことができます。しかし、シャンプーに含まれている成分の刺激が強すぎたり肌が刺激に弱かったりすると、シャンプーを使うことで頭皮が乾燥してしまうことがあります。
シャンプーを使わない湯シャンは、頭皮にやさしい洗髪方法として肌が弱い方やアレルギー体質の方などに知られていましたが、芸能人や海外セレブの間で話題になったことをきっかけに広く知られるようになりました。
湯シャンを取り入れている方の中には、頭皮トラブルの解消や美容目的のみならず、シャンプー剤による環境汚染を懸念し、地球環境への配慮として湯シャンを続けている方もいるようです。
湯シャン自体は薄毛に直接的な効果がない
湯シャンと薄毛・はげの関係については、人によって評価がさまざまです。
「湯シャンを始めたから薄毛の進行が抑えられた」との声もあれば、「湯シャンを始めても効果がなかった」「湯シャンを続けたらかえって抜け毛が増えた」との声も……。
湯シャンの導入を迷われている方にとって、どちらが正しいのか気になるところだと思いますが、実はこれらはどちらも正解です。
湯シャンそのものには、薄毛を劇的に改善させる効果はありません。また同時に、湯シャンそのものが薄毛を進行させる訳でもありません。
体質に合っていれば頭皮環境が改善され、薄毛の進行を抑えることにつながります。反対に体質に合っていなければ頭皮トラブルを引き起こし、抜け毛の増大につながることもあります。
重要なのは、湯シャンが自分の体質に合っているかを見極めることです。
AGA(男性型脱毛症)の発症・改善に湯シャンは無関係
なお上記で述べたことはあくまで、頭皮環境のよしあしを起因とする薄毛についてです。
男性の薄毛の主な原因といわれているAGA(男性型脱毛症)については、湯シャンによって発症・進行が抑えられるという明確なエビデンスは現在ありません。
AGAの発症にはさまざまな原因がありますが、一般には遺伝や男性ホルモンの影響が主な原因と考えられています。
AGAは進行性の脱毛症であり、進行を抑えるには治療薬の投薬など専門医による適切な治療が必要です。
AGAの方の特徴としては、額の髪の毛の生え際がM字に後退する、つむじ周りに薄毛が見られる、抜け毛の量が増加した、髪質が急に細くなってきた、等が挙げられます。
男性の約3人に1人が発症すると言われているため、もし不安な場合は、早めにAGAクリニックに相談することをおすすめします。
湯シャンで期待できる効果やメリット
それではまず、湯シャンに期待できる効果やメリットを解説しましょう。
頭皮の乾燥を抑えられる
高級アルコール系の成分(ラウリル硫酸Naなど)が含まれているなど、洗浄力が強いシャンプーを使うことで過剰に頭皮の皮脂が落ちてしまうことがあります。
シャンプーを使わずにお湯で洗髪することによって、このような皮脂の取りすぎによる乾燥やフケ、髪のパサつきを抑えることが期待できます。
頭皮のかゆみや湿疹の軽減
乾燥肌やアトピー体質の場合、頭皮への刺激になるシャンプーをやめることで、かゆみや湿疹などの頭皮トラブルが解消することがあります。
ただし、湯シャンで症状が必ず改善する訳ではありません。
重い症状の場合は薬による治療が必要な場合もあるので注意です。症状が改善しないときは、早めにクリニックで診てもらうことをおすすめします。
皮脂の過剰分泌を予防する
頭皮の皮脂が過剰に失われると、皮膚の水分の蒸発を防ぐためにさらに皮脂が分泌されます。
皮脂量が増えたからといって洗浄力の高いシャンプーを使うと、さらに皮脂の過剰分泌を引き起こすことになり、頭皮環境がますます悪化してしまいます。
適切な方法で湯シャンを行えば適度に皮脂が残るため、このような過剰な皮脂分泌を防ぐことが期待できます。
乾燥肌の人は合いやすく、
逆に皮脂が多い人は合いにくい
ここまで説明してきたように、湯シャンを取り入れることで、シャンプーの洗浄成分による頭皮への刺激を抑え、頭皮環境を整えることが期待できます。
しかし、頭皮の肌質や髪質によっては湯シャンがかえって頭皮トラブルの原因となることがあります。
湯シャンが合う・合わないの見分け方は、主に以下のポイントから判断できます。
湯シャンが合う人
- 乾燥肌、敏感肌である
- シャンプーによる頭皮トラブルが多い
- アトピー体質、アレルギー体質である
湯シャンが合わない人
- 頭皮のベタつきやにおいが気になる
- ワックスなどのスタイリング剤を使っている
- 髪のパサつきが気になる
湯シャンが合う合わないの見分けポイント
乾燥しやすかったり肌が刺激に弱かったりする場合は、シャンプーを用いない湯シャンが適することがあります。
もともと皮脂の分泌量が多い肌質の場合、お湯だけでは余分な皮脂汚れを落としきれず、べたつきやにおい、かゆみなどのトラブルを招く可能性があります。
ただし、シャンプーの使用を控えることで皮脂分泌が適度に抑えられることもあるため、一概に湯シャンをやらない方がいいとはいえません。
また、ワックスやヘアオイルなどのスタイリング剤は油性のため、お湯だけで完全に落としきることはできません。
髪に残ったワックスが頭皮の乾燥やかゆみにつながる場合があるため、整髪料を使用した時はシャンプーでの洗髪がおすすめです。
ほかにも、シャンプーには髪のキューティクルを整えたりコーティングしたりする成分が入っていることがあります。
シャンプーを使用せずに湯シャンをすると、これらの成分を髪に与えられないため、髪のぱさつきが気になる場合があります。
以上のポイントから湯シャンが合うかどうかが見極められますが、これらはあくまで目安の一つです。湯シャンを取り入れる場合、頭皮や髪の変化に注意しながら様子をみることが重要です。
湯シャンを取り入れる際の注意点
湯シャンが自分に合っているかどうかを正しく見極めるためには、以下のポイントに注意しましょう。
まずは週2〜3回から始める
洗浄成分の入ったシャンプーを使うと簡単に汚れや皮脂を落とせます。一方、湯シャンでは、手指の力を適切に使って頭皮の汚れを落とす必要があります。慣れるまでは皮脂汚れを十分に落とせないこともあるでしょう。
皮脂汚れをきちんと落とせていない状態が続くと、頭皮トラブルにつながります。慣れないうちは頭皮状態の様子見も兼ねて、週2回程度から始めるのがよいでしょう。
頭皮のベタつきやニオイに注意
皮脂量が多いと湯シャンでは皮脂が落としきれないこともあります。
湯シャンを始めてから頭皮のべたつきやにおい、かゆみが気になりだしたら、湯シャンをやめて自分に合うシャンプーでの洗髪に切り替えることがおすすめです。
髪のツヤに変化が出る可能性がある
シャンプーやトリートメントの使用を止めることで、ツヤを感じさせる成分を髪に与えることができなくなります。
髪のぱさつきがどうしても気になる場合は、シャンプーやトリートメントを使った洗髪に切り替えるのがよいでしょう。
すぐに効果は実感できない
湯シャンは開始してすぐに効果を実感できるわけではありません。頭皮の皮脂バランスは徐々に変化していくため、湯シャンによる頭皮環境の改善を実感できるようになるには、一定の時間が必要です。
個人差がありますが、数週間〜1ヶ月程度は必要になるでしょう。
湯シャンの正しい方法とポイント
シャンプーを使わない湯シャンは、やり方によってはかえって頭皮トラブルを招くこともあります。汚れや余分な皮脂を落とすために、正しいやり方を取り入れましょう。
髪を洗う前にブラッシングする
シャンプーを使った洗髪に比べ、湯シャンでは汚れが落ちにくいため、事前にブラッシングで髪に付着した汚れやほこりを浮かせておくことが大切です。
力任せにブラッシングすると頭皮や髪へのダメージにつながりかねないので、固すぎないブラシを使って優しく汚れを浮かせるイメージでブラッシングしてください。
お湯は38〜40度に設定する
余分な皮脂や汚れを落とすために、お湯は38〜40度に設定しましょう。
低すぎる温度では皮脂が落ちず、逆に高すぎると頭皮のダメージにつながります。
3分ほどかけてじっくりとお湯を十分に地肌にまで浸透させることが大切です。洗髪の前に湯船に浸かりしっかり体を温めると、頭皮の毛穴が開いて汚れが落としやすくなります。
爪を立てず指の腹で優しく洗う
指の腹を使って、適度に力を入れながら頭皮の表面の汚れを落とします。
頭皮はデリケートなため、力を入れすぎたり、爪を立てたりして洗ってはいけません。マッサージしながら表面の汚れを落とすイメージで、頭皮を揉み込むようにしながら優しくこすり洗いをしてください。
その後、浮き出た脂や汚れを洗い落とすように、頭皮と髪の毛を丁寧に5分ほど洗い流しましょう。
洗髪後はしっかりと乾かす
洗髪後は、まずタオルで水気をしっかりと取りましょう。
濡れた状態の髪のキューティクルは大変デリケートなため、ごしごしこすらずに、タオルで髪を押さえるようにしてやさしく水分を拭き取ります。
その後、ドライヤーを使ってしっかりと髪を乾かします。
頭皮が濡れた状態が続くと、雑菌が繁殖しにおいやべたつきの原因になるので注意してください。髪の根元に風をあてるようにして丁寧に乾かしましょう。
湯シャンにまつわるQ&A
最後に、湯シャンに関してよく聞くQ&Aをまとめました。
湯シャンのときリンスやトリートメントを使ってもいい?
基本的には使わないことをおすすめします。
リンスやトリートメントも油性のため、成分が余分に髪や頭皮に残ることで、頭皮トラブルを誘発する可能性があるからです。しかし、髪のぱさつきやきしみが気になる場合、頭皮につかないようにごく少量使ってください。
湯シャンをすれば白髪を減らせる?
湯シャンが白髪の改善に直接的な影響を与えるエビデンスは現在ありません。
白髪は、加齢やストレス、生活習慣の乱れが主な原因とされています。白髪が気になる場合は、睡眠や食事などの生活習慣の見直しやストレス解消、頭皮マッサージなどの実践をおすすめします。
湯シャンが薄毛(ハゲ)の原因・改善に直結することはない
頭皮環境を整える効果が期待できる湯シャンは、抜け毛や薄毛の改善につながることもあります。
ただし、体質に合っているか、やり方が適しているかどうかなどによって結果は異なります。頭皮の状態に注意し、自分に合っているかどうかを見極めるのが大切です。湯シャンを試したいとお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
ただし、湯シャンの効果が期待できるのは、あくまで頭皮の皮脂バランスの正常化です。必ず薄毛や抜け毛の改善に直結するわけではありません。
男性の薄毛にはほかにもさまざまな原因がありますが、主な原因とされているのがAGAです。AGAの改善には治療が必要なため、気になる方はクリニックに相談しましょう。
天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
- 本記事の内容は公開日時点の情報となります。 情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。