健康な髪の毛に必要なケラチンとは?薄毛との関係や効果的な摂取方法

「ケラチンと髪の毛にはどのような関係性があるの?」「ケラチン不足は薄毛の原因になる?」と疑問に思っている方に向けて、この記事ではケラチンの特徴や髪の毛との関係性、AGAとの関連について詳しく解説しています。

目次

「ケラチンってそもそも何?」
「ケラチンが不足すると薄毛になるの?」

髪の毛の健康を守るためには、ケラチンが欠かせません。
しかし、ケラチンとは一体どのような成分なのか、薄毛と関係があるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ケラチンの働きや不足するとどういう影響が出るのかなどについて解説します。

ケラチンを効率よく摂取する方法についても紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

■ 本記事のサマリ

  • ケラチンは髪を構成する成分の一つ
  • ケラチン不足は髪のツヤが減ったり、うねり、切れ毛などの原因になる
  • ケラチン不足改善にはタンパク質や亜鉛などの摂取が重要
  • 髪質の変化だけでなく、抜け毛の増加や生え際の後退がある場合、AGA(男性型脱毛症)の可能性がある
  • AGAによる薄毛の場合、ケラチン摂取だけでは薄毛改善効果がなく、クリニックでの治療が必須

髪の健康に欠かせないケラチンとは

ケラチンとは、髪の毛を構成する成分のことです。

髪の毛の80〜90%はタンパク質でできており、そのうち約90%をケラチンが占めています。

つまり、ケラチンは髪の毛を作っているタンパク質の一つだということです。
複数のアミノ酸が結合することでケラチンが作られます。

ケラチンが存在しているのは髪の毛だけではありません。皮膚や爪にも存在しています。

髪の毛を構成する成分の大部分を占めていることから、健康な髪の毛を保つためにはケラチンが必要不可欠です。

ケラチン不足が与える髪への影響

ケラチンが不足すると、健やかな髪の毛は育ちません。
髪の毛が傷んでいたりコシがなかったりする方は、ケラチンが不足している可能性があるでしょう。

ケラチン不足は、おもに次に挙げる3つの影響をもたらします。

髪のツヤが失われる

髪の毛の大部分を占めるケラチンが不足することで、ツヤが失われます。

ハリやコシも失われるため、全体的に不健康な印象をもたれてしまうでしょう。

そもそも、ケラチンが不足しているということは、髪の毛を覆っているキューティクルがはがれている可能性があります。キューティクルの隙間から髪の毛の内部にある栄養素が流れ出てしまっているのです。

髪の毛のツヤにはキューティクルが整っているかどうかも関係するため、ツヤ不足に悩んでいる方はトータルケアが必要になります。

髪がうねってしまう

ケラチン不足は、うねりの原因です。

髪の毛は、本来なら中心部に「メデュラ」があり、その周りを取り囲むように「コルテックス」が存在します。
それをさらに覆っているのが「キューティクル」です。

キューティクルが剥がれてケラチンが流出しやすい状態になっていると、コルテックスがむき出しになってしまいます。

コルテックスは水分を含むと膨張する性質があるため、キューティクルが剥がれているところだけ水分を含んで膨らみ、うねりを生じてしまうのです。

髪が細くなってしまう

髪の毛を構成する成分がたりていないため、ケラチンが不足するとだんだんとスカスカな髪の毛になり細くなっていきます。

しかし、髪が細くなる原因としては、ほかに栄養不足やストレス、遺伝などもあるため一概にケラチン不足のせいとは言えません。

とはいえ、ケラチン不足が関係していないとも言い切れないため、以前より細くなってきたと感じている方はケラチンを補う生活を心がけるようにしましょう。

髪のケラチン不足は偏った食生活が原因

髪の毛のケラチンが不足する原因は、食生活にあります。ケラチンは、もともとタンパク質からできている成分です。

タンパク質の摂取量がたりない食生活を続けていると、ケラチンが作られずに不足してしまいます。

ケラチンは爪や皮膚にも存在していることから、爪に縦筋が入ったり皮膚の弾力が低下したりしている場合は、ケラチン不足が考えられるでしょう。

食生活のほか、ドライヤーやヘアアイロン、ヘアカラーやパーマなどによりキューティクルがダメージを受け、ケラチンが流れ出やすくなることも原因です。

髪に必要なケラチンは食事で補うのが基本

「髪の毛が細くなってきた」「うねりが以前より増してきた」という方は、ケラチンを補う食事を心がけましょう。

ケラチンを補うためには、タンパク質のほか、亜鉛やビタミンなども積極的に摂ることが大切です。

タンパク質が豊富な食品

タンパク質はケラチンを構成する成分そのものであるため、意識して摂る必要があります。年齢や身体活動レベル、性別に応じて必要なタンパク質の量が異なるので、適切な摂取量を目指しましょう。

一日あたりのタンパク質の目標量は、日本人の食事摂取基準(2020年版)で次のように定められています。

タンパク質の目標量(男性)

タンパク質の目標量(女性)

※身体レベル活動Ⅰ:生活の大部分を座って過ごす。Ⅱ:座っていることが多いが、立ち作業や接客、買い物などを行う。Ⅲ:立っていることが多く、活発的に体を動かしている。

タンパク質が多い食品としては、次のものが代表的です。

タンパク質を多く含む食品

亜鉛が豊富な食品

亜鉛は、ケラチンを作る際に必要な成分です。

ケラチンはアミノ酸であるメチオニンがシスチンになり、シスチンに亜鉛が働くことで作られます。
亜鉛が不足するとケラチンが作られなくなるため、タンパク質と同時に摂取するよう心がけましょう。

日常生活で不足することはあまりありませんが、一日あたり次の量を摂るように推奨されています。

  • 男性:11mg*
  • 女性:8mg

*75歳以上の男性は10mg

亜鉛を多く含む食品としては、次のものが代表的です。
牡蠣はよく知られている食品の一つでしょう。そのほか、ビーフジャーキーや豚レバーなどにも多く含まれています。

亜鉛を多く含む食品

ビタミンB2が豊富な食品

ビタミンB2は、亜鉛の吸収を高める働きがある成分です。

亜鉛を意識した食事を摂るときは、ビタミンB2も同時に摂取するようにしましょう。

一日あたりの推奨量は、次のとおりです。

ビタミンB2の摂取推奨量

ビタミンB2は次のような食品に多く含まれています。

ビタミンB2を多く含む食品

アーモンドは、血行をよくするビタミンEも豊富に含む食品です。
良質な油を含むことから、皮膚や髪の毛の乾燥対策にもよいでしょう。

ただし、過剰な摂取は逆に皮脂の増加等に繋がり、頭皮環境の悪化を引き起こす可能性もあるため、適量を取ることを心がけてください。

ビオチンが豊富な食品

ビオチンは、皮膚や粘膜の健康を維持するのに必要なビタミンです。
ケラチンの生成にも関わっていることで知られています。

ビオチンを摂取することでケラチンが作られやすくなるため、こちらもあわせて摂取するように心がけましょう。

18歳以上の場合、ビオチンの摂取目安量は一日あたり男女とも50μgです。

ビオチンが含まれている代表的な食品には、次のものがあります。

ビオチンを多く含む食品

食事以外のケラチンの補い方

ケラチンを食事から補充するためには、タンパク質や亜鉛などを積極的に摂ることが大切です。しかし、食生活を変えるのはなかなか難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。そのような方には、サプリメントやシャンプーを使って補っていく方法がおすすめです。

サプリメントで補う

ケラチンが単体で入ったサプリメントはあまりないので、育毛系のサプリメントを活用するとよいでしょう。

育毛サプリにはケラチンと同時に摂取したい亜鉛やビタミンB2、ビオチンなどが一緒に配合されているものも多くあります。

髪の毛の健康に必要な栄養素を手軽に摂りたいときは、サプリメントがとても便利です。

シャンプーやトリートメントを使う

ケラチンが配合されたシャンプーやトリートメントも多く販売されています。
髪の毛から直接ケラチンを補い、補修するのが目的です。

しかし、髪の毛からどれくらいのケラチンが内部まで浸透するかは明らかではありません。

正直なところ、あまり大きな効果は期待できないといえるでしょう。

ケラチンは食事から補うのが基本であり効果的です。

ケラチン摂取だけではAGAは改善しない

ケラチンが不足すると、髪の毛が細くなったりうねったりすることから、薄毛や抜け毛と関係があるのではと心配している方も多いかと思います。

実際、枝毛や切れ毛の原因にもなるため、髪の毛のボリュームになんらかの影響をもたらすのは間違いありません。

そのため、ケラチン不足は少なからず薄毛の原因になると考えられます。

ケラチンはAGAの直接的な原因にはならない

ケラチン不足が薄毛の原因になることはありますが、AGA(男性型脱毛症)を引き起こすことはまずありません。

AGAは、そもそもジヒドロテストステロン(DHT)が脱毛因子の分泌を促すことで起こるものです。

ケラチンが不足してもジヒドロテストステロンや脱毛因子には一切影響がないことから、AGAの直接的な原因になることはありません。

実際に、AGAの治療としてケラチンは使われておらず、ジヒドロテストステロンの産生を阻害したりヘアサイクルを整えたりする治療薬がメインで使用されています。

AGAの改善は適切な治療が必要

AGAは、生え際や頭頂部から薄毛が進行していきます。

ただ単に切れ毛が増えたり細くなったりしているのではなく、抜け毛が増えて薄毛が進行している場合はAGAの可能性があるため、適切なAGA治療を行うことが大切です。

AGAを発症している場合は、いくらケラチンを補っても劇的な薄毛改善は期待できません

専用の治療薬がありますので、クリニックで相談して処方してもらいましょう。

髪にケラチンは不可欠!健康的な頭髪のために対策をしよう

ケラチンは、髪の毛を構成するタンパク質の一種です。

大部分を占めていることから、ケラチンは髪の毛の健康を維持するために大切だといわれています。
不足すると髪の毛が細くなったり切れ毛が増えたりするため、ボリュームが低下してしまうこともあるでしょう。

ケラチン不足の方は、タンパク質を積極的に摂ることが大切です。あわせて亜鉛やビオチンなども同時に摂取しましょう。

一方で、明らかに薄毛が進行している場合は、ケラチン不足ではなくAGAが原因だと考えられます。

AGAはケラチンの補給やヘアケアだけでは改善できないため、早めに適切な治療を行うようにしてください。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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