薄毛(ハゲ)・抜け毛予防に頭皮マッサージは効果的?方法や手順を紹介
薄毛(ハゲ)予防には、頭皮マッサージが有効だと言われています。しかし、やみくもにマッサージをしても高い効果は期待できません。まずは、マッサージのコツや方法を覚えましょう。
「頭皮マッサージは薄毛に効果的?」
「ハゲ予防に効果的なマッサージの方法を知りたい」
薄毛や抜け毛が気になり始めると、このような思いや疑問がわいてくることでしょう。確かに、頭皮マッサージは頭のツボを刺激して血行を良くするため、髪の毛には好影響を与えると言われています。
この記事では、頭皮マッサージは薄毛や抜け毛に効果があるのか、マッサージの方法や手順はどうすれば良いのかについて解説します。
■ 本記事のサマリ
- 頭皮マッサージだけではAGAは改善できない
- 頭皮マッサージは髪が育ちやすい頭皮環境を作ってくれる
- 自分にとって気持ちの良い方法を1日5分程度、2-3セット毎日続けることが重要
- 既に薄毛が気になりだしている場合は、なるべく早くクリニックで適切な対処法を相談することを推奨
頭皮マッサージで薄毛(AGA)は改善できる?
頭皮マッサージをすると、頭のツボが刺激されて血行が良くなり、頭皮の筋肉も柔らかくなります。それにより栄養が行きわたりやすくなるため、頭皮環境を整えることが可能です。
では、頭皮マッサージでハゲ予防をすることはできるのでしょうか?
頭皮マッサージだけでは薄毛は改善されない
結論からお伝えすると、頭皮マッサージだけでは、薄毛の改善は期待できない可能性が高いです。
男性のハゲの原因の大半を占めるAGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響によって起こります。AGAは、男性ホルモンのひとつであるテストステロンが5αリダクターゼと呼ばれる酵素と結合し産生される、ジヒドロテストステロンが原因となり発症します。
ジヒドロテストステロンは毛母細胞に取り込まれ、脱毛因子を発生させます。脱毛因子は髪の毛を成長期から退行期へと変化させ、ヘアサイクルを乱します。これにより抜け毛が増え、薄毛が進行してしまうのです。
頭皮マッサージは、AGAの原因となるこれらの5αリダクターゼやジヒドロテストステロンには大きな影響を及ぼすことができません。
また、AGAは遺伝が関係している場合も多いとされています。つまり、内的要因が関係しているため、頭皮マッサージだけで薄毛(AGA)が改善されることはありません。
クリニックでのAGA治療の補助的な役割としては有効
AGAによる薄毛の改善には、AGAの原因に直接効果を示す、クリニック等での治療が有効です。
前述の通り、頭皮マッサージだけではAGAによる薄毛改善は難しいですが、AGA治療と合わせて、頭皮マッサージも補助的に取り入れることで、より効果が得られると考えられます。
頭皮マッサージで発毛を促すことはできませんが、頭皮環境を整えることが期待できるからです。
頭皮環境が悪いと、食事で取り入れた栄養素が髪に行きわたりにくくなってしまいます。その結果、髪の毛が細くなったり、抜け毛が増えたりするリスクがあるのです。
これに対し、頭皮マッサージを定期的に行うと、頭皮の血流が促進されます。その結果、栄養素を含んだ血液が頭まで届きやすくなり、健康的な頭皮や髪の毛の維持に繋がるのです。
頭皮マッサージによる薄毛(ハゲ)改善効果
残念ながら、頭皮マッサージではAGAを改善することができません。しかし、薄毛を予防する効果はあると言われています。ハゲ予防が期待できる頭皮マッサージには、どのような特徴があるのでしょうか。
頭皮の血行促進
頭皮マッサージをすると、頭皮の体温が上がります。実は、頭は他の身体の部分と比べると、体温が1度〜3度低いとされています。そのため、何もしないでいると血行不良が生じやすく、栄養が頭皮まで行きわたりにくくなるのです。
栄養が不足すると髪の成長も滞ってしまいますので、必然的に髪の毛が細くなったり、抜け毛が増えやすくなります。その結果、薄毛に陥る可能性が高くなるのです。
頭皮マッサージを定期的に行うと、頭皮の血行促進が促されます。これにより、ハリやコシを伴った元気な髪を目指すことができるでしょう。
毛穴の詰まり解消
頭皮には、数多くの毛穴が存在します。また、髪の毛は毛穴から生えてきますので、毛穴が詰まるなどのトラブルが生じると、髪の毛にも影響を及ぼします。
毛穴が詰まる原因のひとつに、皮膚の新陳代謝が低下していることが挙げられます。この状態になると、毛穴に角栓が形成されてしまいます。本来なら、角層は自然に剥がれ落ちるものです。ところが、新陳代謝がスムーズに行われないと、角層が剥がれ落ちることなく留まってしまい、角栓を形成するのです。
ここでも、頭皮マッサージをすると血行不良が改善し、皮膚の新陳代謝が活性化しますので、毛穴の詰まりの解消が期待できます。
リラックス効果
頭皮マッサージをすると、心と身体がリラックスします。例えば、3分程度のマッサージでも、ストレスを軽減することができると言われているのです。
マッサージは、自律神経のひとつである副交感神経を優位にします。副交感神経は心を穏やかにさせる効果があるのです。ストレスを感じたり、忙しかったりするときにマッサージを行うと、より効果が期待できるでしょう。
ストレスは頭皮環境を乱し、薄毛を引き起こす要因にもなります。そのため、頭皮マッサージなどによるストレス解消は薄毛予防にも有効です。
薄毛(ハゲ)予防・改善の頭皮マッサージ3つの方法
いくら薄毛の予防や改善が期待できると言っても、やみくもに頭皮をマッサージしては効果が見えにくい場合があります。頭皮マッサージを有効に行うには、以下の3つの方法を覚えておきましょう。
また、頭には4つの筋肉(頭頂部と前頭部、側頭部と後頭部)があります。これらの筋肉をバランス良くマッサージすることが大切です。
円を描くように揉む揉捻法(じゅうねんほう)
揉捻法とは、頭皮に対して手で円を描くように揉んだりほぐしたりする方法です。特に、側頭部の筋肉をマッサージするときに使う動きになります。
頭皮を掴んで放す圧迫法
指に力を入れて、頭皮をつかむようにマッサージをします。つかんだ後は、リズムをつけて手を放す動きを繰り返しましょう。頭頂部の筋肉のマッサージに効果的です。
軽く頭皮を叩く叩打法(こうだほう)
手を軽くにぎって、こぶしを作ります。そのこぶしの側面で頭皮を叩くマッサージ法です。主に後頭部の筋肉に、この動きを入れると良いと言われています。
薄毛(ハゲ)予防・改善の頭皮マッサージ手順
頭皮マッサージは、頭の4つの筋肉をバランス良くほぐすことが重要です。マッサージの手順は必ずしも決まってはいませんが、具体例をご紹介します。参考にしながら進めてみてください。
①首や肩をほぐす
頭皮マッサージをする前には、首や肩をほぐしておくことがおすすめです。血液は心臓から流れ出し、届くのは頭が最後だと言われています。
そのため、中継地点の首や肩の凝りで血液がせき止められると、頭への血流が悪くなってしまうのです。血液の流れを滞らせないように、首や肩をまわしたり、指でもんだりしましょう。
②頭の側面を揉む
首と肩をほぐしたら、頭の側面を手で覆いながら円を描くようにマッサージして行きます。そのまま、頭皮全体を指の腹を使って揉み進めます。
③頭皮全体を圧迫法と叩打法で揉む
圧迫法を使い、頭皮全体をマッサージします。その後、側頭部から後頭部、頭頂部へ叩打法を使い、軽く叩き上げてください。
④前頭部から後頭部へ揉みこむ
両手の親指を使い、額の中央から後頭部、側頭部、耳の上から顎にかけて押します。
⑤こめかみから頭皮を引き上げる
最後に右手の親指を右のこめかみに当てながら、残りの指を額の生え際に置きましょう。左手の親指は左の襟足に当て、残りの指は左のこめかみに。この状態をキープしながら、ゆっくりと頭全体を引き上げます。終わったら、左右の指を入れ替えて繰り返してください。
この手順はすべてを行う必要はなく、自分にとって気持ちの良いもの3〜4種類を組み合わせて実践します。1日に5分程度、2〜3セットが理想です。
薄毛(ハゲ)・抜け毛の改善に効果的なツボ
頭には、さまざまなツボが集まっています。また、ツボには血行を促進するために効果的なものもあります。頭皮マッサージをする際には、以下のツボを意識してみましょう。
百会(ひゃくえ)
百会は、頭のてっぺんから後頭部の方に少し下がったくぼみがある部分です。さまざまな心身の不調に効果を発揮する万能ツボだと言われることがあります。百会を刺激することで、血流促進等に繋がり、脱毛予防が期待できます。
和髎(わりょう)
和髎は、両もみあげの付近にあります。肩こりなどを改善する役割があるため、頭の凝りの緩和にも効果的です。
天柱(てんちゅう)
両襟足の生え際に存在し、太い筋肉の外側のくぼみの部分が天柱です。頭の血流をスムーズにする効果があると言われています。
風池(ふうち)
天柱から1センチ程度上に位置し、円形脱毛症や後頭部の抜け毛を抑制すると言われるツボです。天柱と一緒に刺激することで、効果が高まるとされています。
角孫(かくそん)
角孫は、両耳の上あたりにあるツボです。これも血行の促進を促す働きがあります。疲れが溜まり、頭皮が硬くなっているときに押すと、リラックスできるでしょう。
頭皮マッサージの注意点
リフレッシュでき、ハゲ予防も期待できる頭皮マッサージですが、行う際の注意点も存在します。以下のような点に配慮しながら、無理をせずに進めましょう。
長時間やりすぎない
頭皮マッサージをしていると、つい気持ちが良くて長時間頭を触ってしまうこともあるでしょう。しかし、頭には多くのツボや神経などが集まっていますので、やり過ぎると逆に負担になります。マッサージは、1回で5分程度の短い時間で行ってください。
頭皮に爪をたてない
頭皮マッサージに慣れてくると物足りなくなり、頭にもっと刺激を与えたくなるかもしれません。しかし、爪をたてて押すのは避けてください。爪は頭皮を傷つける可能性が高いので、マッサージの際は必ず指の腹を使うことを覚えておきましょう。
力を入れ過ぎるのはNG
力を入れた方が頭皮マッサージの効果が高いと思ってしまいがちですが、これは逆効果です。強い力で頭皮を扱うと、血管が傷ついて地肌が炎症を起こす場合もあります。このようになってしまうと、十分な効果が得られません。
頭皮マッサージは、指が頭皮に触れている程度で行うことをおすすめします。あくまでも、気持ちが良いと思えるぐらいで抑えることが大切です。
頭皮マッサージは朝と夜が最適なタイミング
頭皮マッサージにふさわしいタイミングは、朝と夜だと言われています。なぜなら、頭皮の血流は寝る前から朝起きるまでが低下しやすいからです。そのため、この時間を目安にマッサージをすることで、頭皮の血行が促進されやすくなるでしょう。
また、自分が習慣化しやすいタイミングにマッサージを取り入れるのもおすすめです。例えば、シャンプーの際にマッサージをしたり、入浴後の頭皮が柔らかい状態のときに行ったりするのも良いでしょう。日常生活の中の隙間時間を利用すると、面倒くささを感じにくくなると思います。
既に薄毛が進行し始めている場合はクリニックへ
頭皮マッサージは血行を良くしたり、毛穴の詰まりを防いだりするなどの効果があります。抜け毛が減少し、髪の毛のハリやコシが維持できるので、薄毛の改善も期待できます。
しかし、本来の頭皮マッサージは、頭皮環境を整えることが目的です。そのため、薄毛の原因がAGAの場合はマッサージだけで対処することができません。薄毛や抜け毛の原因は、大半がAGAです。薄毛の進行を止めたり、髪のボリュームを元に戻したりするためには、できるだけ早くクリニックに相談することをおすすめします。
天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
- 本記事の内容は公開日時点の情報となります。 情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。