ミノキシジルはAGAに効果がない?薄毛に効かない原因や対処方法

「ミノキシジルは効果ないって聞いたけど本当?」「どういう人ならミノキシジルの効果が出やすいの?」とお悩みの方に向けて、この記事ではミノキシジルでどれくらいの効果が確認されているか、どういった人で発毛が確認されているのかなどを詳しく解説します。

目次

「ミノキシジルには効果がないと聞いて不安」
「どうすれば効果が出やすくなるの?」

ミノキシジルは市販で購入できることもあり、薄毛治療のためにまずは使ってみようと考えている方も多いかと思います。しかし、効果がないと聞いて使用するか迷っている方もいるでしょう。

そこで今回は、ミノキシジルに効果がないのは本当なのか、どうすれば効果をしっかり出せるのかなどについて解説します。

■ 本記事のサマリ

  • ミノキシジルは基本的にほとんどの方で発毛効果が検証されている薬
  • しかし、発毛効果は治療開始から4-6ヶ月後に出てくるため、根気強い治療継続が必要
  • 発毛効果がないと感じる理由として、初期脱毛や不適切な薬の利用等が挙げられる
  • 適切な治療法を選ぶためにも、クリニックに相談の上で治療を進めることを推奨

ミノキシジルは複数の研究で効果が実証されている薬

ミノキシジルを実際に使っている方の口コミを見ていると、たしかに「まだ効果がない」「変化がわからない」という声が散見されます。

そういった声ばかりを見ていると不安に感じてしまうかもしれませんが、ミノキシジルは多くの方が効果を実感しているAGA(男性型脱毛症)の代表的な治療薬の一つです。

ミノキシジルの効果はヘアサイクルの修正と血行促進

ミノキシジルは、おもに次の2つのはたらきによって発毛を促します。

  • 毛母細胞を刺激してヘアサイクルを整える
  • 血行を促進する

ヘアサイクルとは、髪の毛が生えてから抜けるまでの一定の周期のことです。毛周期とも呼ばれています。

ヘアサイクルの期間と特徴

AGAを発症すると成長期の期間が数ヶ月程度にまで短縮されてしまうため、髪の毛がしっかり育つ前に退行期や休止期に移行し、薄毛や抜け毛が目立ってしまうのです。

ミノキシジルは短くなった成長期を元に戻すことで、発毛を促します
また、血行を促進して栄養素や酸素を髪の毛に届けやすくしてくれることも特徴です。

男性だけでなく女性の薄毛にも効果があることで知られています。

外用薬と内服薬がある

ミノキシジルには、外用薬と内服薬とがあります。

外用薬はリアップのシリーズをはじめ、市販でも購入が可能です。ただし、市販薬は濃度が5%のものまでしかないため、より高濃度の外用薬が欲しい場合はクリニックを受診してください。

内服薬はミノキシジルタブレットやミノタブとも呼ばれており、こちらは市販されていないためクリニックで処方してもらう必要があります。

外用薬はベタつきやかゆみなどの副作用が起こることがありますが、多毛症の副作用が起こりにくいことがメリットです。

内服薬は外用薬と比べて高い効果が期待できますが、人によっては多毛症になることがあります。

どちらが自分に向いているのかについては、クリニックの医師としっかり相談して決めましょう。

ミノキシジルの効果は多くの人が実感している

外用薬と内服薬のどちらも発毛効果がしっかりと確認されているAGA治療薬です。

例えば、ミノキシジル5mgを24週間服用した研究では、写真評価で中等度以上の薄毛改善を示した症例がM字ハゲの73.3%、O字ハゲの93.3%という結果が出ています。*¹
*1 Ratchathorn Panchaprateep and Suparuj Lueangarun, Efficacy and Safety of Oral Minoxidil 5 mg Once Daily in the Treatment of Male Patients with Androgenetic Alopecia: An Open-Label and Global Photographic Assessment, Dermatol Ther (Heidelb). 2020 Dec

※「中等度の改善」とは、グローバル写真スコアによる評価で+2以上の改善を指す

ミノキシジルの効果がない人の特徴

外用薬と内服薬はどちらもしっかりと発毛効果が確認されているAGA治療薬です。しかし、人によっては「効果がない」と感じる場合もあります。実はミノキシジルの効果がない方にはある共通点があるのです。

服用を始めてから間もない

発毛効果を実感するためには、外用薬の場合は使用を始めてから4ヶ月、内服薬は6ヶ月ほどかかります。

早い方では3ヶ月ほどで効果を実感できる方もいますが、基本的にミノキシジルには即効性がありません。

服用を始めて数日~数週間程度であれば、効果を実感できないのは普通のことです。ミノキシジルの効果が表れるまでに時間がかかるのは、休止期に入ったばかりの髪の毛が成長期に移行するのに少なくとも2~3ヶ月は必要なことが関係しています。

発毛を実感するためには休止期にある髪の毛が成長期に移行し、さらに太く長く育っていく必要があるため、どうしても数ヶ月単位で時間がかかってしまうのです。

初期脱毛について理解していない

ミノキシジルでは初期脱毛が見られることがあります。

初期脱毛とは、ミノキシジルの使用を開始して10日〜1ヶ月ほど経ったころから見られる一時的な脱毛のことです。

初期脱毛は、ミノキシジルの効果により、細い髪の毛が新しく生えてきた健康な髪の毛に押し出されたり、乱れたヘアサイクルが一旦リセットされたりすることで起こります。

外用薬で初期脱毛が見られることはまずありませんが、内服薬の場合は可能性がゼロではありません。

初期脱毛が始まると1〜2ヶ月ほどは治療前よりは抜け毛の量が増えてしまいます。この時期を抜ければ発毛が実感できるようになるのですが、初期脱毛のことを知らないまま服用すると、「効果がないどころかAGAが悪化した」と感じてしまうかもしれません。

初期脱毛はミノキシジルがしっかり効いている証拠ですので、過度な心配は不要です。

用法用量を守っていない

ミノキシジルは用法用量をしっかり守って服用することで効果が発揮されます。
飲み忘れが多かったり、自己判断で服用量を調節していたりする方はなかなか効果を実感できないこともあるでしょう。

数日程度の飲み忘れなら効果に大きく影響することはありませんが、数週間単位で忘れてしまっている場合は要注意です。

また、医師の指示された量より少なめに使用している場合も効果が出づらくなる可能性があります。処方されたとおりの用法用量をしっかり守りながら使いましょう。

個人輸入で購入している

ミノキシジルは外用薬と内服薬のどちらも個人輸入で購入ができます。個人輸入をすると費用が半額以下に抑えられることもあり、利用を検討している方もいるでしょう。

しかし、個人輸入の薬は決しておすすめできるものではありません。有効成分がまったく入っていなかったり、表記より少ない量しか配合されていなかったりすることがあるためです。

AGA治療薬ではありませんが、個人輸入の薬を使用したことで真菌に感染し、髄膜炎を起こした症例なども報告されています。
費用を抑えようとした結果、効果が出ないだけならまだしも、健康被害による治療費が余計にかかることもあるのです。

厚生労働省も個人輸入した薬を安易に使用するのは控えるようにと忠告を出しているため、ミノキシジルを個人輸入するのは避けましょう。

AGA以外の可能性がある

男性の薄毛の多くはAGAが原因で起こるものです。しかし、薄毛や抜け毛はAGA以外でも起こることがあります。

円形脱毛症や脂漏性皮膚炎、牽引性脱毛症などが代表的です。

ミノキシジルはAGAにしか効果がないため、ほかの原因で起こっている脱毛に使用しても効果はありません。

自分がどのタイプの薄毛なのかを見極めて適切な治療を選択するためにも、まずは医師に相談するようにしましょう。

ミノキシジルの効果が得られやすい人の特徴

では、どのような方ならミノキシジルの効果を実感しやすいのでしょうか。ミノキシジルの使用を開始して発毛効果が出ている方には、次に挙げる5つの特徴があります。

AGA治療を始めるのが早い

AGA治療は早く始めれば始めるほど、発毛効果がしっかり出やすくなります。

逆に症状がかなり進行してから治療を始めても、思うように効果が出ないことがあるので注意しましょう。

髪の毛を作り出す毛母細胞の働きには寿命があり、すでに寿命を迎えているのであればどのような治療を行っても髪の毛が再び生えてくることはありません。

AGAを発症すると成長期が極端に短くなる関係で、毛母細胞は健康な方より短期間で寿命を迎えます。

そのため、治療せずに放置し続けると、髪の毛が生える毛母細胞の数が少なくなってしまい、治療効果が出にくくなる危険性があるのです。「薄毛が前より目立ってきたな」と感じたら、なるべく早く治療を始めることが大切です。

用法用量を守っている

用法用量を守ることは、ミノキシジルの効果を発揮しやすくするための基本となります。

医師の指示通りにしっかり服用することで、血液中にあるミノキシジルの濃度が一定に保たれるため、効果が出やすくなるのです。

うっかり飲み忘れてしまわないよう、スマートフォンでアラームを設定したり、飲み忘れ防止のアプリを使ったりして服用を続けていきましょう。

専門のクリニックで処方してもらっている

個人輸入したミノキシジルではなく、AGA専門のクリニックで処方されたものを使っている方は、効果が出やすい傾向にあります。

クリニックを受診することでAGAの進行度合いに合わせた適切な処方を提案してもらえるため、自分にぴったりの治療を行なえるのです。
自己判断では最適な治療がどれなのかを判断することはできません。効果を重視するなら、クリニックを受診することが一番です。

他の治療薬を併用している

AGAの治療では、ミノキシジルのほかにフィナステリドやデュタステリドを併用する場合も多くあります。

フィナステリドやデュタステリドは、AGAを進行させる原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の産生を阻害する内服薬です。ミノキシジルとは違った角度から発毛にアプローチしてくれるため、併用することでより高い効果が期待できます。

髪によい生活を心がけている

頭皮を清潔に保ち、髪の毛によい食生活を心がけることもAGAの治療では大切です。質の悪い土からは美味しい野菜ができないのと同じで、土台となる頭皮が荒れていると健康な髪の毛は生えてきません。

また、髪の毛は私たちが口にしたものを栄養源にして育っていきます。たんぱく質やビタミンA、ビタミンB6などは髪の毛の健康に欠かせない栄養素です。日頃の小さな積み重ねが未来の髪の毛の健康状態を左右することもあるため、普段から髪の毛のことを考えた生活を心がけましょう。

ミノキシジルの副作用について

ミノキシジルによる副作用としては、主に次のものが報告されています。

  • 頭皮のかぶれ・かゆみ
  • むくみ
  • 動悸・息切れ
  • めまい・立ちくらみ
  • 肝機能の低下
  • 多毛症

厚生労働省の調べによると、外用薬で副作用が起きる確率は8.82%です。そのうち約70%は頭皮のかぶれやかゆみが占めています。

動悸や息切れ、めまいなどは外用薬でも内服薬でも見られる副作用です。血管が拡張する影響で血圧がいつもより下がることで起こると考えられます。

肝機能の低下はミノキシジルによらずさまざまな薬で起こる可能性があるものですが、頻度としてはとても低いため心配しすぎる必要はないでしょう。

多毛症は内服薬の使用でときどき見られる副作用です。ヒゲや腕、胸毛など全身の毛が増えるため、人によっては気になることもあると思います。場合によっては治療と並行して脱毛を行う、多毛症の副作用のないAGA治療薬を選択する等の対策が可能です。

ミノキシジルはAGAに効果あり!薄毛治療はクリニックへ

ミノキシジルはAGAに効果がないと耳にすることがありますが、クリニックで処方してもらい、用法用量を守って服用を続けることで多くの方が発毛を実感できます。

有効成分が本当に入っているのかわからない個人輸入のミノキシジルを使ったり、頻繁に飲み忘れたりしている方はなかなか効果が出ないこともあるでしょう。

満足のいく発毛効果を実感するためにも、クリニックを受診して適切な治療を受けることが大切です。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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