AGA治療薬は飲み忘れで効果が減少?服用方法と忘れたときの対応

「AGA治療薬を飲み忘れたら効果がなくなる?」「飲み忘れた分はどうしたらいい?」とお困りの方に向けて、この記事では飲み忘れた際に起こりうる影響や対処法などを詳しく解説しています。

目次

「AGA治療薬は飲み忘れると効果が減少するって本当?」
「飲み忘れてしまったのだけど、どうすればいいの?」

毎日飲む薬だからこそ、うっかり飲み忘れてしまうこともあるでしょう。飲み忘れに気付いた瞬間にどうしようと焦ったり、治療効果が弱まるかもと心配になったりするかもしれません。

今回は、AGA治療薬を飲み忘れるとどのような影響があるのか、飲み忘れた場合はどう対処すればよいのかなどを解説します。

■ 本記事のサマリ

  • AGA治療薬は、なるべく同じ時間帯に毎日続けて飲むことが重要
  • 1-2日程度の飲み忘れは治療効果に大きく問題がないが、数週間飲み忘れた場合、薄毛が進行する可能性がある
  • 飲み忘れた場合は、基本的に次の服薬タイミングから再開

AGA治療に使用される主な薬は3種類

AGA治療は、内服薬や外用薬を用いて行われることが一般的です。ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドの3種類が代表的な治療薬として知られています。

ミノキシジルは、内服薬のほかに外用薬もあり、外用薬のほうは市販で購入することも可能です。フィナステリドやデュタステリドの内服薬は、クリニックで処方してもらうことで手に入ります。

それぞれを単体で用いることもありますが、「ミノキシジル+フィナステリド」や「ミノキシジル+デュタステリド」のように併用されるケースも少なくありません。

数あるAGA治療のなかでもこれらの治療薬は有効性が試験によって認められており、多くのクリニックで治療に用いられています。

飲み忘れによる影響や対策をお伝えする前に、背景情報としてまずはこれらの薬がどのように効果を示しているのかをご紹介していきます。

ミノキシジル(内服薬)

ミノキシジルは、毛母細胞を刺激してヘアサイクルを正常に戻したり、血行をよくしたりすることで発毛を促す治療薬です。

毛母細胞は、自身が細胞分裂をくり返すことで髪の毛を作り出していきます。毛母細胞が働いて髪の毛が伸びていく成長期が本来なら4〜6年あるところ、AGAを発症している方ではわずか数ヶ月しかありません。ミノキシジルはこの成長期を元に戻し、薄毛を改善します。

ミノキシジルの服用方法

AGA治療では、一般的にミノキシジルとして2.5〜5mgを1日1回服用します。ミノキシジルが10mg含有されたものも世の中には存在しますが、循環器系の副作用が起こるリスクが高いため通常は使用されません。

服用タイミングは食前でも食後でも構いません。血液中のミノキシジルの濃度をできるだけ一定に保つために、できれば毎日同じくらいの時間に服用しましょう。

フィナステリド

フィナステリドは、プロペシアという商品に配合されている成分としてよく知られています。AGAの進行と深い関わりがあるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える内服薬です。

ジヒドロテストステロンを作るためには5αリダクターゼ(5α還元酵素)という酵素が必要になります。5αリダクターゼには2種類あり、フィナステリドはそのうちⅡ型の5αリダクターゼを抑制することが特徴です。

日本皮膚科学会が発表している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」では、AGAの治療に対して推奨度A(行うよう強く勧める)となっており、広く使用されています。

フィナステリドの服用方法

AGA治療では、一般的にフィナステリドとして1mgを1日に1回服用します。飲む量に関しては、体質やAGAの進行状態を見て医師が診察を行い判断します。自己判断で量を調整しないようにしてください。

飲むタイミングは食前でも食後でも構いません。フィナステリドも、できるだけ毎日同じ時間に服用することで、血中濃度を一定に保ちやすくなります。

デュタステリド

デュタステリドは、フィナステリドと同じくジヒドロテストステロンが作られるのを抑える薬です。ザガーロという商品名でも知られています。

フィナステリドと似ていますが、デュタステリドは2種類ある5αリダクターゼのうちⅠ型とⅡ型の両方を阻害できることが大きな違いです。そのため、一般にデュタステリドのほうが効果が高いと言われています。

デュタステリドの服用方法

AGA治療では、一般的にデュタステリドとして0.5mgを1日に1回服用するケースが多いです。フィナステリドと同様、服用量は自己判断で増減せず、医師の指示に従うようにしましょう。飲むタイミングは食前と食後どちらでも大丈夫です。

ただし、デュタステリドについては若干ですが食前のほうが吸収されやすいことがわかっています。治療効果に影響が出るほどの差ではありませんが、できるだけ効果を高めたい方は食前に服用してみてもよいでしょう。

血液中のデュタステリドの濃度を一定に保つために、なるべく同じ時間帯に飲むようにします。

毎日同じ時間帯の服用が重要

再度になりますが、AGA治療薬はいずれも血液中の薬物濃度を一定に保つことが高い効果に繋がります。

安全に、より高い治療効果を目指す場合、下記を意識するようにしてください

  • 1日1回、毎日忘れずに服用する
  • なるべく同じ時間帯に服用する
  • 服用量は自己判断で増減しない

AGA治療薬を飲み忘れると治療効果が出ないことも

基本的に、AGA治療薬を1回飲み忘れた程度では、とくに大きな問題は起こらないと考えられます。目に見えて頭皮が薄くなってくるようなこともありません。しかし、1週間も2週間も続けて飲み忘れた場合は、治療に影響が出る危険性があります。

薬は服用後、段々と"代謝"されて効果を失っていきます。
この効果が失われる前に続けて薬を飲むことで血中濃度を一定に保ち続けることができるのですが、一般的にフィナステリドやミノキシジルなどのAGA治療薬は続けて服用がない場合、1日でほとんどが代謝され、血中濃度がほぼ0になると考えられています。

つまり、1日服用しないだけでも、効果が出ない時間が発生してしまう可能性がかなり高いのです。
更に、連日飲み忘れた場合には、血液中にある有効成分が完全になくなってしまうため、治療効果が出るまでに当初より時間がかかったり一時的に抜け毛が増えたりする可能性がゼロではありません。とはいえ、少し飲み忘れたからといってすぐにAGA治療がまた振り出しからスタートということにはならないので、すぐに服用を再開し、次から飲み忘れないように気をつければ大丈夫です。

飲み忘れたら次の服用タイミングから再開

飲み忘れに気付いたら、次の服薬タイミングからAGA治療薬を飲みましょう。

この場合、飲み忘れた分を絶対にまとめて飲んではいけません。
「1日飲み忘れたから明日は2日分一気に飲もう」と思ってしまうかもしれませんが、通常より多くの量を一度に飲むことで副作用が起こりやすくなります。飲み忘れたとしても、その日に飲む量は必ず1日量のみにしてください。

もしAGA治療薬を飲み忘れてどのように対応したらよいかわからない場合は、医師に相談するのも選択肢の一つです。

AGA治療薬の飲み忘れを防ぐ工夫

AGA治療薬は飲み忘れても大きな影響がないとはいえ、円滑に治療を進めるためにもできれば毎日しっかりと服用を継続したいものです。毎日決まった時間に飲むことで飲み忘れをある程度防げますが、それでも不安な方は次のような対策を行うとよいでしょう。

飲み忘れ防止グッズの活用

飲み忘れやすい方は、見えやすいところにお薬カレンダーを貼ってみてはいかがでしょうか。カレンダーにポケットがついており、そこにお薬を入れておけるようになっています。

日付が書かれたピルケースや服用時間を知らせてくれるタイマー機能のついたデジタル時計などもおすすめです。お薬カレンダーやピルケースは100円ショップでも購入できます。種類も豊富ですので、使いやすいものを選んでみてください。

スマートフォンの活用

スマートフォンでタイマーをかけておいたり、飲み忘れ防止用のアプリを使ったりするのもおすすめです。とくにアプリは、何の薬を何錠飲めばいいのかまで通知で知らせてくれるため、飲み忘れ防止はもちろん、飲み間違いの予防にもなります。

手持ちの薬があと何錠あるのかなども記録できるものもあるので、うっかり受診を忘れて薬を切らしてしまうこともなくなるでしょう。

食事を服用のタイミングにする

服用のタイミングを夕食後や朝食後のように固定する方法も有効的な手段の一つです。もちろん食前でも構いません。そのほか、「朝起きたらすぐに飲む」「仕事から帰ってきたら飲む」というように自分なりにタイミングを決めるのもよいでしょう。

ただし、お昼は何かと忙しくて飲み忘れやすいため、食事のタイミングに合わせて飲む場合は朝か夜にするのがおすすめです。

家族に協力してもらう

家族に「飲み忘れてたら教えて」と頼んでおくのも効果的です。自分一人だと忘れてしまうことでも、周りのサポートがあれば飲み忘れのリスクを最小限にできます。

しかし、この方法は家族にもAGA治療を行っていることをあらかじめ話しておかなければなりません。誰にも知られず治療したい方は、アプリやアラームなどを活用する方法がよいでしょう。

AGAの効果的な治療のために薬の飲み忘れには注意しよう

AGA治療薬は、毎日続けて飲むことで効果が出てくるものです。1回飲み忘れた程度では大きな影響は出ないと考えられます。しかし、1週間や2週間と続いた場合は薄毛治療の効果の減弱など多少の影響が出る可能性があるでしょう。

ただし、これまで服用していた努力がすべてムダになることはありません。数日飲み忘れた程度であれば、すぐに目に見えて抜け毛が増えたり、症状が進行したりなどはないので心配しすぎず、服用をすぐに再開するようにしましょう。

とはいえ、AGA治療は毎日の服用がとても大切です。飲み忘れやすい方は、お薬カレンダーやアプリ、アラームなどを活用して毎日の服用を続けられるように工夫してみましょう。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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