何故AGA治療は半年が目安なのか?髪の毛の生え変わり周期(ヘアサイクル)と紐づけて解説

AGAの治療効果が目に見えて実感できるまでには通常6ヶ月~1年程度かかるといわれています。何故そんなに時間が掛かるのか、本記事では髪の生え変わり周期(ヘアサイクル)について解説していきます。

目次

通常、AGAの治療効果が目に見えて実感できるまでに6ヶ月~1年程度かかるといわれています。

AGA治療を検討する上で、何故そんなに治療に時間が掛かるのか、疑問に思う方も多いでしょう。

そこで今回は、AGA治療の効果実感までに時間が掛かる理由について、髪の毛の生え変わり周期「ヘアサイクル」を元に解説していきます。

■ 本記事のサマリ

  • AGA治療は続けることで効果実感しやすくなる
  • 1~2ヶ月で効果が出ないと判断して服薬中止すると、折角の治療効果が無駄になるリスク
  • 髪の毛は通常数年かけて成長するもので、1cm伸びるために約1ヶ月必要
  • このことから、AGA治療薬の効果が目に見えて出るまでには半年~1年程度必要となる

AGA治療は続けることで効果実感しやすくなる

AGA治療は「まず半年」とよく言われますが、なぜ長期間服用を続ける必要があるのでしょうか。

その理由の一つに、AGA治療は継続するほど発毛効果発現率が高まるといわれています。

これは、過去複数の研究でも示唆されています。

例えば、フィナステリド1mgを3年間服用した研究では、写真評価で毛髪量の「改善」が見られた方が、1年後では58%のところ、3年後には78%まで増加しています。

また、実際にへアテクトで治療された患者様のデータでも、薄毛改善効果を実感された方は、半年継続で74%のところ、1年で85%、2年で90%治療継続により増加傾向にありました。

1年以降も薄毛改善効果の実感患者が増加していることからも、AGA治療は治療1~2ヶ月目で効果が出るか判断するのは時期尚早と言えるでしょう。

むしろ、半年~1年以降の治療継続でも薄毛改善効果が得られる可能性は十分期待できるため、早期に治療中断の判断をしないことが重要です。

AGA治療の中断は再び薄毛が進行するリスク

ここで、AGA治療において薄毛を改善し毛髪量を維持するには、薬を継続して服用する必要がある、ということに注意しておきましょう。

AGAは残念ながら完治する病気ではありません。
AGA治療薬は、AGAによる薄毛の進行を一時的に抑える効果のみのため、服用を止めて薬の効果が切れてしまうと、再度薄毛が進行する恐れがあります。

薬を1-2日飲み忘れたことですぐに薄毛が進行する可能性は低いですが、飲まない期間が半年~1年と続くと、再び薄毛が進行し、折角治療によって生えてきた髪の毛が再び抜けてしまう危険があるのです

このことからも、AGA治療開始後1~2年程度でヘアボリュームが希望の量まで増加したら、薬の量を減らしたり、発毛効果のある薬は止めて抜け毛を抑える薬のみで治療を継続されるケースが多いです。

逆に、髪が生えてこないからといって治療1~2ヶ月で服薬を中止すると、再びAGAが進行し、目に見えていなかった治療効果(抜け毛抑制や産毛)が無駄になってしまいます。

折角得られた発毛効果を無駄にしないためにも、独断で服用を止めるのは避けることをお勧めします。
医師と相談しながら無理のない治療継続を目指しましょう。

何故「半年」かかる?ヘアサイクル(毛周期)を元に解説

これには髪の毛の生え変わりサイでは、何故AGAは治療効果発現まで半年や1年もかかるのでしょうか?
クル(ヘアサイクル)が大きく関係しています。

ヘアサイクルとは髪の毛が毛根にできてから自然に抜け落ちるまでの周期を指し、次の3段階に分かれています。
一般的にはこのサイクルの1周に2~6年程度かかり、ゆっくりと髪の毛は成長します。

  1. 成長期(2~6年):髪が成長する
    (1) 初期頭皮の下で髪が生まれる
    (2) 中期:頭皮に産毛として出てくる
    (3) 後期:産毛が太く長く成長する
  2. 退行期(2~3週間):髪の成長が次第に緩やかに

  3. 休止期(約3ヶ月):髪が抜ける

通常、髪の毛は1日に0.3~0.4mm程度成長し、1cm伸びるために約1ヶ月必要となるといわれています。

一方、AGAではこの成長期が短くなることで、髪の毛が太く長く成長する前に抜けてしまいます。
これにより、AGAになると抜け毛や産毛が増加してしまうのです。

AGA治療薬はヘアサイクルを是正する

AGA治療薬は、ジヒドロテストステロンを作り出す酵素「5αリダクターゼ」を抑えたりすることでヘアサイクルを直接的に修正する効果があります。

AGA治療の種類とメカニズム

実感しにくいが重要な
「抜け毛減少」の効果

では、AGA治療薬はどのように効果を示すのか、大きく分けて2つの効果をご紹介します。

  1. 抜け毛を止める(進行抑制)
  2. 髪の毛を増やす(毛量改善)

薄毛治療というと2つ目の毛量改善につい注目してしまいますが、AGA治療薬には薄毛改善に重要な「抜け毛を止める」効果があることを覚えておきましょう。

「なかなか発毛しない」と悩まれている患者様も、実は抜け毛を止める効果により毛量が維持されており、治療しなかった場合、もっと薄毛が進行していた可能性があるのです。

見逃されがちな効果のため、「毛量が改善しない」と考えて治療を中断したら急に薄毛が進行してしまった、というケースも散見されるため注意してください。

次に、これらの2つの効果がどのように表れてくるのか、治療期間別に解説していきます。

実感しにくいが、治療初期から
AGA治療は効果が現れている

AGA治療期間別の効果

1~2ヶ月|古い髪が抜ける

治療を開始すると、まずはAGAによって細く短くなってしまった古い髪の毛が抜け落ちます。(休止期)
また、あわせて頭皮の下で新しい髪の毛が成長を始めます。(初期成長期)

そのため、治療後1~2ヶ月では、新たな髪が生えてきているものの、目に見えた発毛効果は感じにくいです。

一方で、効果の現れの一つとして一時的に抜け毛が増加する「初期脱毛」が見られる場合があります。
初期脱毛は治療開始後2週間程度から見られ始め、3ヶ月ほどすると落ち着いてくる症状です。

治療を始めたのに更に抜け毛が増えるのは辛いかと思いますが、薬が効いている証拠と捉えて服用を続けましょう。

なお、初期脱毛は全てのAGA治療患者で発生する症状ではないため、初期脱毛がない=効果がない訳ではない点にも注意してください。

2~4ヶ月|抜け毛の減少・産毛が生え始める

初期脱毛が収まると、まずは抜け毛の減少が効果として現れます。

つい見逃しがちな効果ですが、前述の通り、AGAにより本来であれば進行していた薄毛の症状を抑えている重要な効果です。

また、次に頭皮の下で成長していた髪の毛が産毛として生えてきます。(中期成長期)

しかし、最初に生えてくる産毛はかなり細く気付きにくいため、毎日頭皮の状態を観察したり、初期状態の写真を撮って比較することも一つの方法です。

また、先ほどお伝えした通り、休止期は3ヶ月程度のため、人によっては産毛が生えるまでに2ヶ月以上かかる場合もあります。
このタイミングで産毛が生えなくても諦めず、根気強く治療を継続しましょう。

4~6ヶ月|産毛の量が増えてくる

治療を始めてから半年程度で、産毛の量が段々と増加していきます。(中期~後期成長期)

効果が目に見え始める人が増える時期ですので、まずはここまで治療を継続できるかが、AGA治療の効果を実感するための第一関門と言えます。

6ヶ月以降~|髪が少しずつ成長する

AGA治療を始めて半年~数年かけて、少しずつ産毛が太く、長く成長していきます。(後期成長期)

人によってはヘアボリュームが目に見えて増加し、周囲からも髪質やボリューム改善を褒められるケースも多いようです。

しかし、再度お伝えすると、髪の毛は1日に0.3~0.4mm程度、少しずつ成長するものです。
半年はあくまで目安のため、治療後6ヶ月経ってヘアボリュームに変化がない場合でも、治療継続1年以降で効果が出る可能性が大いにあります。

しかし、それでも半年間治療しているのに効果を感じられないと不安に思われる方も多いと思います。
更に治療効果を高めるには、薬の量を増やしたり、デュタステリドなどのより効果の高い薬に切り替えるのも選択肢の一つです。
もしどうしても不安な場合は独断で薬の増減はせず、医師に相談することをお勧めします。

AGA治療は年単位での根気強い治療継続が重要

髪は1日に0.3mm程度、少しずつ成長するものです。
そのため、AGA治療によってヘアサイクルが補正され、ヘアボリュームが目に見えて増加するには半年~1年程度かかると言われています。

しかし、治療開始直後~半年は全く効果が出ていないというわけではなく、頭皮の下では少しずつ産毛が育っています。
AGAは進行性の疾患のため、なかなか目に見えて発毛効果が得られないからといって服薬を止めてしまうと、折角頭皮の下で育っていた産毛が太く長く育つ前に、再び抜けてしまうリスクもあります。

AGA治療で目に見えた発毛効果を得るためには、最初の半年~1年、根気強く服薬を続けてみることをお勧めします。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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