AGA治療による初期脱毛とは?抜け毛の原因や期間について解説

AGA治療で起こりやすい「初期脱毛」の原因や症状、見分け方、治療薬別のメカニズム、心がけると良い生活習慣や対処法などを詳しく解説し、初期脱毛に対する不安や疑問を解決します。

目次

AGA(男性型脱毛症)の治療を始めてからしばらくすると、抜け毛が増えたように感じることがあります。

せっかく治療を始めたにも関わらず、効果を感じるどころか、逆に抜け毛が増えているのでは?と心配になったり、治療に不信感を抱いたりする人も少なくありません。

しかし、抜け毛に驚き、「治療がうまくいっていない」、「治療法が合っていない」などと考え、治療をあきらめたり、やめてしまったりするのは得策とはいえません。

この記事では、AGA治療による初期脱毛とはどのようなものか、原因やメカニズム、対処法などについて詳しく解説します。

■ 本記事のサマリ

  • 初期脱毛はAGA治療が効いている証拠
  • 初期脱毛の期間は、個人差はあるものの、1ヶ月半~2ヶ月程度
  • 初期脱毛が終了すると、新しい毛髪が生えてくる
  • 初期脱毛でない場合、早期に適切な治療に繋げるためにも、
    薄毛治療は専門家のいるクリニックで実施することを推奨

初期脱毛は治療効果の現れ

AGA治療を開始してまもなく、以前に比べ、抜け毛が増える現象が起こる場合があります。治療の初期段階で起こりやすいことから「初期脱毛」と呼ばれます。

初期脱毛は毛髪のヘアサイクル(毛周期)が正常に戻っている証拠と考えられており、抜ける手前の古い毛髪と、新しく成長を始めた毛髪の入れ替わりが進み、一時的に抜け毛が増えたように感じるのです。

抜けた毛髪の下には、次の新しい毛髪が生える準備を整えており、初期脱毛を経てしばらくすると、新しい毛髪が地肌の上に生え出てきます。

初期脱毛の段階で治療をやめてしまうと、せっかく始めた治療の効果がなくなるばかりか、薄毛や抜け毛などの症状がもとのAGAの状態に逆戻りしてしまうため、短絡的な判断は禁物です。

初期脱毛はヘアサイクルの改善で起こる

初期脱毛が起こる理由を理解するには、まず毛髪が生えるメカニズムを知る必要があります。

一本の毛髪が成長し始めてから抜け落ちるまでの周期を「ヘアサイクル」(毛周期)といいます。ヘアサイクルは、「成長期」「退行期」「休止期」の3つの期間で構成されます。

① 成長期

毛髪の元となる毛母細胞が、分裂と増殖を活発に繰り返し、新しい毛髪が生まれ、太く長く成長する期間です。通常は2~6年程度で、ヘアサイクルの中で最も長い時期を占めます。

また、成長期は、初期成長期、成長期、後期成長期に分けられます。初期成長期は、地肌の下で新しい毛髪が生え始め、毛根の部分を形成する段階で、まだ地肌の上には毛髪が生えてきていない状態です。

初期成長期から成長期に移行すると、数年の時間をかけ、長く、太く、しっかりとした毛髪に成長します。その後、毛髪の成長が止まる直前の後期成長期を経て、退行期の段階に移行します。

② 退行期

毛髪の成長が止まり始め、毛球が退縮(小さくなる)し、髪の毛が抜け落ちる前の段階です。通常2~3週間程度の比較的短い期間で次の休止期に移行します。

③ 休止期

髪の毛の成長が完全に止まり、毛球が退化するとともに、毛根の位置が浅くなり、髪の毛が抜け落ちる時期です。休止期は通常3~4ヶ月程度です。

正常な毛髪は、成長期、退行期、休止期のヘアサイクルによって、発毛、成長し、やがて抜け落ち、また新たな毛髪に生え変わる、という周期を繰り返して、何度も生まれ変わります。

AGAは、通常2~6年ある成長期が短くなり、毛髪が太くしっかりと成長する前に退行期へ移行することで起こります。個人差はありますが、成長期は数ヶ月から1年程度と極端に短くなります。

成長期が短縮することで、毛髪が十分に成長する前に退行期、休止期へと移行して抜け落ちるため、薄毛になったり、抜け毛が増えたりするのです。

初期脱毛はAGA治療が順調な証拠

AGA治療薬は短くなったヘアサイクルを正常な状態に近づけることにより、毛髪の成長を促進したり、休止期から初期成長期への移行を早めたりする作用があります。

初期脱毛は、ヘアサイクルが正常に近づいている証拠で、治療薬の効果によって新しい毛髪が休止期の毛髪を下から押し出し、抜け落ちる時期を早めるため、一時的に抜け毛が増えたように見える症状です。一見抜け毛が進行しているように見えますが、頭皮の下では新しく生える髪の毛が成長を始めている証拠と考えてください。

初期脱毛の後、新しい毛母細胞が細胞分裂を活発に繰り返し、髪の根となる毛根がしっかりと作られた後、ようやく毛髪は地肌の上に顔を出してきます。その後、毛幹部が伸長するにつれ、目に見える形で治療の効果を実感できるようになります。

初期脱毛は1~2ヶ月程度で終わる

初期脱毛は、個人差もありますが、治療を始めてから2週間~1ヶ月くらいで始まり、1ヶ月半~2ヶ月程度で終わるといわれています。

治療薬の効果を実感するまでの期間は、早くても3ヶ月、通常は6ヶ月程度かかるため、ヘアサイクルの休止期(3~4ヶ月)が早まると考えれば、初期脱毛が2週間~2ヶ月程度となるのは、理屈としても合っています。

初期脱毛は精神的にもショックを受けやすい症状ではありますが、治療効果が出ている証拠ととらえ、根気強く治療を継続することをお勧めします。

一方で、薄毛の進行が半年程度顕著に進んでいるように感じるケースでは、初期脱毛でない可能性もあるため、心配な場合は医師と相談しながら治療を継続していきましょう。

初期脱毛が終わる兆候は抜け毛の減少や産毛

初期脱毛の兆候は、毛髪が毛根を形成している時期には、地肌の下にあるので、目では確認できません。

毛根の形成が終わり、毛髪が地肌の上に出てきて毛幹となり、抜け毛の割合が減ったり、地肌から産毛が生えてきたりすれば、初期脱毛の期間が終わりに近づいている兆候といえるでしょう。こういった兆候は気付きにくいため、毎日頭皮の状態を観察したり、初期状態の写真を撮って比較することも一つの方法です。

初期脱毛が起こる可能性があるAGA治療薬について

現在(2023年6月)、日本国内で製造販売が承認されているAGA治療薬は、主にミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドなどの成分が含まれた医薬品です。ここでは、それぞれの成分による初期脱毛について解説します。

ミノキシジル

ミノキシジルは日本で始めて「発毛剤」として認可されたAGA治療薬の成分で、毛母細胞を活性化し発毛を促進するとともに、ヘアサイクルを正常化し脱毛を予防する2つの効果があることから、初期脱毛が起こる可能性は比較的高いと考えられます。

もともとミノキシジルは、血管を拡張する薬理作用があり、降圧剤として開発されていましたが、ミノキシジルで治療を行った人に副作用として増毛効果があることが分かり、用途を変えてAGA治療薬として開発することになった背景があります。

1999年に発売された大正製薬HDの「リアップ」が20年間、市場を独占していましたが、2018年に特許切れとなったため、現在では、さまざまなメーカーがミノキシジルのジェネリック品(後発医薬品)を製造販売しています。

フィナステリド

フィナステリドは、前立腺肥大症の治療薬として開発されましたが、こちらも治療の過程で発毛が促進される副作用があったことから、AGA治療薬に転用して製品化されたものです。

日本でもフィナステリドは厚労省に認可されたAGA治療薬で「プロペシア錠」を始め、いくつかのジェネリック医薬品が製造販売されています。ただし、ミノキシジル(第一類医薬品)とは異なり、医師の処方が必要な医療用医薬品のため、dラッグストアなど市販で購入することはできません。

フィナステリドは、AGAの原因となる男性ホルモンの一種、DHT(ジヒドロテストステロン)の産生に関わる5α還元酵素(5αリダクターゼ)Ⅱ型の作用を阻害する働きがあり、AGA治療薬としての有効性が確認されています。

しかし、フィナステリドの添付文書には、効能・効果として「男性における男性型脱毛症の進行遅延」と表記されており、上記酵素を阻害することで抜け毛を抑える効果を持つ医薬品です。そのため、ヘアサイクルを正常に近づける作用はミノキシジルほど強くないと考えられ、初期脱毛の症状は比較的少ないと推測できます。

デュタステリド

デュタステリドもミノキシジルやフィナステリドと同じく厚労省の認可を受けた医薬品で、フィナステリドと同様に医師の処方が必要な医療用医薬品です。

デュタステリドとフィナステリドの違いは、フィナステリドはⅡ型の5α還元酵素にだけ作用しますが、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の5α還元酵素を阻害するため、フィナステリドよりも脱毛を抑える働きが強いと考えられます。

また、デュタステリド製剤の添付文書には、効能・効果として「男性における男性型脱毛症」となっており、フィナステリドよりも、ヘアサイクルを正常に近づける効果が高いと考えられます。

そのため、初期脱毛が起こる割合は、ミノキシジルほどではありませんが、フィナステリドよりも高いといえます。

つまり、ミノキシジルとフィナステリド、デュタステリドにおける初期脱毛が起こる可能性は、理論上では、

(大きい) ミノキシジル > デュタステリド> フィナステリド (小さい)

という順になります。

ただし、効果には個人差があるため、必ずしもすべての人において、このような順番になるとは限りません。

初期脱毛を抑えたい人におすすめのAGA治療薬

初期脱毛は毛髪のヘアサイクルを正常に近づける過程で起こる一時的な現象ですから、初期脱毛だけを抑えることには、薄毛治療においてあまり意味がありません。どうしても初期脱毛が心配であれば、フィナステリドでの治療を選択するのが無難といえるでしょう。

また、これらのAGA治療薬ではなく、血行促進や頭皮へ栄養を与える作用などを謳った市販の育毛剤などであれば最終的な薄毛改善効果はかなり劣りますが、初期脱毛は起こりにくいと考えられます。

AGA治療の初期脱毛が止まらない?考えられる原因

通常、初期脱毛は2週間~2ヶ月程度のため、時期が過ぎれば、自然に治まります。しかし、次のようなことが原因で初期脱毛が思うように止まらないことがあります。

頭皮の炎症

ミノキシジル外用薬では、まれに副作用として、頭皮の炎症、発赤、かゆみ、かぶれ、使用部分の熱感などの症状が起こる場合があります。これらの症状はミノキシジルやミノキシジルと一緒に配合された成分などが影響して起こると考えられ、無理をして使用を継続すると初期脱毛が止まらなくなることもあります。

こうした症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

生活習慣の乱れ

AGA改善のためには、単にAGA治療薬を使用すれば良いというものではありません。抜け毛や薄毛の原因には、体の健康状態や、睡眠や食事などの生活習慣も大きく関わっています。

夜更かしや寝不足、栄養バランスの悪い食生活などを続けていると、治療効果が十分に発揮できない場合もあります。初期脱毛が改善しない場合は、日常の生活習慣に問題がないか、見直してみましょう。

AGA以外の要因

治療を開始して2~3ヶ月程度を過ぎても初期脱毛が改善しない場合、薬剤の副作用やAGA以外の脱毛症が原因の可能性も考えられます。AGA以外で起こる脱毛症には次のような症状があげられます。

  • 円形脱毛症
  • 脂漏性脱毛症(脂漏性皮膚炎)
  • 牽引性脱毛症
  • 接触性皮膚炎による脱毛症
  • 甲状腺ホルモンの分泌異常による脱毛症
  • 過度なダイエットなど栄養障害による脱毛症
  • 髪の毛を引っ張る癖により生じる脱毛症

こうした脱毛症の場合、AGA治療薬では症状は改善できません。脱毛症の原因によって治療法が異なるため、医師や薬剤師に相談し、適切な治療を受けてください。

また、最近では治療の前に、AGAが原因かどうかを遺伝子検査で確認してから治療を始める医療機関もあるようです。できるだけ早く薄毛を改善するためにも、自己判断で治療を開始するのではなく、まずは専門家へ相談をすることをお勧めします。

初期脱毛とそれ以外の脱毛症の見分け方

初期脱毛とそれ以外の脱毛症を一般の人が判別するのは難しいのですが、考えられる方法は2つあります。

1つ目は、抜けた毛の毛先と毛根を正常なものと比較することです。健康的な抜け毛(自然な抜け毛)は、毛根から毛先までの太さがほぼ同じで、毛根部がふっくらと丸みをおびています。

一方、AGAによる抜け毛は毛根部が細く、小さくなっていて、毛髪も毛先にかけて細くなり、全体的に弱々しく痩せているように見えます。

2つ目は、毛髪の抜け方がAGAの特徴に当てはまっているかを確認することです。AGAの典型的な毛髪の抜け方は、おおむね3種類のパターンに分けられます。

鏡などで毛髪全体を見て、下記の症例と同じような抜け方をしている場合は、AGAの疑いが高いといえます。

なお、AGAがこうした毛髪の抜け方をするのは、AGAの原因となるアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)が前頭部や頭頂部に多く存在するためと考えられています。

 また、毛髪の一部が円形に脱毛していたり、頭全体に抜け毛が拡がっていたりする場合は円形脱毛症やAGA以外の脱毛症が考えられ、AGA治療薬では改善できません。この症例に近い場合は、自己判断せず皮膚科など専門医への受診をおすすめします。

AGA治療で初期脱毛が起きたときに心がけること

AGA治療による初期脱毛は効果の現れであり、完全には抑えることはできませんが、次のような生活習慣を心がけることで、ある程度発症を抑制したり、期間を短くしたりする効果は期待できます。

睡眠をしっかりと取る

睡眠が十分にとれていないと、自立神経の働きが乱れ、頭皮の血行悪化につながるため、毛髪の成長が妨げられます。

一般的に、毛母細胞が活発に働くのは副交感神経が優位になる22時~深夜2時といわれており、この時間帯を中心に十分な睡眠時間や睡眠のリズムを整えるようにすると良いでしょう。

食生活を見直す

バランスのとれた食生活は毛髪の成長にとっても重要です。毛髪の成長に必要な栄養素が不足すると初期脱毛にも悪い影響を及ぼします。理想的な栄養の摂り方は1日30品目、さまざまな食材をバランスよく食べることです。

特に、毛髪の主成分となるケラチンなどのタンパク質を合成するために必要な鉄分や亜鉛などのミネラル、頭皮の健康を維持するビタミンB2やB6、活性酸素の発生を抑制するビタミンCなどの栄養素をしっかり摂りましょう。

なお、昔からワカメを食べると毛髪が増えるといいますが、ワカメに増毛効果があるとする科学的な根拠は、残念ながらありません。また、食事を抜いたり、偏食したり、極端なダイエットをしたりするのも栄養不足につながりやすいため、注意が必要です。

飲酒や喫煙を控える

適度なアルコールは血行を促進しますが、過度の飲酒は生活習慣を乱す恐れもあり、良くありません。

また、タバコに含まれるニコチンは毛細血管を収縮させる作用があり、頭皮の血流を悪化させるため、毛髪の成長を妨げます。AGA治療のためには、飲酒を控え目にし、禁煙することをおすすめします。

頭皮のケアを心がける

AGAの方は、毛髪を失う心配から洗髪がおろそかになりがちです。頭皮を良い状態を保つことはAGAの治療において、とても重要です。毎日か1日おきくらいに、毛髪や頭皮をよく洗い、良好な頭皮を保ちましょう。

また、頭皮の表面の脂分や毛穴の汚れをしっかり取るために、週2~3回程度、シャンプーの前にAGA専用のクレンジングを行うことをおすすめします。過度にならない程度で、頭皮のマッサージを行うと、さらに効果が高まります。

なお、ミノキシジル外用薬を使用する際は、ドライヤーなどで毛髪を十分に乾かしてから塗布してください。毛髪に水分が残っていると、頭皮に薬剤が十分に浸透しなくなるためです。

初期脱毛が気になるときの対処法

初期脱毛はAGA治療薬の効果が現れ始めている証拠です。しかし、一時的に脱毛が増えることを気にする人も多いかもしれません。その場合、次のような対処法も参考にしてください。

薄毛が目立たない髪型に変える

髪型を短髪にしたり、両サイドや襟足をすっきりさせたりすると、薄い部分が目立ちにくくなります。ツーブロックやソフトモヒカン、パーマをかけるなど、薄毛の状態や髪質、自分の好みに合った髪型に変えてみるのも方法の一つです。

また、ワックスやムース、ミスト、ジェルなどを使い、髪の毛を立てたり、ふんわりとしたスタイルにしたりすると髪のボリューム感を出すことができ、薄毛が目立たなくなります。

ウィッグを利用する

ウィッグ(かつら)を利用する方法もあります。頭部全体に被せるタイプだけでなく、薄くなった部分だけを覆う部分用ウィッグもあります。

また、昔に比べて、ウィッグのクオリティも格段に上がっています。生え際が目立たない工夫をしたものや、化学樹皮による人工皮膚を用いた製品、オーダーメイドのウィッグなどもありますので、自分に合ったウィッグを選ぶことで、違和感なく自然な髪型のキープに役立てられるでしょう。

帽子を被る

そもそも帽子を着用すれば、薄毛かどうか外見では分からなくなります。ハンチングや中折れ棒、パナマハット、サファリハットなど、自分に合ったおしゃれな帽子を着用すれば、印象も良くなるはずです。また、帽子を被ることで紫外線による頭皮や毛髪へのダメージを防ぐ効果も期待できます。

AGA治療の初期脱毛にまつわるQ&A

これまで初期脱毛が起こる原因やメカニズム、治療薬の種類や作用、対処法などを説明してきました。最後に、その他の初期脱毛に関するよくある質問についてQ&A形式で解説します。

初期脱毛では1日にどれくらい毛が抜けるの?

日本人の毛髪の数は平均で10万本といわれています。個人差がありますが、自然に抜ける毛髪は1日に70〜100本程度です。

そのため、初期脱毛は100本より多くはなりますが、例えば3,000本や5,000本といった異常なほどの本数にはならないと考えられます。

AGA治療の初期脱毛は育毛剤で対処できる?

初期脱毛はAGA治療薬(特にミノキシジル外用薬)の効果によって起こるため、基本的には育毛剤では対処できません。育毛剤を併用することで、逆に薬の効果を半減させてしまう可能性もあるため、他の育毛剤を併用する場合は、医師や薬剤師に相談してください。

また、市販されている発毛剤「リアップX5」のようにミノキシジルと一緒に血行促進や栄養成分など育毛効果を加えた医薬品であれば、事前に安全性が確認されているため使用自体は問題ありません。しかし、初期脱毛の抑制効果があるかどうかは明確ではありません。

AGA治療すると初期脱毛は絶対に起こるの?

初期脱毛は個人差があるため、必ず起こるとは一概には言えません。科学的なデータが少ないため、初期脱毛の発症率ははっきりとは分かりませんが、経験的に7~8割程度の人に起こると考えられています。言い換えれば、2~3割(3~5人に1人)の人には起こらないことになります。

外用薬でも初期脱毛は起こる?

AGA治療用の外用薬であれば、製品やメーカーに関わらず、初期脱毛が起こる可能性はあります。特にミノキシジル外用薬は、内服薬のフィナステリドやデュタステリドよりも、毛母細胞を活性化し、ヘアサイクルを正常に近づける効果があるため、初期脱毛が起こりやすいといえます。

女性の薄毛治療でも初期脱毛は起こる?

発毛のメカニズムは男性も女性も同じです。AGAは男性の男性型脱毛症を指しますが、女性の男性型脱毛症は「FAGA(女性男性型脱毛症)」と呼ばれます。

AGAは男性ホルモンと関わりが深いため、女性は男性ほどFAGAが起こる可能性は低いと考えられますが、理論上は女性でもFAGAの症状があれば、初期脱毛が起こる可能性も否定できません。

AGA治療による初期脱毛は発毛の準備段階!気になる方はクリニックへ相談

AGA治療による初期脱毛は、多くの場合、毛髪のヘアサイクルが正常化する過程で起こる一時的な脱毛現象のため、AGA治療が順調に進んでいる証拠といえます。

初期脱毛を心配する気持ちは分かりますが、過度に敏感になったり、治療の効果を疑問視したりして、治療をやめてしまうと、せっかく始めた治療の効果がなくなり、もとのAGAの乱れたヘアサイクルに逆戻りしてしまいます。

また、初期症状が起こる時期や期間、抜け毛の症状には個人差があり、場合によっては、AGA以外の脱毛症が原因となる場合や、予期せぬ副作用によって脱毛が過剰に起こる場合もあります。

AGA治療に高い効果を求めるのであれば、AGAクリニックや皮膚科医など専門医に相談し、医師の指示に従って治療を進めることが、最も安全で確実な方法といえるでしょう。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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