帽子はハゲる原因になる?それとも薄毛予防になる?頭髪への影響を解説

帽子による締め付けや蒸れ、外的刺激は頭皮環境を悪化させますが、単独で薄毛の原因になることはありません。AGAによる薄毛は帽子の着用とは無関係のため、改善にはAGA治療が必要です。

目次

「帽子を被るとハゲるって本当なの?」
「なぜ帽子の着用が薄毛に関係あるの?」

“帽子を被るとハゲる”という話を耳にしたことがある方は多いはずです。
帽子は薄毛や髪のボリュームダウンが気になる方にとっては、コンプレックスを隠すアイテムとして欠かせません。
しかし、帽子が原因でハゲてしまっては本末転倒です。

なぜ帽子でハゲると言われるのかを知っていれば、適切な対応が可能になります。

そこで今回は、帽子でハゲる理由やハゲないための工夫、AGAとの関係などについて詳しく解説します。

 ■ 本記事のサマリ

  • 帽子は被り方によっては薄毛になるリスクがある
  • 特に、ずっと帽子を被っていたり、きつめの帽子を利用している場合は要注意
  • 帽子を被る場合は、通気性の良い素材の選択や、帽子内を清潔な状態に保つことを推奨
  • しかし、帽子だけでハゲる可能性は低い
  • 特に男性の薄毛の原因のほとんどを占めるAGA(男性型脱毛症)は帽子と関連がなく、帽子により改善することもない
  • AGAの改善にはクリニックでのAGA治療が必要

帽子がハゲる原因になる3つのケース

帽子でハゲる原因には蒸れや締め付けからくる頭皮環境の悪化があります。

ここでは、薄毛につながる頭皮環境の悪化がどのようにして起こるかを見ていきましょう。

頭皮の蒸れによる菌の増殖

帽子の内部は温度や湿度が上がるため、頭皮は蒸れがちです。
頭皮の蒸れによって汗や皮脂が増えると細菌が繁殖し、脱毛症を引き起こす恐れがあります

そもそも頭皮を含む皮膚には表皮ブドウ球菌などの常在菌が住んでいるもの。常在菌は通常皮膚を弱酸性に保ちバリア機能を維持する働きをしていますが、汗や皮脂が増えると異常繁殖し頭皮に悪影響を与えます。

増えすぎた常在菌の代謝産物として生成される脂肪酸は、過剰になると刺激物質として頭皮に痒みや炎症をもたらすものです。

炎症は悪化すると頭皮にダメージを与え、薄毛につながる可能性があります。
常在菌の異常繁殖によって起きるのは「脂漏性脱毛症」や「ひこう性脱毛症」などの脱毛症です。

頭皮の締め付けで起こる血行不良

帽子による頭皮の締め付けから血行不良になり薄毛につながる可能性もあります。

頭部が血行不良に陥りやすいのは、他の部位に比べると筋肉が少なく、巡る血管は毛細血管がほとんどだからです。

毛髪は毛細血管から受け取った栄養や酸素を元に毛母細胞が分裂と増殖を繰り返し、毛根部から押し出されるようにして成長しているものです。

しかし帽子による締め付けで血行が悪くなり、髪の材料が血によって毛根まで運ばれなくなると、髪の成長は止まり薄毛やボリュームダウンが進行してしまいます。

摩擦や牽引によるダメージ

帽子の脱ぎ着で起こる摩擦は頭皮にダメージを与え薄毛の引き金になり得るものです。

数回程度であれば頭皮に支障はありませんが、頻繁に着脱を繰り返す習慣が続くと知らず知らずのうちに頭皮を傷つけてしまいます。

また、帽子が与える頭皮へのダメージには牽引もあります。

キツめの帽子やヘルメットを被る際、頭皮の特定部位が引っ張られることにより毛根に負担がかかり起こるのが牽引性脱毛症です。

牽引性脱毛症では主に生え際や分け目、頭頂部などの髪が薄くなり頭皮が目立つようになります。

帽子だけで薄毛になる可能性は低い

帽子の着用で起こる頭皮環境の悪化は薄毛を引き起こす可能性があります。

しかし、薄毛には帽子以外にも複数の要因があるものです。
帽子が与える薄毛への影響はいかほどなのでしょうか。

ここでは、帽子と薄毛の関係について解説します。

帽子だけが原因でハゲる可能性は低い

帽子は薄毛の引き金となる可能性がありますが、帽子を被る習慣だけで薄毛が進行することはありません。

そもそも、薄毛にはホルモンバランスの乱れや栄養不足、ストレスの蓄積など内発的な要因が多くあります。

帽子を被っていてハゲてしまった場合、帽子による外的刺激の他にも薄毛を助長する複数の要因が関係している可能性があるでしょう。

薄毛隠しの帽子には注意が必要

薄毛が気になる方の中には、帽子で頭部を隠していなければ落ち着かないというケースもあるでしょう。

しかし、帽子の本来の目的は紫外線から頭皮や顔を守ることです。
四六時中帽子を被りっぱなしな状態では頭皮環境が悪化して更なる薄毛につながる恐れがあります。

また、帽子は一時的に薄毛を隠せたとしても根本的な解決にはなりません。
薄毛を根本的に改善する場合、適切な治療や生活習慣の改善を試みる必要があります。

帽子は薄毛対策のあくまで補助となる、サポートアイテムとして取り入れていくと良いでしょう。

帽子でハゲないための心がけ5つ

薄毛の方が帽子と上手く付き合うには、頭皮にダメージを与えないための心がけを知っておくと良いでしょう。

ここからは、ハゲないための帽子の選び方や着用の仕方などを解説します。

通気性が良い素材の帽子をかぶる

帽子の中は暑く蒸れやすいため、雑菌が繁殖しやすいものです。

薄毛につながる頭皮の炎症を防ぐには、毎日被る帽子を通気性に優れた素材のものにしましょう。
例えばメッシュ素材やドライ生地は速乾性なので汗をかいても蒸れにくく洗いやすいのでおすすめです。

またキツめの帽子は風通しが悪くなりがちなため、サイズにゆとりのある帽子を選ぶと良いでしょう。

長時間かぶり続けない

帽子による蒸れや締めつけを避けるには、長時間の着用を避けることがポイントです。

屋内や日陰など紫外線の心配が少ない室内では帽子を脱ぐようにしたりこまめに帽子を取ったりして、頭皮の風通しを良くしておきましょう。

仕事上、長時間帽子を被り続けなければならない場合は、首元を氷や冷却タオルなどで冷やすのがおすすめです。
耳の下辺りにある太い血管を冷やすと効率的に頭皮の汗を抑えられます。

こまめに汗を拭く癖をつける

頭皮の衛生を保つために、帽子を時折脱いで汗を拭く心がけが大切です。

異常繁殖によって頭皮に炎症をもたらす常在菌は汗や皮脂を餌とします。

また、皮脂が混じり合った汗が酸化することで更なる雑菌の繁殖も招いてしまいかねません。
帽子を被ると普段よりも汗をかきやすくなるため、こまめに拭き取って頭皮を清潔に保つようにしましょう。

定期的に帽子を洗う

頭皮の清潔を保つには頭皮の汗を拭き取るだけでなく、帽子の汚れも取り除いておく必要があります。

特に毎日使用する帽子には想像以上の汚れが付着しているものです。汗を大量にかく夏場は着用の度に洗うのがおすすめです。

毎日洗うのが難しい場合、乾燥機や天日干しなどで帽子の湿気を取り除いておくだけでも雑菌の繁殖を抑えられます。

また、帽子を選ぶときはこまめな洗濯を想定して速乾性のあるものを選んだり洗い替えを準備しておいたりすると良いでしょう。

毎日の洗髪を忘れない

良好な頭皮環境を保つために毎日の洗髪は大切です。

特に帽子を被る場合は頭皮が不衛生な状態になりやすいため、夜のシャンプーを欠かしてはなりません。

頭皮に残った大気中の汚れや汗、皮脂などは痒みや毛穴詰まり、雑菌の繁殖の原因となり、炎症を引き起こす場合があります。
炎症による頭皮環境の悪化は抜け毛や薄毛、ボリュームダウンにつながり得るものです。

頭皮の汚れは放置せず、必ずその日のうちに洗い流すように心がけましょう。

帽子は薄毛対策にも活用できる

帽子は上手く使えば頭皮環境を整え、薄毛対策をサポートしてくれるアイテムです。

以下では薄毛対策となる帽子のメリットを解説します。

髪と頭皮を紫外線から守れる

帽子の大きなメリットは髪と頭皮を紫外線から守れるところです。

紫外線には細胞に有害な活性酸素を皮膚内に発生させる危険があります。
強い紫外線に当たり頭皮の表皮細胞がダメージを受けると、水ぶくれや火照り、ヒリヒリとした痛みなどが起き、頭皮環境の悪化につながりかねません。

帽子は手軽に紫外線から髪と頭皮を守れるアイテムです。

手荷物になりがちな日傘やムラなく頭皮に照射するのが難しい日焼け止めスプレーなどと違い、帽子は被るだけで紫外線対策ができます。

UVカット生地の帽子を選べばほとんどの紫外線を遮断できる上、コンパクトに折りたたむことも可能です。

頭皮の乾燥予防になる

帽子が薄毛対策になる理由は、頭皮を日焼けから守り乾燥を防げる点にもあります。

頭皮の乾燥は皮脂膜や角質層が維持するバリア機能を低下させ、頭皮へのアレルゲンや雑菌の侵入を簡単にしてしまうものです。
異物に対するアレルギー反応は痒みや炎症を引き起こし、頭皮環境を悪化させます。

また頭皮の水分量が低下すると、紫外線によるダメージも受けやすくなります。

帽子は頭皮を紫外線や外気から保護し、頭皮環境を良好に保ってくれるアイテムなのです。

帽子とAGA(男性型脱毛症)は無関係

着用の仕方によっては頭皮環境の悪化につながる帽子ですが、男性の薄毛に多いAGAとは関係があるのでしょうか。

ここではAGAのメカニズムを交えつつ帽子との因果関係やAGAの治療方法などを解説します。

帽子がAGA発症の原因になることはない

AGAは男性ホルモンの影響で起こる脱毛症のため、帽子の着用が原因で発症することはありません。

ここでAGAのメカニズムに触れていきましょう。

AGAの引き金となるのは、主要な男性ホルモン「テストステロン」が体内の酸化酵素と結合してできる男性ホルモン「DHT」です。

DHTは毛乳頭で男性ホルモン受容体と結合して、毛母細胞に攻撃を与える脱毛因子を生成します。
脱毛因子の作用で毛母細胞が弱り、髪の軟毛化や短毛化、脱毛が起こるのがAGAの症状です。

AGAの発症率は酸化酵素の活性度や男性ホルモン受容体の感受性に左右され、両者は遺伝で引き継がれる性質です。

したがって帽子の着用とAGAには直接的な関係がありません。

また、帽子による紫外線対策や乾燥の予防ではAGAを食い止められる効果がないことも注意しておきましょう。

薄毛を帽子で隠すならAGA治療がおすすめ

AGAを発症している方の中には、薄毛の進行を帽子で隠したくなることもあるはずです。

しかし帽子で隠すだけでは、薄毛の根本的な解決にはなりません。

AGAは進行性の脱毛症である上、自力での改善が難しい疾患です。
脱毛の進行を真剣に止めたいのであれば、クリニックにて適切な治療を受けることがおすすめです。

AGAは投薬治療から始めるのが一般的

AGAの代表的な治療には次のものがあります。

AGA治療の種類

この中で最も一般的なものは内服薬など投薬治療による治療です。

内服薬は体内の酸化酵素を抑制して脱毛を防いだり血流の改善から発毛を促したりでき、AGAによる脱毛にピンポイントでアプローチできます。

また、症状に合わせて薬の量が調整できるので、万が一不調が起きても医師に相談することで薬の減量や中断が可能です。

その他、運営コストのかからないオンラインクリニックを選ぶと薬にかかるコストを大幅に削減できるのも大きなメリットでしょう。

帽子とハゲの関係を正しく理解して薄毛対策をしよう

帽子は頭皮を紫外線や乾燥から守れるアイテムですが、使い方によっては頭皮に悪影響を与え薄毛につながってしまう恐れがあります。

帽子と上手く付き合うには、頭皮と帽子を清潔に保ったり締め付けのない帽子を選んだりすることが大切です。

なお男性の薄毛に多いAGAの発症は、帽子の着用と直接的な関係がありません。薄毛の原因がAGAであるかもしれない場合、クリニックへの受診をおすすめします。帽子は薄毛治療を補助するアイテムとして活用しましょう。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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