喫煙がハゲる原因になる6つの理由|タバコが薄毛に与える影響とは

喫煙は、活性酸素の発生やビタミンの消耗、血流の低下をもたらし、ハゲの原因となります。電子タバコ・加熱式タバコもおすすめできません。本記事では、喫煙者のための薄毛対策を紹介していきます。

目次

「喫煙するとハゲるって本当?」
「どうしてタバコを吸うと抜け毛が増えるの?」
「禁煙をすれば薄毛は改善する?」

薄毛と喫煙について、このような疑問を持つ方も多くいるはずです。タバコが体に良くないことは広く知られていますが、どうして喫煙が薄毛に繋がるのでしょうか。

喫煙者の多くが疑問を持つ薄毛との関係は、タバコに含まれる有害物質が頭皮にもたらす影響を理解できれば解消できます。

そこで、今回は喫煙が薄毛の原因になる6つの理由や喫煙者ができる薄毛対策などをお伝えしていきます。

■ 本記事のサマリ

  • 喫煙は、薄毛の原因となることがある
  • 喫煙による血流低下や、栄養不足、男性ホルモンの増加等が原因
  • ただし、禁煙や生活習慣改善だけで薄毛が改善されない場合もある
  • 薄毛が気になる方は、AGA(男性型脱毛症)の可能性も加味して、まずは無料相談等で薄毛の原因を特定することを推奨

喫煙が薄毛(ハゲ)の原因になる6つの理由

喫煙が薄毛の原因となる理由は血管の収縮やビタミンの消耗、悪玉コレステロールの増加などさまざまです。これらの悪影響はどのようにして起こるのでしょうか。ここでは、それぞれの理由について具体的に解説します。

ニコチンによる血管の収縮

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血行を悪化させる作用があります。

これは、ニコチンが副腎皮質に到達することで、アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンなどのカテコールアミン(交感神経系の伝達物質)を血中に放出し、交感神経を優位にさせるためです。

また、ニコチンは血液の凝固・血管の収縮に作用するホルモン「トロンボキサンA2」を血小板から遊離させ血中に放出する作用もあります。

喫煙によって血管の収縮が起き全身の血流が悪化すると、頭皮の毛細血管への血流は低下します。
髪の毛に必要な栄養と酸素が血流低下によって毛根まで運ばれなくなると、髪の毛の成長が阻害され薄毛につながる恐れがあるのです。

活性酵素による細胞の老化

活性酸素は、体を老化させる原因のひとつです。

タバコにはニコチンやタール、ニトロソアミンなど、活性酸素を放出させる物質が多く含まれており、タバコを1本吸うと体内で約100兆個の活性酵素が発生してしまいます。

活性酵素は、髪の毛の生成に必要な毛母細胞の働きを低下させてしまうため、新しい髪の毛を生み出す力を無くしてしまうのです。

髪に必要なビタミンが消費されてしまう

また、タバコを吸って発生した活性酵素を体内から除去するために、体内のビタミンが多量に消費されてしまいます。

特に喫煙によって発生する主な活性酸素「スーパーオキシド」の無害化に使われるのはビタミンCといわれており、徳島大学医学部の調べでは、多量喫煙の影響により血清ビタミンC量の低下が認められた*という結果が出ています。
*今木 雅英ら, 青年における喫煙と血清ビタミンC量の関係について, 民族衛生/57 巻 (1991) 1 号/書誌

髪の毛を組成するアミノ酸の合成や良好な血流、健全な頭皮環境にビタミンは欠かせません。
そのため、喫煙によるビタミンの消費は、薄毛の引き金になるリスクが高いのです。

男性ホルモンの増加によるAGAの加速

タバコに含まれるニコチンは男性ホルモンを増やし、男性ホルモンの影響で生じるAGA(男性型脱毛症)の進行を早めます。

これは、ニコチンが女性ホルモンの合成酵素である「アロマターゼ」の活性を抑制し、相対的に男性ホルモンの割合を高めるためです。

タバコを吸うことはAGAの直接的な原因ではありませんが、脱毛を悪化させる要因となり得ることを理解しておきましょう。

悪玉コレステロールの増加による血流悪化

喫煙はHDL(善玉コレステロール)を低下させ、相対的にLDL(悪玉コレステロール)の割合を高めることで、血液の流れを悪くさせてしまいます。

実際、国立長寿研究センターの調べではHDLコントロール値が低い人(40mg/dl未満)の割合は、内臓脂肪面積の大小にかかわらず、喫煙者に多い*という結果が出ています。
*国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターHP『No.23 たばこと内臓脂肪はやっぱり悪者!?

血液の流れが悪くなると、髪の毛に必要な栄養や酸素が行き渡りにくくなり、薄毛に繋がってしまうのです。

吸えないストレスによる血管収縮

ニコチンは非常に依存性の強い物質のため、喫煙者はタバコを吸えないときにストレスを感じやすくなります。過度なストレスは、自律神経の乱れにつながり、交感神経が優位な状態になってしまいます。

すると、血管収縮により血流が悪化して、頭皮に必要な栄養が行き渡らなくなってしまうのです。

また、ストレスは睡眠不足や過食など、生活習慣の乱れの原因にもなります。ニコチン依存から生じたストレスが、薄毛を助長してしまうことがあるのです。

電子タバコも薄毛(ハゲ)の原因になる

喫煙が薄毛を引き起こす要因となることがわかりました。では、近年普及した電子タバコも同様に薄毛を引き起こしてしまうのでしょうか。ここからは、電子タバコの仕組みや薄毛との関連性についてお伝えします。

そもそも電子タバコとは?

電子タバコは国内では2015年から発売が始まった、比較的新しい商品です。

主に20代から30代の若い世代にユーザーが多いのが特徴です。厚労省の調べでは、国内喫煙者の3割弱が電子タバコを使用しており、30代女性の喫煙者においては約半数が電子タバコのユーザーである*ことがわかっています。
*厚生労働省 2020年「国民健康・栄養調査」

電子タバコは、大きく「電子タバコ」と「加熱式タバコ」の2種類に分けられます。2つの主な違いは以下のとおりです。

電子タバコと加熱式タバコの違い

国内で広く使用されているのは加熱式タバコで、IQOSやploom、gloなどの機種が人気です。

電子タバコと紙タバコの違い

電子タバコと紙タバコの大きな違いは、燃焼によって生じるタール(ヤニ)の有無です。

電子タバコは、液体やタバコ葉を燃やさず加熱するだけなので、タールはほとんど発生しません。
一方紙タバコでは燃焼でタールが生じ、フィルターや歯、部屋の壁紙などを茶色く変色させることがよくあります。

タールにはニコチンをはじめベンツピレンやアミン類、ニトロアミソンなどの発がん物質や気管支にダメージを与えるフェノールなどの有害物質が含まれています。

タール量を大幅に削減できる電子タバコは、紙タバコよりも体への負担が少ないといえるでしょう。
特に、液体を加熱するタイプの電子タバコには、ニコチンが含まれておらず、健康面でのリスクは極めて低くなります。

電子タバコも薄毛の原因になる

タール量が少なく体への負担が少ない電子タバコですが、体にとって全くの無害ではないのも事実です。

特に加熱式タバコには、薄毛の要因となるニコチンが含まれています。

加熱式タバコの商品によっては、主流煙に含まれるニコチンの濃度が紙タバコと同じレベルのものもあることがわかっています。

また、電子タバコは加熱式タバコよりも毒性が弱いものですが、ホルムアルデヒド・アセトアルデヒドなどの体に有害な物質が含まれています。

薄毛の原因を少しでも減らしたい方は、紙・電子にかかわらず禁煙がおすすめです。

喫煙者ができる薄毛対策

喫煙の習慣を変えずに薄毛の対策を行う上では、髪と頭皮に必要な栄養素の摂取や喫煙以外の生活習慣の見直しが有効です。ここでは、喫煙者がすぐに始められる薄毛対策を紹介します。

髪や頭皮に必要な栄養素を摂る

喫煙でビタミンの消耗やホルモンバランスの崩れ、悪玉コレステロールの上昇などが起きがちな喫煙者は、意識して必要な栄養を摂る必要があります。

特に髪の毛を作る毛母細胞の分裂は非常に活発であるため、育毛には多くの栄養素が必要です。

例えば、髪の主成分はタンパク質の一種「ケラチン」のため、良質なタンパク質の摂取が欠かせません。また、ケラチンに合成される過程では亜鉛やビタミンB、ビタミンCなどが必要です。その他、健全な頭皮環境にもタンパク質やビタミン類が欠かせません。

以下は薄毛に良いとされる栄養素を豊富に含む食べ物です。これを参考にして、必要な栄養素を積極的にバランス良く摂取しましょう。

髪に良い栄養素とそれらを含む食べ物

タバコ以外の薄毛の原因を減らす

喫煙者にとって禁煙は大きなストレスを伴うものです。

手軽にできる薄毛対策として、まずはタバコ以外の薄毛の原因を減らすことから始めてみるとよいでしょう。

例えば、運動不足やストレスの蓄積、不規則な生活などは、血行不良やビタミンの消耗を促し薄毛を進行させる要因となります。

また、肥満や飲酒、糖質に偏った食事もインスリンの抵抗性を高め血中の中性脂肪を増やすことから薄毛を促すものとされています。

喫煙者がタバコをやめずに薄毛を対策するなら、まずは以下を心掛けましょう。

  • 散歩やランニング、スイミングなどの適度な運動
  • アロマやストレッチなどの入眠の質を良くする行動
  • 糖度が低いお酒の選択
  • 添加物や糖質、トランス脂肪酸を避けた食事

禁煙を成功させる3つの方法

薄毛の原因を減らすことはもちろん、健康のためにもタバコをやめるにこしたことはありません。

しかし、禁煙は離脱症状に耐えたり、喫煙を減らす習慣を長期的に維持したりする必要があるため、簡単なことではありません。ここでは、禁煙を成功させる有効な方法について解説します。

アメやガムを食べる

タバコを吸えないと、ストレスや口寂しさを感じます。

それを紛らわすのに有効なのが、アメやガムです。
タバコが吸いたいと感じたら、代わりにアメを舐めたり、ガムを噛んだりしてください。ストレスや口寂しさが緩和されて、喫煙回数を徐々に減らせるようになるはずです。

ただし、アメやガムには糖質が多く含まれています。食べすぎると、肥満の原因になりかねません。

糖質を抑えたい方は、ノンシュガーのアメやガムを選ぶようにしましょう。

禁煙グッズを活用する

アメやガムでは、吸いたいストレスが緩和されない方は、禁煙グッズを活用してみましょう。

禁煙グッズは、ネット通販やドラッグストアなどでも手軽に購入が可能です。
禁煙グッズとして広く知られるニコチンガム・ニコチンパッチは、ニコチンを適度に補うことでストレスを軽減できます。

禁煙グッズのメリットは、無理に禁煙しなくても自分のペースで喫煙の頻度を減らしていけるところです。ご自身のライフスタイルに合わせて取り入れていくと良いでしょう。

禁煙外来に通う

自力で禁煙を目指すのが難しい場合、禁煙専門の外来に通うことも視野に入れましょう。

禁煙外来では症状に合わせた処方を受けたり、担当医師や看護師に禁煙の相談をしたりできます。

自分ひとりでは禁煙を続けられる自信がない方にとって、禁煙外来は負担なく着実に禁煙を目指せる手段なのです。

なお、2006年4月より以下の条件をクリアした患者には禁煙の治療に健康保険が適用されることとなりました。

  1. ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
  2. 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
  3. 直ちに禁煙することを希望されている方
  4. 「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方

*厚生労働省「e-ヘルスネット 禁煙治療ってどんなもの?

該当する場合、3割の自己負担で禁煙治療が受けられる上、高確率でタバコ代の節約が実現でき、コスト面での負担を大幅に減らせます。

長年タバコをやめられずに悩んでいる方は、クリニックに足を運んでみてはいかがでしょうか。

禁煙で薄毛が必ず改善する訳ではない

頭皮と髪に悪影響を与える喫煙ですが、禁煙すれば薄毛が必ず改善するわけではありません。薄毛はその原因によって、改善のアプローチが異なるためです。

喫煙が原因であれば改善する可能性はある

薄毛の原因が遺伝や自己免疫疾患などではなく生活習慣から来ている場合、禁煙で薄毛を改善できる可能性があります。

ただし、薄毛はさまざまな原因が複雑に絡み合って生じていることが多いものです。
禁煙をしたからと言って、すぐに薄毛が劇的に改善するパターンは多くはありません。

少しでも早く薄毛を改善していくためにも、まずはご自身の薄毛の原因を正確に調べるようにしましょう。
原因の判断が難しい場合、クリニックの無料カウンセリングを利用してみるのもひとつの選択肢です。

AGAの場合は禁煙しても改善されることはない

これまで、喫煙が薄毛の対策になるとお伝えしてきましたが、実際のところ、日本人男性の薄毛の原因の多くを占めると言われているAGA(男性型脱毛症)は、禁煙やその他生活習慣の改善を試みても治りません。

AGAは男性ホルモンの影響で生じる疾患だからです。

本来は筋肉や骨の生成をサポートするテストステロンが、毛乳頭内で酸化酵素の5aリダクターゼと結合することで、DHT(ジヒドロテストステロン)を生成します。
このDHTがアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)と結合すると脱毛因子が生まれ、毛母細胞にダメージを与えてしまうのです。

攻撃を受けた毛母細胞の活動は弱まり、髪の毛の成長は止まります。


これにより、本来2〜6年ある髪の成長期は大幅に短縮され、十分に育たないまま抜けてしまう髪の毛が増加します。
このヘアサイクルの乱れがAGAの症状です。

AGAを改善するには、クリニック等での適切な治療が必要です。

専門のクリニックを受診すれば、症状に合わせて治療薬を処方してもらえ、着実に薄毛の改善が目指せます。

喫煙を含めて薄毛の悩みや疑問がある方はクリニックへ

喫煙は頭皮の血行を低下させる他、体内に大量の活性酸素をもたらしビタミンを消耗したり、AGAを悪化させる男性ホルモンを増やしたりします。
また、加熱式タバコ・電子タバコは紙タバコに比べると比較的体への負担は少なくなりますが、無害なわけではありません。

薄毛を改善したいのであれば、タバコを吸わないのが望ましいです。
禁煙を目指す場合、アメやガム、禁煙グッズを使ったり、禁煙外来を利用すると良いでしょう。

また、薄毛の原因がAGAである場合や薄毛の原因を突き止めたい方は、クリニックへ相談するようにしましょう。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

最新記事

  • 薄毛・ハゲ
  • AGA治療
  • その他対策
  • ヘアテクト
もっと見る