頭皮の乾燥が薄毛・抜け毛を引き起こす?原因や症状・対策を解説
頭皮の乾燥は、誤ったヘアケアや不規則な生活習慣により頭皮の乾燥が起こることがあります。この記事では、頭皮の乾燥が薄毛に及ぼす影響や、頭皮の乾燥を予防するための生活のポイントについて解説しています。
「頭皮が乾燥すると抜け毛が増える?」
「薄毛の原因は頭皮の乾燥?」
「どうして頭皮は乾燥してしまうの?」
頭皮の乾燥と抜け毛・薄毛について、こんな疑問や不安を持っている方も多いはずです。
そこで今回は、頭皮の乾燥と抜け毛・薄毛の関係、そして頭皮が乾燥する原因や改善方法について詳しく解説していきます。頭皮の乾燥と薄毛の両方がみられている方は、ぜひ参考にしてみてください。
■ 本記事のサマリ
- 頭皮の乾燥は抜け毛の増加や薄毛の進行に繋がることがある
- 乾燥の原因は、シャンプーの種類や洗髪方法、生活習慣
- 薄毛の原因の大半を占めるAGA(男性型脱毛症)は頭皮の乾燥と直接関係しない
- しかし、頭皮の乾燥がAGAの進行を促進させるリスクがある
- AGAの改善は頭皮の乾燥の改善では不十分で、クリニックでの治療が必須となる
頭皮の乾燥が薄毛・抜け毛を引き起こす理由
頭皮が乾燥していると、抜け毛が増えたり薄毛が進行したりすることがあります。ここでは、頭皮の乾燥が薄毛・抜け毛の原因になる理由について解説していきましょう。
フケが発生しやすくなる
頭皮が乾燥していると古い角質が剝がれやすく、乾性タイプのフケが増えやすくなります。
更に、洗髪の頻度が不十分等の理由でフケを十分に洗い流せないと、毛穴が詰まって抜け毛や薄毛の原因になることがあるのです。
なお、フケの原因は頭皮の乾燥だけでなく、脂漏性皮膚炎やマラセチア菌などの真菌が原因で、脂性フケがみられることもあります。脂漏性皮膚炎の場合、皮膚科での治療が必要です。
頭皮の血行が悪くなる
頭皮の乾燥は、血行不良が原因で起こることもあります。
そして、頭皮が乾燥していると、皮膚がゴワゴワと硬くなるので、更に血液の流れに悪影響を与えます。
頭皮の血行が悪くなると、髪の成長に必要な栄養や酸素が十分に届かないため、丈夫な髪が育たなくなるのです。
頭皮がかゆくなる
頭皮が乾燥すると炎症が起こりやすくなるため、激しいかゆみを感じることがあります。
頭皮の皮脂は、テカリやベタつきの原因になる一方、頭皮に潤いを与えて外部刺激から保護する上では欠かせないものです。
そのため、頭皮が乾燥して皮脂がなくなるとかゆみが発生します。
このとき頭皮を指や爪で強くかいてしまうなどで、毛が抜けてしまうことがあるのです。
頭皮が乾燥する原因
ここまで、頭皮の乾燥が抜け毛や薄毛を引き起こす可能性があることをお伝えしてきました。
では、頭皮の乾燥はどうして起こってしまうのでしょうか。
ここでは、頭皮が乾燥する原因についてお伝えしていきます。
洗浄力の高いシャンプーを使っている
頭皮のベタつきを気にして洗浄力の強いシャンプーを使っている方も多いでしょう。
こういったシャンプーはサッパリとした洗い上がりが魅力ですが、強い洗浄成分は頭皮へ負担がかかります。
更に、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまうため、頭皮が乾燥する原因になるのです。
シャンプーの回数が多い
毎日の入浴以外にも、出勤前の朝やスポーツなどで汗をかいたときに、シャンプーをする男性は少なくありません。
シャンプーをすると気分をリフレッシュできますが、その後に頭皮充分な皮脂が行きわたるまで数時間かかります。
シャンプーの回数が多いと、皮脂が十分に行きわたらない状態が続くため、頭皮が乾燥する原因になるのです。
長時間のドライヤー
湿っている髪は表面を覆うキューティクルが開いている状態なので、ドライヤーで早めに髪を乾かすのは良いことです。
しかし、シャンプー後は頭皮の皮脂が少なく、水分が蒸発しやすい状態です。
ドライヤーを直接頭皮に当てたり、乾かす時間が長すぎたりすると、頭皮の乾燥を引き起こします。
水分が不足している
頭皮の乾燥は皮膚の外側ではなく、内側の水分不足が原因であることもあります。
体内の水分量が不足すると、頭皮の乾燥を引き起こします。
特に頭皮は髪で覆われているため、他の部位の皮膚よりも乾燥に気づきにくい傾向があるので注意が必要です。
過度なストレス
強いストレスを受けると、頭皮の乾燥が起こりやすくなり、皮膚のバリア機能にも影響を与えます。
ストレスで一時的に皮膚のターンオーバーが乱れたり、肌のうるおい成分である「セラミド」が分解されたりすることで、頭皮の潤いが保ちにくくなります。
食生活の乱れ
ファストフードや外食の回数が多いと、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素が不足しやすくなるため、健康な頭皮を維持しづらくなります。
食べ物に含まれている栄養素は、頭皮の原材料となるものです。
皮膚である頭皮はタンパク質で作られており、皮膚の新陳代謝にはビタミンやミネラルが欠かせません。
こういった栄養素が不足すると、頭皮の新陳代謝が低下し、乾燥に繋がりやすくなってしまいます。
頭皮の乾燥を予防・改善する方法
頭皮の乾燥は、毎日の生活習慣やヘアケアを見直すことによって予防したり改善したりすることができます。頭皮の乾燥が気になる方は、以下のポイントに気を付けてみましょう。
シャンプーを変えて正しく洗髪する
洗髪は1日に何度も行うのではなく、原則として1日1度にしましょう。
洗髪時は頭皮にダメージを与えないように、指の腹を使って優しく洗います。
シャンプー後に頭皮のかゆみが起きている場合は、シャンプーを替えてみるのがおすすめです。
頭皮に合わないシャンプーを使い続けていると、乾燥や炎症を起こしやすくなり、頭皮環境が悪化しやすくなります。
頭皮の乾燥を防ぐには、アミノ酸系やベタイン系などマイルドな洗い上がりの洗浄成分のシャンプーを選んでみてください。
ドライヤーをかけすぎない
シャンプー後は自然乾燥するよりも、ドライヤーを使うのがおすすめです。
髪が濡れたままだと摩擦を起こしやすく、頭皮にも雑菌が繁殖しやすくなるためです。
ドライヤーを使うときは、20㎝以上離して髪を乾かしましょう。事前にタオルドライをすると、ドライヤーを当てる時間を短縮することができます。
水分補給を心がける
頭皮の乾燥を防ぐためには、体の内部から水分補給することが大切です。
しかし、身体が一度に吸収できる水分量には限りがあり、大量に水分補給しても尿として排泄されてしまいます。
頭皮に潤いを与えるためには、こまめな水分補給を行いましょう。
ストレスを溜めすぎない
頭皮の乾燥を防ぐには、皮膚の状態を良好に保つことが大切です。
過剰なストレスは皮膚のターンオーバーや水分保持力に影響を与えます。
ストレスによる頭皮の乾燥を防ぐために、できる限りストレスの原因を取り除いたり、気分転換をして発散したりするよう意識してみましょう。
食生活を改善する
頭皮が乾燥しがちな方は、皮膚のコンディションを整えるためにバランスよく栄養を摂取しましょう。
頭皮など皮膚の健康を保つには、タンパク質の他に、皮膚を保護するビタミンA、タンパク質合成にかかわるビタミンB群、皮膚の新陳代謝にかかわる酵素を作る亜鉛などを意識して摂ることをお勧めします。
頭皮の乾燥がAGA(男性型脱毛症)を加速させる危険も
男性の薄毛の原因のほとんどを占めるAGAと、頭皮の乾燥に関連があるのか気になっている方もいるかもしれません。
ここでは頭皮の乾燥とAGAの関係についてみていきます。
AGA発症と頭皮の乾燥は直接的な関係はない
AGAは男性ホルモンによる薄毛であるため、頭皮の乾燥で起こるわけではありません。
具体的には、男性ホルモンのテストステロンが、酵素の一種である「5αリダクターゼ」の作用により、「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されて、毛根の細胞に影響を与えることが原因になります。
AGAが発症するかどうかは、生まれつきの体質も影響します。例えば、遺伝的な要素により、5αリダクターゼがテストステロンと結合しやすかったり、毛根の細胞にDHTの受容体が多かったりする方は、AGAを発症する可能性が高くなるのです。
頭皮の乾燥が症状を悪化させる可能性はある
上でお伝えしたように、頭皮の乾燥はAGAの発症とは直接的な関係はありません。
しかし、頭皮の乾燥は健康的な頭皮環境ではないため、AGAの症状を悪化させる可能性があります。
AGAは頭皮の乾燥とは無関係と考えるのでなく、健康的な頭髪を作るために、頭皮環境を良好に保つように心がけましょう。
AGAの改善はクリニックなどで適切な治療が必要
では、頭皮の乾燥を防げばAGAは改善するのでしょうか。
薄毛対策として、食生活や生活習慣の改善などがあげられることが多いですが、AGAを発症している場合は、残念ながら生活習慣の改善だけでは不十分な場合が多いです。
AGAの改善には、AGAの原因に直接アプローチできる専門のクリニックでの適切な治療が必要となります。
AGAの治療は主に次の3種類があります。
AGA治療の種類
この中でも費用対効果を鑑みてAGA治療の第一選択となるのが、内服薬や外用薬を用いた療法です。
診療ガイドラインでも推奨されており、エビデンスのある治療法です。
なお、AGA治療薬は必ず医療機関で処方してもらうようにしてください。
AGA治療薬を使う人の中には、費用を抑えるために、治療薬を個人輸入する方もいるようです。
しかし、自己判断での入手や服用は、過剰な薬物量や異なる成分が入っている薬を買ってしまう可能性があります。
これは健康被害に繋がることがあり、健康リスクだけでなく、結果的に治療費等でコストがかさむリスクも高いため、絶対に避けるようにしてください。
また、AGAは早い段階で治療を受ければそれだけ改善の効果が期待できます。逆に、薄毛が進行した状態から治療を開始すると、効果が出にくくなってしまうのです。
日本人男性の薄毛の殆どの原因はAGAと言われています。
AGAは対策を始めない限り改善は見込めず、薄毛がどんどん進行してしまいます。
もし抜け毛が増えた、薄毛が気になるという方は、早めにクリニックへ相談しましょう。
頭皮の乾燥など頭髪や薄毛の悩みがある方はクリニックへ
頭皮の乾燥は頭皮環境の悪化を招き、抜け毛や薄毛を引き起こす原因になります。
乾燥を防いで頭皮環境を良好に保つために、洗髪やシャンプー、生活習慣、食生活の見直しを行いましょう。
また、抜け毛や薄毛が気になる方は、AGAの可能性が高いです。
頭皮の乾燥はAGAの症状を悪化させることがあります。
AGAかもしれないと少しでも不安に感じる方は、頭皮の乾燥対策に加えて、早めに医療機関で治療を受けるようにしてください。
天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
- 本記事の内容は公開日時点の情報となります。 情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。