頭皮がかゆいのはハゲる予兆?AGA(薄毛)との関係や対策方法
「頭皮がかゆいのはAGAと関係している?」「かゆみがあるときはどう対処すべき?」など、頭皮のかゆみについて気になっている方に向けて、この記事ではかゆみとはげの関係性やかゆみの治療方法などについて解説しています。
「頭皮のかゆみとはげには関係がある?」
「かゆみがあるときはどう対処すべき?」
髪の毛のボリュームを保ちたい方にとって、頭皮のかゆみはとても気になるものです。
このまま放っておいたらAGA(男性型脱毛症)になるかもしれない、薄毛がもっと進行するかもしれないと不安になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、かゆみとはげにどのような関連性があるのか、かゆみがAGAの原因になるのかなどについて詳しく解説します。
かゆみが出たときの対処法も紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
■ 本記事のサマリ
- 頭皮のかゆみは頭皮環境の悪化や病気が原因で起きる
- 頭皮のかゆみを放置していると、薄毛に繋がる可能性もあるため注意
- 頭皮環境の改善方法として、生活習慣やヘアケアの見直しや頭皮の保湿等が挙げられる
- かゆみの原因の特定は難しい場合があるため、皮膚科などクリニックへの相談を推奨
頭皮(つむじ・生え際)がかゆくなる5つの原因
頭皮がかゆいと感じる原因には、さまざまなものがあります。
頭皮の洗い方を改善すれば治るものから治療が必要なものまであるので、原因についてしっかりと知っておきましょう。
ここでは、よくある5つの原因について紹介します。
頭皮が乾燥している
頭皮が乾燥するとバリア機能が低下するため、少しの刺激でかゆみを生じるようになります。
冬になると体が乾燥して湿疹ができたり、手が乾燥してひりひりしたりした経験はありませんか?これと同じことが頭皮で起こると、かゆくなってしまうのです。
ときには、乾燥が進んで赤くなったりフケが大量に出たりすることもあるでしょう。頭皮が乾燥する理由としては、空気の乾燥や脱脂力の強いシャンプーの使用などが挙げられます。
また、シャンプーやコンディショナー、ワックスなどの成分は頭皮に合わずかぶれている可能性もあるでしょう。
皮脂が過剰に分泌している
過剰な皮脂は、頭皮環境を乱します。
皮脂をエサにして繁殖するマラセチア菌という真菌が異常に増え、脂漏性皮膚炎を起こすことがあるのです。
マラセチア菌は皮脂を分解して脂肪酸という炎症を起こす物質を作り出すため、脂漏性皮膚炎になるとかゆみを生じるようになります。
頭皮がベタついており、かゆみやフケがある場合は脂漏性皮膚炎を疑ってみてください。
皮脂をしっかり洗い流すことで症状が改善することもありますが、根本的な原因であるマラセチア菌の繁殖を抑えなければ症状は完治しません。
市販薬でも治療できますが、症状がひどいときは皮膚科を受診するのがベストです。
頭皮が炎症している
頭皮の炎症もかゆみを引き起こす原因となります。
カラーリング剤やパーマ剤、汗やシャンプーなどが刺激となりかぶれてしまうことがあるのです。
頭皮湿疹と呼ばれることもあり、ブツブツとした湿疹ができたり、かさぶたができたりします。
炎症は自然におさまることもありますが、何も治療しなければなかなか治らないこともあるので注意しましょう。
皮脂が過剰に分泌されることで脂漏性皮膚炎を起こしているケースもあるので、頭皮の炎症が気になるときは皮膚科を受診して原因をはっきりさせることが大切です。
頭皮に雑菌が繁殖している
シャンプーが不十分だったり、逆に洗いすぎて乾燥していたりする状態は、雑菌が繁殖する原因となります。
頭皮で繁殖しやすい雑菌は、マラセチア菌だけではありません。
アクネ菌や表皮ブドウ球菌なども頭皮には存在しています。
これらの菌は多くの方の頭皮に日頃から住んでいる常在菌です。
通常なら悪さをせず、むしろ頭皮の環境を整える役割をしています。
しかし、なんらかの原因によって異常に増殖すると、頭皮に炎症を引き起こす脂肪酸やアルデヒドなどを作るためかゆくなってしまうのです。
しっかり洗髪できていない
洗髪がしっかりできていないと、頭皮に皮脂や汚れが残ったままの状態が長く続きます。
不潔な頭皮を放っておくと、皮脂や汚れが毛穴に詰まって炎症を起こしたり、マラセチア菌などの雑菌が繁殖したりする原因です。
見た目もベタつき、かゆみが起きてフケが落ち、さらに臭いまで発することもあるため衛生上よくありません。
しっかり洗っているつもりなのにかゆみが生じる場合は、洗い残しやすすぎ残しがある可能性も考えられるでしょう。
また、シャンプーの洗浄力が弱く、皮脂や汚れを取り切れていないこともあります。
頭皮(つむじ・生え際)がかゆいきときの対策
頭皮がかゆいまま放っておくと、頭皮環境がどんどん悪くなりフケが出たり臭いが出たりするため、早めの対策が肝心です。
かゆみが気になるときは、まず次に紹介する5つの対策を行ってみてください。
頭皮を保湿する
頭皮の乾燥が原因でかゆみが出ている方は、保湿してあげることで症状を落ち着かせられます。
頭皮用の保湿ローションや育毛剤などを使えば簡単に保湿することが可能です。
セラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸やヤシ油など、保湿成分が充実しているものを選んでみてください。
炎症が起きている方も多いかと思いますので、肌荒れ予防効果のあるグリチルリチン酸ジカリウムが配合されたものを選ぶのもよいでしょう。
頭皮を整える効果のあるパンテノールやアロエベラエキスなどが配合されたものもおすすめです。
また、あわせて頭皮が乾燥しないようにも心がけましょう。
必要以上にドライヤーを当てたり紫外線に長く当たったりするとすぐに乾燥してしまうので注意してください。
外に長時間出る予定がある方は、帽子をかぶるか髪の毛用の日焼け止めスプレーを使用します。
食生活を見直す
頭皮のかゆみには、食生活の改善も有効です。
皮脂の分泌量が多い方は、皮脂量を調整する働きのあるビタミンB2やビタミンB6を積極的に摂りましょう。
ビタミンB2は豚レバーやアーモンド、ブロッコリーやアボカドに、ビタミンB6はまぐろの赤身やかつお、鶏ささみや鮭などに多く含まれています。
ただし、ナッツ類は脂質が多く含まれているため、食べ過ぎるとかえって皮脂が増えてしまうことがあります。
アーモンドにはビタミンB2が豊富に含まれていますが、食べ過ぎには注意しましょう。
生活習慣を見直す
頭皮の新陳代謝を促すために、十分な睡眠を取ることが大切です。
翌日の昼間に頭がぼーっとしてくるようでしたら、睡眠がたりていないかもしれません。翌日に眠気が出ない程度に睡眠時間を確保しましょう。
寝ても寝たりないと感じる方は、睡眠の質が悪い可能性があります。就寝の2~3時間前に入浴を済ませ、夜になったら強い光を浴びないよう気をつけてください。
寝る直前の激しい運動や食事も良くありません。
喫煙する方は、本数を減らすのも頭皮のかゆみ対策に効果的です。
たばこに含まれるニコチンが血管を収縮させて血行不良を起こし、かゆみを引き起こすことがあります。
また、紫外線対策も重要です。日焼けすると肌が炎症を起こしてヒリヒリするのと同じで、頭皮も日焼けにより炎症を起こしてしまいます。
ストレスを溜めない
過度なストレスは、血管を持続的に収縮させ頭皮環境に悪影響を及ぼす原因です。
ストレスを感じると、私たちの体は交感神経が優位に働くようになっています。交感神経は血管を収縮させるよう働くため、ストレスによって血行が悪くなるのです。
かゆみがストレスとなり、さらに血行が悪くなるという悪循環に陥る可能性もあるので注意しましょう。
いつもよりイライラしたり、怒りっぽくなったりしているときはストレスが溜まっているサインかもしれません。
体を休めたり趣味の時間を取ったりなどしてストレスをこまめに発散しましょう。
丁寧に洗髪をする
丁寧に洗髪をすることで、皮脂や汚れを取り除き雑菌の繁殖を防げます。
とくにマラセチア菌はかゆみの原因となりやすいため、皮脂量が多いと感じる方は、頭皮を隅々までしっかりと洗うようにしてください。
ただし、洗い過ぎは逆に頭皮の乾燥を招いてしまう原因です。
乾燥もかゆみを引き起こす要因となるため、一日に何度も洗髪をする必要はありません。
基本的には一日1回の洗髪で十分です。多くても2回までにとどめましょう。
また、シャンプーの脱脂力の強さにも気をつけてください。
皮脂を取り除く力が強すぎるものを使っていると、乾燥が原因でかゆくなる可能性があります。
自分に合ったシャンプーで一日1回、しっかりと洗うことが大切です。
頭皮のかゆみは病気の可能性もある
頭皮のかゆみは、乾燥や食生活、生活習慣以外の要因が原因で起こっていることも少なくありません。
かゆみが続く場合は、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の可能性があります。
脂漏性皮膚炎
前述の通り、脂漏性皮膚炎とは、過剰な皮脂が原因でマラセチア菌が繁殖して起こる頭皮の炎症です。
皮脂量が多い頭皮やおでこ、鼻のわきなどによくできます。
マラセチア菌という真菌が原因のため、菌を排除する抗真菌薬を使用することが一般的です。
炎症の程度によってはステロイドが配合された塗り薬を使うこともあります。
放っておいてもなかなか治らないため、脂漏性皮膚炎が疑われる場合は早めに皮膚科を受診してください。
適切な薬を処方してもらうことで、数日もあればかゆみはかなり落ち着きます。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎が起こる理由はまだはっきりとはわかっていません。
皮膚のバリア機能が正常に働かないことにより起こるのではと考えられています。
アトピー性皮膚炎といえば肘や膝の裏、顔や脚などにできるイメージがあるかもしれませんが、実は頭皮にも症状が出ることがあるのをご存知でしょうか。
強いかゆみが起こり、ときにはアトピー性皮膚炎がある部分の髪の毛が抜けてしまうこともあります。
アトピー性皮膚炎の場合も、原因の特定が難しく自力での治療は難しいケースが多いため、皮膚科での治療をお勧めします。
頭皮がかゆいときにやってはいけない行動
頭皮がかゆいときは、なるべく早く皮膚科にかかるようにしてください。
面倒だからと放っておいたり、市販薬を使った自己流の対処をしていると余計に症状がひどくなる可能性があります。
頭皮をかいてしまう
かゆい部分をかけばかくほど、ヒスタミンという物質が多く分泌されるのでかゆみは余計に増強されます。
ヒスタミンはかゆみを引き起こす原因物質なので、なるべく分泌させないように気をつけることが大切です。
また、頭皮をかく刺激で髪の毛が抜けてしまうこともあるため、できるだけ我慢するようにしましょう。
自己判断で市販薬を使い続ける
市販では頭皮のかゆみを抑える塗り薬がいくつも販売されています。
一時的にかゆみは治まるかもしれませんが、しっかりと成分を見て購入しないと余計に悪化することもあるので要注意です。
かゆみの原因がわかっている場合はドラッグストアにいる薬剤師や登録販売者に相談し、症状に合った市販薬を購入するようにしましょう。
なお、市販薬を1週間程度使っても症状が改善しない場合は、市販薬では対応できないので早めに皮膚科を受診してください。
効果がないのに無理やり続けて使うと、症状の悪化につながります。
頭皮のかゆみ放置は薄毛(ハゲ)につながる
頭皮のかゆみは、薄毛になる原因の一つです。
かゆみそのものが薄毛を引き起こすわけではありませんが、掻きむしったり炎症が強くなったりすることで、抜け毛が増えてしまうことがあるのです。
また、土が悪いと植物が育たないのと同じで、そもそも土台である頭皮が健康でなければハリやコシのある髪の毛は生えてきません。
頭皮環境の悪化を放置するのは髪の毛にとってリスクとなるため、早めに対処しましょう。
頭皮のかゆみはAGA(男性型脱毛症)の前兆なのか?
では、男性の薄毛の原因の多くを占めるAGAとかゆみは関係があるのでしょうか。
結論からお伝えすると、かゆみがあるからといって、AGAになるとはいえません。
AGAはジヒドロテストステロン(DHT)が脱毛因子の産生を促進することで発症するものです。
かゆみの有無はAGAの発症とは関係がないため安心してください。
ただし、かゆみが出たタイミングでたまたまAGAの進行が目立ってくるというケースもあります。
この場合は、かゆみを抑える治療とともにAGA治療も行いましょう。
残念ながら、AGAによる薄毛はかゆみだけをケアしても改善することはありません。
治療をしない限りAGAは進行していくので、早めに治療して薄毛を食い止めましょう。
頭皮のかゆみの放置はNG!はげる前にクリニックへ
頭皮のかゆみは、乾燥や皮脂量の増加、雑菌の繁殖などによって起こります。
かゆみがある=AGAの予兆ではありませんが、髪の毛にとって良い環境とはいえません。かゆみがある方は、原因に応じて頭皮を保湿したり生活習慣を見直したりしてみてください。
何をやっても改善しない場合は、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の可能性もあります。これらは皮膚科での治療が第一となるため、早めに受診して適切な治療を受けましょう。
また、かゆみとは別に薄毛や抜け毛が気になる場合は、AGAを発症している可能性があります。AGAは治療が遅れると効果が出にくくなることから、こちらもクリニックでの早めの治療が大切です。
天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
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