コーヒーを飲むとハゲる?効果的な薄毛対策?頭髪との関係や摂取目安
「コーヒーを飲むとハゲるって本当?」「コーヒーで薄毛対策ができると聞いたけどどうなの?」と疑問に思っている方に向けて、この記事ではコーヒーが毛髪に及ぼす影響について詳しく解説しています。
「コーヒーを飲むとハゲるって聞いたけど本当?」
「コーヒーでハゲるのはなぜ?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
日常的にコーヒーを飲む方ほど、薄毛への影響が気になることかと思います。
一方で、コーヒーが薄毛の改善に効果的だといわれることもあり「どちらの情報が正しいの?」と思っている方もいるでしょう。
そこで今回は、コーヒーがハゲるといわれる原因や髪の毛への影響について詳しく解説します。
1日にどれくらいコーヒーを飲んでも大丈夫なのか、目安量も紹介しているのでぜひ参考にご覧ください。
■ 本記事のサマリ
- コーヒーが原因でハゲたり、逆にハゲが劇的に改善することはない
- ただし過剰摂取は亜鉛吸収の抑制や身体の冷えに繋がるので、1日660ml程度に抑えることを推奨
- 適量摂取であれば、頭皮の血行促進や、ストレス緩和につながる
- 男性の薄毛の原因の多くを占めるAGA(男性型脱毛症)はコーヒーでは改善しない
- そのため、薄毛を改善したい場合は、クリニックでのAGA治療が必要
コーヒーを飲んでも薄毛(ハゲ)にはならない
結論からいうと、コーヒーを飲んだことが原因でハゲることは決してありません。
どれだけ飲む方でも薄毛には影響がないので安心してください。
そもそも、男性が薄毛になる原因のほとんどはAGA(男性型脱毛症)によるものです。
AGAはジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンの影響で発症します。ジヒドロテストステロンが脱毛因子の分泌を促進するため、薄毛や抜け毛が進行してしまうのです。
ジヒドロテストステロンが作られる過程でコーヒーの成分が影響することはないため、コーヒーでハゲることはないといえます。
コーヒーを飲むとハゲると言われる理由
では、なぜ巷に「コーヒーを飲むとハゲる」という噂があるのでしょうか。おもな理由は次の3つです。
カフェインやポリフェノールによる亜鉛吸収の妨げ
コーヒーは、カフェインやポリフェノールを豊富に含む飲み物です。
このカフェインやポリフェノールが亜鉛の吸収を妨げるため、ハゲる原因になるのではと考えられています。
では、なぜ亜鉛の吸収が妨げられることが問題となるのでしょうか。
髪の毛を構成する成分のうち80〜90%はタンパク質です。そのうち約90%を「ケラチン」が占めています。
ケラチンを作るためには亜鉛が必要になるため、髪の毛の健康を維持するためには亜鉛が必須なのです。
また、カフェインと同様に、ポリフェノールも亜鉛の吸収を妨げてしまいます。
そのため、コーヒーを飲むとケラチンの生成に影響が出てハゲるといわれるようになったのでしょう。
カフェインによる体の冷え
コーヒーには100mlあたり約60mgのカフェインが含まれています。
カフェインは少量なら体を温める効果がありますが、飲みすぎると体を冷やしてしまうため注意が必要です。
紅茶に含まれるカフェイン量は100mlあたり30mg、ウーロン茶は20mgということを考えると、コーヒーには多くのカフェインが含まれていることがわかります。
体が冷えると血管が収縮し、髪の毛に栄養が行き渡りにくくなります。その結果、コシやハリに影響が出る可能性があるのです。
カフェインによる睡眠の質の低下
カフェインは強力な覚醒作用をもつ成分です。
夕食後にコーヒーを飲むと、カフェインの影響で寝付きが悪くなることがあります。
髪の毛の成長を促す成長ホルモンは、睡眠中に分泌が盛んになることが特徴です。
カフェインによって睡眠の質が低下すると、成長ホルモンの分泌量が減るので髪の毛の発育に影響が出る可能性がゼロではありません。
人によってカフェインの効きやすさは違いますが、就寝の4時間前以降にはカフェインを摂取しないようにするのがおすすめです。
過剰摂取しなければ問題なし|1日660mlが目安量
コーヒーには亜鉛の吸収を阻害したり体を冷やしたりする働きがあり、ハゲる原因になるといわれています。
しかし、コーヒーの摂取のみが原因でハゲることはまずありません。
過剰摂取しなければ問題ないため、とくに気にしすぎる必要はないと考えられます。
また、「この量を守ればハゲる心配がない」といえる厳密な目安量は、今のところ定められていません。
そもそもコーヒーの飲み過ぎでハゲることがないからです。
しかし、コーヒーの過剰摂取はめまいや心拍数の増加、下痢や吐き気などの症状を引き起こすことがあります。
健康に影響がないカフェイン量としては、健康な成人で1日あたり400mg程度といわれていますので、コーヒーの量としては660mlが目安です。
薄毛対策|コーヒーより注意が必要な飲食物
薄毛を気にしているのなら、コーヒーの摂取量よりも気をつけるべきことが多くあります。
もちろん、薄毛の原因は多くがAGAなのでこれから紹介するものだけの影響でハゲることはほとんど考えられませんが、少しでも髪の毛の健康を維持したい方は摂取量を意識するようにしましょう。
塩分量が多い食べ物
塩分の摂りすぎはハゲの原因になるといわれています。
塩分を過剰に摂取すると、血液がドロドロになって血流が悪くなってしまうためです。血管の健康が損なわれることで、髪の毛の成長に必要な栄養素が運ばれづらくなってしまうのです。
日本人は、日頃から塩分を摂りすぎている傾向にあるので気をつけましょう。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日あたりの塩分摂取量は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満が目標値とされています。
高カロリー・高脂質な食べ物
高カロリー、高脂質な食べ物も血液をドロドロにする原因の一つです。
塩分と同じく、血流が悪くなることで、髪の毛に栄養が届きづらくなる可能性があります。
薄毛の原因は多くがAGAです。
しかし、食生活の乱れによって健康な髪の毛が育ちにくくなり、薄毛になりやすくなる可能性もあります。
※肥満と薄毛の関係についてはこちらの記事もご覧ください。
「薄毛と肥満は関係ある?太るとハゲると言われる原因や改善方法」
アルコール
アルコールの飲み過ぎにも注意しましょう。
髪の毛の大部分を占めるタンパク質は、アミノ酸がいくつも集まって作られているものです。
アルコールが代謝される際にアミノ酸が使われるため、髪の毛を作る原料が減ってしまう可能性があります。
また、アルコールの代謝に胃腸が全力を出すことで、栄養素の吸収や消化が遅れてしまうこともあるでしょう。
アルコールが分解された後にできるアセトアルデヒドがAGAの原因となるジヒドロテストステロンを増加させるともいわれています。
コーヒーでハゲ予防?薄毛対策への効果
コーヒーによってハゲるという説がある一方で、逆にハゲ予防に効果があるといわれることもあります。
では、なぜコーヒーが薄毛対策に効果があるといわれているのでしょうか。ここでは4つの理由を紹介します。
頭皮の血行が促進される
適量のコーヒーであれば、血行を促進する働きがあります。
それによって、髪の毛の成長に必要な栄養素が運ばれやすくなると考えられるでしょう。
前述の通り、髪の毛が成長する際は血管から栄養素を取り込み、毛母細胞が細胞分裂を行う必要があります。
栄養素を十分に吸収できなければ、髪の毛は十分に成長しません。
コーヒーに含まれているクロロゲン酸というポリフェノールには、血行を促進する働きがあるため髪の毛の成長に良い影響をもたらす可能性があります。
ストレスが緩和される
コーヒーを飲むと、ほっとリラックスできるという方もいるでしょう。
コーヒーには、ストレスを軽減する効果があることが特徴です。
ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れて交感神経が優位になり、血管が収縮しやすくなります。
血管の収縮は血液の流れを悪くするため、ストレスが溜まることで栄養素が運ばれにくくなり髪の毛の成長に影響が出ることがあるのです。
コーヒーでストレスの緩和ができれば、このような血管の収縮による髪の毛への悪影響を防ぐことができると考えられます。
活性酵素の働きを抑える
コーヒーは、ポリフェノールを多く含む飲み物です。
ポリフェノールには抗酸化作用があるため、活性酸素の働きを抑えることができます。
活性酸素は毛母細胞の働きを抑え、髪の成長を抑制してしまう効果があります。
毛母細胞は、細胞分裂を繰り返すことで髪の毛を作り出す役割を担う細胞です。毛母細胞が働かなければ、髪の毛は作られません。
コーヒーはこの活性酸素を抑制することで薄毛促進の影響を抑える効果があると考えられています。
男性ホルモンの働きを抑える
カフェインには、ジヒドロテストステロンの産生を抑制する働きがあるといわれています。
ジヒドロテストステロンはAGAの原因物質として知られており、脱毛因子を促進することで薄毛や抜け毛を進行させる成分です。
このことから、ジヒドロテストステロンの産生が抑えられることで、AGAの進行がしづらくなる可能性があります。
しかし、コーヒーだけで薄毛の進行を完全に食い止められるほどジヒドロテストステロンの産生を抑えることはできないので注意しましょう。
コーヒーでAGAの改善はできない
AGA対策はクリニックでの治療が必須
コーヒーには、頭皮の血行をよくしたり活性酸素の働きを抑えたりすることで薄毛対策に効果があると考えられています。
では、コーヒーを飲めば私たちは薄毛と無縁の生活ができるのでしょうか。
飲食物の影響でAGAを発症する可能性は低い
男性が薄毛になる原因のほとんどはAGAです。
AGAはジヒドロテストステロンの影響で起こるものであり、そのほとんどが遺伝的要因で発症すると言われています。飲食物が影響することはほぼありません。
更に、AGAによる薄毛は遺伝的要因が大きいため、生活習慣の見直しだけでは効果が不十分で、クリニック等での治療が必要となります。
髪の毛によいといわれるもの、悪いといわれるものは世の中にたくさんありますが、よいものをいくら食べても髪の毛は生えてきませんし、逆に悪いものをいくら食べても顕著に薄毛が進行することはありません。
それほど飲食物の影響は微々たるものなのです。
薄毛が進行してくると多くの方は「食生活に問題があったのでは?」「生活習慣が乱れていたせいかも」と過去の自分の行動を振り返って理由を探そうとします。
しかし、基本的に薄毛の原因は食生活でも生活習慣でもなく、ジヒドロテストステロンです。飲食物の影響はほとんどないと考えておきましょう。
コーヒーでAGAの予防や改善はできない
コーヒーには、頭皮の血行を促進したり活性酸素の働きを抑えたりと、髪の毛によいとされる働きがいくつもあります。
しかし、AGAを予防したり改善したりする効果が認められるほどの効果は期待できません。
もし劇的な効果があるのなら、今頃AGAの治療薬としてコーヒーから抽出した成分が使われているはずです。
コーヒーで薄毛が目に見えて改善することはなく、むしろ過剰に摂取すると身体に悪影響を及ぼす可能性もあるため、飲み過ぎには気をつけましょう。
コーヒーと頭髪にまつわるQ&A
コーヒーを飲みすぎることでハゲることもなければ、AGAの予防や改善に効果が出ることもありません。
髪の毛への効果は期待せず、嗜好品として楽しみましょう。では、最後にコーヒーと頭髪に関する質問にお答えします。
コーヒーを飲み過ぎると髪がパサつく?
コーヒーのみが影響して髪の毛のパサつきを起こすとは考えにくいでしょう。
パサつく原因の多くは、シャンプーやドライヤー、ヘアカラーなどです。
脱脂力の強いシャンプーを使ったり、ドライヤーをかけすぎたりすると髪の毛の水分が失われてパサつきを感じることがあります。
コーヒーで白髪の予防や改善ができる?
コーヒーを飲んでも白髪の予防や改善はできません。
白髪が生えるのは、加齢や遺伝的な要素が大きく関係しています。コーヒーが白髪に影響を与えるとは考えられません。
どうしても白髪が気になるようでしたら、コーヒーを飲むのではなく白髪染めをするのが一番です。飲食物で予防や改善をするのは現実的ではありません。
コーヒーを飲むと頭皮が臭うことがある?
コーヒーの過剰摂取により、頭皮の臭いがきつくなる可能性があります。
皮脂が酸化されやすくなることが原因です。
ただし、コーヒーに含まれるクロロゲン酸には体臭を抑える効果があるともいわれています。
頭皮の臭いをきつくする可能性も改善する可能性もあるため、一概にコーヒーのせいとは言えないでしょう。
コーヒーと薄毛の関係を理解して飲み過ぎないよう注意
コーヒーには、亜鉛の吸収を阻害したり体を冷やしたりする効果があるためハゲる原因になるといわれています。
しかし、薄毛になる原因のほとんどはAGAです。いくらコーヒーを飲んでもAGAが進行することはありません。
また、頭皮の血行促進やストレス緩和により逆に薄毛対策ができるといわれることもあります。
しかし、こちらも同様にコーヒーだけで目に見えるほど薄毛を改善させることはできません。
飲みすぎると胃腸を壊したり動悸が起きたりする原因となるため、適量を守って飲むようにしましょう。
天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
- 本記事の内容は公開日時点の情報となります。 情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。