生え際が後退する原因と対策|薄毛や抜け毛の悩みに効果的な方法とは

「生え際が後退しているか自分でチェックする方法はある?」「どうすれば後退を改善できる?」とお悩みの方に向けて、この記事では生え際の後退を見分ける方法や治療方法などについて詳しく解説しています。

目次

「生え際が後退してきた気がするけど気のせい?」
「生え際の後退はどうすれば改善できる?」

鏡で前髪をかきあげるたびに、生え際の後退が気になっている方は多いのではないでしょうか。
でも毎日見ていると、本当に後退しているのか気にしすぎなのかわからなくなってくることもあります。

また、明らかに後退しているのでなんとか対処したいと考えている方もいるでしょう。そこで今回は、生え際の後退を自分で見分ける方法や抜け毛を減らす対策方法について解説します。

■ 本記事のサマリ

  • 生え際後退は、眉と生え際の距離や、生え際の髪質が細くなっているかで確認
  • 男性の薄毛の原因の約9割はAGA(男性型脱毛症)
  • 生え際がM字、U字に薄毛になっている場合はAGAが疑われる
  • AGAの場合、クリニックでの治療が薄毛改善には必須
  • AGA治療は早ければ早いほど高い効果が期待できる

生え際後退を見分ける4つの方法

生え際が後退しているかどうかを確認するのはとても簡単です。ここでは、自宅でもすぐにできる4つの見分け方について紹介します。

おでこが以前よりも広くなっていたら注意

おでこが広くなっているようであれば、生え際が後退しているサインといえるでしょう。中指と薬指、小指を揃えて眉毛の上にあて、中指から生え際までの距離を確認してみてください。

以前より距離が長くなっていれば後退が進んでいると考えられます。

「距離が何cm以上あれば後退している」という明確な目安はありませんが、定期的にチェックすることで生え際の変化に気づきやすくなるでしょう。

おでこの広さを確認する方法には、もう1つあります。目を見開いておでこにシワを作り、一番上のシワに指を2本添えてください。

シワから生え際までの距離が指2本分よりも広い場合は、生え際が後退している可能性があります。

生え際の髪質が「細く短い」のは薄毛のサイン

後退が始まっている方の髪の毛には、次のような特徴が見られます。

  • 1本1本が細くてコシがない
  • 短い髪の毛が多い
  • 密度が薄くて地肌が透けている

ほかの髪の毛と比べて生え際の髪に以上のような特徴が見られるようでしたら、生え際が後退していると考えられるでしょう。

ヘアサイクルが乱れることで髪の毛が十分に育ちにくい環境になっている可能性があります。

頭皮が以前よりも硬い場合も要注意

頭皮を左右前後に動かすとスムーズに動き、押すと適度なやわらかさがある状態なら健康な証です。

もし凝り固まって頭皮が動きにくい場合は、生え際が後退しやすい状態になっている可能性があります。

頭皮が硬いと血行が悪くなり、髪の毛の成長に必要な栄養素が運ばれづらくなるため、薄毛や抜け毛になりやすくなる場合があるのです。

しかし、頭皮が硬いからといって必ず生え際の後退につながるという科学的な根拠は存在しません。参考程度にチェックしておくとよいでしょう。

※頭皮の硬さと薄毛の関係はこちらの記事もご覧ください。
頭皮が硬いと薄毛(ハゲ)になる?硬い原因やチェック方法を解説

抜け毛が増えたり細くなっていたらAGAのサイン

生え際の抜け毛をチェックしてみて、毛先にいくにつれて段々と細くなっていたら要注意です。

薄毛や抜け毛の進行が始まると、髪の毛が十分に育たなくなるため、毛先の細い髪の毛が増えてきます。

また、毛根の膨らみも健康な髪の毛と比べると小さくなっていることがほとんどです。見るからに弱々しい髪の毛が増えてきていれば生え際の後退が始まっている可能性が高いでしょう。

生え際後退の原因はAGAの可能性が高い

生え際が後退する原因の多くは、AGA(男性型脱毛症)です。

男性が薄毛になる原因の約9割がAGAによるものだといわれています。

AGAとは、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンの働きによって髪の毛の成長が抑制されることで起こるものです。

DHTは、テストステロンに5αリダクターゼ(5α還元酵素)が働くことで作られます。
ただし、DHTが作られるだけでAGAが進行することはありません。DHTがアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)に結合することではじめてAGAが進行します。

ジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターに結合すると、毛母細胞の増殖を抑える脱毛因子の分泌を誘導してしまうため、薄毛になってしまうのです。

M字・U字に生え際が後退することが多い

AGAが原因で生え際が後退していく場合は、M字型もしくはU字型になることが多いでしょう。M字型の場合は生え際の左右の部分を中心に後退していきます。

U字型は生え際の中心部から後退していくことが特徴です。AGAにはこのほか、頭頂部から薄毛になっていくO字型のパターンもあります。

生え際もしくは頭頂部のボリュームが薄くなっている場合は、AGAの可能性が高いと考えられるでしょう。

AGAによる生え際後退の改善は治療が不可欠

生え際の後退は、AGAの治療を行うことで改善できます。

生活習慣や食生活の改善も大切ですが、これらにはAGAを止める直接的な効果はありません。

確実に改善したいと考えているのであれば、AGA治療を始めることがもっとも効果的です。

むしろ、前述の通りAGAの原因は男性ホルモンにあるため、直接AGAの原因にアプローチできるAGA治療を行わずに、生え際の後退を改善するのはかなり難しいでしょう。

AGAの治療はできるだけ早めに始める

更に注意すべき点として、AGAの治療は開始時期が早ければ早いほど治療効果が高いと言われています。

逆に、ある程度薄毛が進行した段階から治療を開始すると、効果が十分に発揮できず元のヘアボリュームに戻しきれなくなる可能性も否定できません。

もしかしてAGAかも?と思った段階で、まずはクリニックへ相談することをお勧めします。

AGAに効果的な3つの治療方法

代表的なAGAの治療方法としては、次の3つが知られています。

AGA治療の種類

この中で特によく行われているのが、内服薬や外用薬による投薬治療です。

ミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドなどはAGA治療の第一選択薬として活用されています。

ミノキシジルには外用薬と内服薬の2種類があり、濃度が5%までの外用薬なら市販で購入することも可能です。

フィナステリドやデュタステリドは内服のみの扱いとなり、クリニックで処方してもらわないと手に入りません。

市販のミノキシジルからAGA対策を開始される方も多いですが、ミノキシジルのみでは抜け毛を抑える効果は低いことに注意しておきましょう。

クリニックで処方されるフィナステリドやデュタステリドとミノキシジルの併用で、抜け毛を防ぎつつ発毛を促進させることができるため、高い効果が期待できます。

注射をする治療としては、メソセラピーやHARG療法がよく知られています。
成長因子や有効成分を頭皮に直接注射していくため、投薬治療で効果が出づらかった方でも発毛を実感しやすいことが特徴です。

植毛には人工植毛と自毛植毛の2種類があり、安全面から自毛植毛のほうが推奨されています。

治療薬の使用から始めるのが一般的

AGA治療は、外用薬や内服薬などの投薬治療から始めることが一般的です。

日本皮膚科学会が発行している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」では、ミノキシジルの外用薬、フィナステリドとデュタステリドの内服薬はすべて推奨度A(行うよう強く勧める)に分類されています。

ミノキシジルの内服薬は推奨度D(行うべきではない)となっていますが、これはガイドラインが作られた時点で安全性や有効性が十分に明らかになっていなかったためです。
現在は安全に使用でき、かつ効果があることもわかっているため多くのクリニックで採用されています。

投薬治療は1か月あたり5,000〜10,000円とほかの治療より安価で済むため、まずは内服薬や外用薬から治療を始めることがほとんどです。

ちなみにメソセラピーは1クール(6〜16回)で約12〜80万円、HARG療法は1クール(6〜9回)で約40〜60万円、植毛は100万円以上かかることがあります。

牽引性脱毛症の可能性もある

生え際の後退は、牽引性(けんいんせい)脱毛症が原因のケースもあります

牽引性脱毛症とは、長時間にわたり髪の毛が引っ張られ続けることで起こってしまう脱毛症のことです。

いつも同じ場所できつく結んでいたり、髪の毛を引っ張るくせがあったりする方でよく見られます。髪の毛を結ぶことが多い男性では、AGAではなく牽引性脱毛症の可能性もあるでしょう。

牽引性脱毛症が原因で生え際が後退している場合は、髪の毛に負担をかけない生活をすることで自然と症状が改善していきます。

AGA以外の生え際後退の原因

生え際が後退する原因のほとんどはAGAですが、日々の生活習慣やストレスもAGAによる薄毛の症状を加速させる原因の一つです。
髪の毛に負担をかけやすい原因として、次の4つが挙げられます。

乱れた生活習慣

生活習慣は、健康な髪の毛を作るためのベースとなる部分です。

睡眠をきちんと取れていなかったり、喫煙習慣があったりする方は生え際が後退しやすくなる可能性があります。

髪の毛を育てるために必要な成長ホルモンは、寝ている間に分泌量が多くなるため、睡眠時間が不足すると髪の毛が十分に成長しづらくなってしまうのです。

また、喫煙は血管を収縮させるため、髪に栄養素がスムーズに運ばれにくくなります。

偏った食生活

髪の毛に限らず、私たちの体は食べたものから作られています。

偏った食生活を続けていると、髪の毛を作るのに必要な栄養素が不足するため生え際が後退しやすくなるでしょう。

食事は摂れていてもバランスが偏っている方、ダイエットや減量のために食事量を制限している方は、髪の毛に必要な栄養素が不足しているかもしれません。

ストレスの多い生活

ストレスを抱え込みやすい生活を続けていると、徐々に自律神経のバランスが乱れていきます。

自律神経とは、副交感神経と交感神経のことです。

健康な方であれば副交感神経と交感神経がバランスよく働いているので問題ありません。しかし、ストレスを抱えすぎると交感神経が過剰に働くようになり、血管が収縮した状態が続きます。

すると、血液の流れが悪くなるため、栄養素が髪の毛に届きづらくなってしまうのです。

また、神経が高ぶって睡眠不足にもなりやすいことから、成長ホルモンの分泌量も減ってしまいます。

頭皮をケアしていない

頭皮に皮脂や汚れがたまっていると、健康な髪の毛は生えてきません。

また、乾燥しすぎてフケが出ていたり、湿疹ができて荒れていたりする場合も髪の毛に影響が出ることがあります。

頭皮は髪の毛を育てる土台となる部分です。土台がしっかり健康でなければ質のよい髪の毛は育ちません。

生え際後退への対策

生え際の後退の原因がAGAの場合、クリニックでの治療が必須である点をお伝えしました。

このAGA治療の効果を更に高めるには、生活習慣の改善が重要になります。
また、まだAGAを発症していない場合でも、次に紹介する生活習慣の改善によって生え際後退を対策できる可能性があります。

すぐに効果が出ることはありませんが、数ヶ月単位で実施していくことで髪の毛の質が変わってくるはずです。

生活習慣を改善する

睡眠不足の方は、まず睡眠時間をしっかり取れるように心がけてください。

翌日の昼間に眠気が来るようでしたら睡眠時間がたりていない証拠です。

睡眠時間の長さだけでなく、質のよい睡眠を取るようにも意識しましょう。質を高めるために効果的な方法には次のものがあります。

  • 朝起きたら日光を浴びる
  • 就寝の2~3時間前に入浴する
  • 寝る前に強い光を浴びないようにする
  • 就寝の5~6時間前からカフェイン飲料を控える

喫煙している方は、この際に禁煙にもチャレンジしてみてください。
市販の禁煙パッチや禁煙ガムを利用したり、禁煙外来に通ったりすることでむりなく喫煙をやめられます。

毛髪に良い食生活を心がける

髪の毛の成長にもっとも欠かせないのがたんぱく質です。

たんぱく質は髪の毛の80~90%を占めているため、積極的に摂取しましょう。卵や魚、肉や大豆がたんぱく質を多く含む食品です。

また、血行をよくするビタミンEや皮脂バランスを整えるビタミンB2も積極的に摂りましょう。
ビタミンEはアーモンドやかぼちゃ、ほうれん草に、ビタミンB2は納豆やうなぎ、卵などに多く含まれています。

ストレスを溜め込まない

ストレスをまったく感じなくするのは難しいので、こまめにストレス発散するように心がけましょう。

趣味の時間を作ったり、軽く運動をしてみたりと自分なりのストレス発散方法を見つけてみてください。ストレスをうまく解消できると睡眠の質を上げることにもつながります。

頭皮のケアを始める

1日の終わりに必ずシャンプーをして頭皮の汚れや皮脂をしっかり落としてください。

洗浄力が強すぎるものを使うと、頭皮が乾燥する原因となるのでさっぱりしすぎる洗い心地のものは避けましょう。また、シャンプーは1日1回程度に抑えることも重要です。シャンプーのしすぎも逆に頭皮の乾燥を招く原因となります。

乾燥した状態が続くとバリア機能が低下して頭皮が荒れ、その影響で生え際が後退する可能性があるのです。

生え際後退にまつわるQ&A

最後に、生え際の後退についてよく聞かれる質問にお答えします。正しい髪の毛のケアを行っていくためにも、ぜひ参考にしてみてください。

10〜20代でも生え際は後退するの?

10代や20代でも生え際が後退することはあります。薄毛の原因の大部分を占めるAGAは、年齢が上がるにつれて発症率も上がりますが、早い方では10代や20代でも発症することがあるのです。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」によると、20代でAGAを発症している方は約10人に1人いるといわれています。

生え際後退は市販の育毛剤で対策できる?

後退している原因によっては育毛剤でも対策が可能です。ただし、AGAが原因の場合は育毛剤を使っても直接薄毛改善には繋がりません。

育毛剤は頭皮の環境を整える成分がメインで配合されているため、頭皮環境の悪さが影響して後退している方には効果が出る可能性があります。

一部の育毛剤には発毛効果が確認されている成分が配合されているものもありますが、AGA治療に使われる成分と比べると効果はかなり限定的です。

女性でも生え際が後退することはある?

女性でも生え際が後退する可能性は十分にあります。

とくに普段からポニーテールにする機会が多かったり、エクステをつけたりして髪の毛が引っ張られる環境が続いている方は要注意です。牽引性脱毛症によって後退が見られることがあります。

頭皮への負担を減らすことで自然と改善していきますが、気になる場合はクリニックを受診しましょう。

生え際の後退が気になる方はAGAクリニックへ

生え際の後退が起こる原因のほとんどはAGAによるものです。AGAは生活習慣や食生活ではなく、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンの働きによって発症します。

そのため、生え際の後退を改善するのであればAGA治療を始めることがもっとも効果的です。

AGAは治療開始が遅くなるほど効果が出づらくなるため、生え際が気になり始めたら「気のせいかも?」という段階でも構わないので早めに専門のクリニックを受診しましょう。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

※本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。

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