20代でもAGA(男性型脱毛症)は発症する?薄毛治療や対策を解説
20代のAGA(男性型脱毛症)発症率は、約10%です。治療は早ければ早いほど効果があり、負担も少なくなるので、悩みを抱えている人は早めにクリニックに相談してみましょう。
20代でもAGA(男性型脱毛症)で悩む人は多く、薄毛の悩みは低年齢化しています。しかし、なぜ若いうちからAGAになってしまうのでしょうか。
AGAは男性ホルモンが深く関係しています。そのため、思春期以降はいつでも発症する可能性があるのです。「若いからまだ大丈夫」と思いがちですが、薄毛対策は早ければ早いほど治療の効果も出やすく負担も少なくなります。
今回は20代で薄毛に悩む方へ向けて、AGAの基礎知識や治療についてお伝えしていきます。
■ 本記事のサマリ
- 20代でもAGA(男性型脱毛症)は10人に1人の確率で発症する
- AGAは治療を開始しない限り、薄毛は進行し続ける(自然改善は見込めない)
- AGAの場合、クリニック等でのAGA治療が必要
- AGA治療は早い段階の方が効果が高い
- 治療効果を高めるには生活習慣の改善も重要
AGA(男性型脱毛症)は20代でも発症する
20代でもAGA(男性型脱毛症)は発症します。それどころか、さらに早い場合では10代で発症する可能性もあるのです。ここでは、20代での発症率や原因について確認していきましょう。
20代のAGA発症率
日本人で20代のAGA発症率は、約10%です。また、30代では20%、40代で30%、50代で40数%と、年齢とともに発症率は高くなります。
年代別AGA発症率
(参考:日本皮膚科学会「男性型及び女性型脱毛症診察のガイドライン2017年版」)
AGAの発症には男性ホルモンが深く関係しているので、発症するのは思春期以降です。そのため、若くても生え際や頭頂部の薄毛が気になり始めた人は、AGAを発症している可能性を疑ったほうが良いでしょう。
そもそもAGA発症の原因は?
AGAは、男性ホルモンのひとつである「テストステロン」と、「5aリダクターゼ」という酵素が結合することがきっかけで発症します。
この2つが結合することで、「DHT(ジヒドロテストステロン)」が生成、そして、DHTがアンドロゲンレセプターと結合し、脱毛因子が生成されるのです。
また、AGAが発症する要因の1つは遺伝であることがわかっています。
特に母方の家系から遺伝しやすいため、母方の祖父や曽祖父に発症者がいる場合は、AGAになる可能性が高いと理解しておく必要があるでしょう。
20代でもAGA治療を始めるべき理由
AGAは進行性の脱毛症なので、治療をしなければ薄毛がますます進行してしまいます。
そのため、AGAの治療は発症してからできるだけ早めのタイミングで始めた方が良い、と言われています。
また、それだけでなく、AGAの治療は、薄毛が軽度であるほどメリットが多くあります。
ここでは、20代からAGA治療を始めるメリットについて見ていきましょう。
薄毛を改善できる可能性が高い
AGA治療で髪を取り戻すには、毛根が消滅してしまう前に行うことが重要です。なぜなら、消滅した毛根からはいくらAGA治療薬で治療をしても髪が生えないからです。
多くの毛根が消滅した後から治療を初めても、治療効果が低くなってしまいます。
20代で毛根が消滅する可能性は極めて低いため、効果が出やすいといえるでしょう。
髪の毛にはヘアサイクルがあり、成長期(2〜6年)→退行期(2〜3週間)→休止期(3〜4ヶ月)を経て、最後に抜け落ちるといった流れを繰り返しています。
通常、髪の毛全体の90%が成長期ですが、年齢を重ねAGAが進行すると徐々にヘアサイクルが短くなり、成長期の髪の毛が全体の80%以下(20%以上が休止期)に減ってしまいます。
また、毛根ごとのヘアサイクルには上限数があり、上限数に達すると毛根が消滅してしまいます。
そのため、20代の若い時期から治療をすると、ヘアサイクルが比較的正常な状態かつ毛根が消滅する前から治療に入ることができ、長期間髪の毛がある状態を保つことができるのです。
反対に、年齢を重ねてAGAが比較的進行した状態からの治療の場合、若い頃のヘアボリュームに戻す難易度は高くなります。今のヘアボリュームを保ちたい場合は、早めの治療開始を選択することをお勧めします。
薄毛の印象を持たれる前に対策できる
髪の毛が減ってきた初期段階で治療を始めれば、周りに薄毛だと気付かれる前に改善できる可能性があります。
髪の毛の変化は自分が一番に気づくものです。目に見えて薄毛が進行して周りに気づかれるには、それなりに時間がかかるでしょう。
見た目に大きな変化が出てしまうと、「急に髪の毛が増えたら違和感があるのではないか」「薄毛治療がバレるのが恥ずかしい」と治療に踏み切れないことがあります。周りに薄毛の印象を持たれる前の初期段階で治療を始めるのは、上記のような観点からも大きなメリットになるのです。
トータルの治療費を抑えられる
AGAの初期であれば、薬の種類が少なくて済みますし、薄毛の範囲も狭いので改善が早いというケースが多々あります。それにより、治療の費用も抑えられるでしょう。
AGAの治療に使用する薬は、薄毛の進行を予防するタイプと発毛を促進するタイプがあります。
重症化すると、複数の薬を併用しますが、初期であれば薄毛の進行を予防するタイプの薬だけでも効果が期待できます。早期治療は改善も早く、減薬も早い段階で可能なためトータルの治療費を抑えることができるのです。
20代でAGA治療するときの注意点
AGA治療が初めての人にとっては、費用や副作用など不安な点も多くあるはずです。ここでは、治療の前に不安を解消し、安心して治療が受けられるよう、20代でAGAの治療をする際の注意点をお伝えします。
治療にかかる費用
AGA治療は自由診療のため、保険が効きません。また、一般的に30〜50代と比べると、20代の方は収入が低い傾向にあります。そのため、治療費の負担が大きくなるでしょう。
しかし、早期治療の場合は薬の種類も少ないケースが多いので、トータルの出費が抑えられやすいです。また、同じ治療内容でもクリニックによって料金が異なるため、いくつかのクリニックを比較検討することも大切です。
妊活中の方は注意が必要
AGA治療薬の副作用には、次のようなものがあります。
- 精液濃度の低下や精子数の減少
- 性欲減退
- 勃起不全
AGAの治療薬では、上記のようなケースが報告されていますが、実際に症状が現れる人の割合は、全体の0.1〜0.2%で非常に稀です。つまり、薬の影響をまったく受けない人もおり、個人差が大きいと言えるでしょう。
妊活への影響もほとんどないとされていますが、クリニックによっては薬の服用を中止する場合もあります。そのため、妊活中の方や予定がある人は、必ず医師に相談しましょう。
詳しくはこちらの記事でも解説しています。
「AGA治療が妊活に与える影響を解説|副作用で不妊になるのは本当?」
AGAの治療方法は4種類
AGAの治療法には、以下の4種類があります。
- 投薬治療(内服薬/外用薬)
- 注入療法
- 自毛植毛
AGA治療の種類
この4つの治療法のうち、一般的に広く行われているのが、内服薬と外用薬による治療です。
リスクや費用面を考慮すると20代の方は、内服薬と外用薬による治療を選ぶのが良いでしょう。
20代に多いAGA以外の薄毛の原因
薄毛の原因のほとんどはAGAと言われていますが、AGAの他にも薄毛に繋がる原因はいくつか挙げられます。ここでは、20代の方に多いAGA以外の薄毛の原因について解説していきます。
食生活・生活習慣の乱れ
食生活や生活習慣が乱れている20代の方は少なくありません。これが、薄毛の原因になっているケースも多いです。特に次の4つは薄毛や抜け毛を引き起こす原因になります。
抜け毛を引き起こす食生活
間違ったヘアケア
間違ったヘアケアも薄毛の原因になります。例えば、頭皮に皮脂が溜まるとよくないという理由から、1日に何度もシャンプーをしたり、洗浄力が高いシャンプーを使う人がいます。
しかし、皮脂を取りすぎることにより、頭皮は乾燥し、フケなどの頭皮トラブルを引き起こすことがあります。その結果、頭皮環境がますます悪化してしまうのです。
一方、髪の毛が抜けることを恐れて丁寧にシャンプーをしない人もいます。
しかし、これを続けると頭皮がベタつき、毛穴に汚れが詰まりやすくなります。
それによって、頭皮環境が悪くなり、頭皮トラブルに発展する場合もあるので注意しましょう。
ストレスの蓄積
ストレスが溜まると、自律神経のバランスが崩れます。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経が優位の状態が続くと、血流や睡眠に影響が出るとされています。
具体的には、血管が収縮し血流が阻害されると、髪の毛を作る毛母細胞に栄養が届きにくくなるため、髪の毛が育ちにくく、生えてこなくなる可能性があるのです。
20代で心がける薄毛対策
薄毛の原因がAGAの場合、基本的にはクリニック等でのAGA治療が必須となりますが、この治療効果を最大化するためには生活習慣の改善も重要となります。
また、薄毛の原因がAGA以外の場合でも、普段の生活習慣の改善により薄毛を予防できる可能性が高いです。ここからは、20代の方に心がけて欲しい生活習慣からの薄毛対策方法についてお伝えしていきます。
食生活の改善
髪の毛の99%は、ケラチンというタンパク質でできています。そのため、良質なタンパク質を摂取することで、ハリ・コシのある丈夫な髪の毛が作り出せるでしょう。
また、タンパク質だけではなく、野菜や果物に含まれるビタミンや、海の幸に含まれるミネラルも、人間の体の成長には必要不可欠です。
栄養素をバランスよく摂取することが、薄毛の予防・改善につながります。
正しいヘアケア
髪や頭皮を正しくケアすることも大切です。
過剰な洗髪や、逆に洗髪せずに寝る行為などは、頭皮環境の悪化につながります。シャンプーは髪の毛や頭皮の状態に合ったものを使用し、1日1回にしましょう。
なお、トリートメントは髪の根本につけるとベタつきの原因になるので、毛先のみに付けてください。
ストレスを溜めない
ストレスを溜め込まないことも大切な薄毛対策の1つです。ストレスをゼロにすることは難しいですが、次の3つの方法を意識すれば軽減できるでしょう。
- 適度な運動
- 良質な睡眠
- 栄養バランスの良い食事を心がける
ほかにも、趣味の時間を作るなど、自分なりのストレス発散方法をもっておくことが大切です。
20代の女性に多い薄毛の原因
20代の女性の薄毛は、ストレスによる睡眠の質の低下、食生活や生活習慣の乱れが原因である場合が多いと言われています。
ハリ・コシのある髪の毛は、栄養が豊富な食事や良質な睡眠によって作られます。しかし、ストレスを溜めると、自律神経のバランスが崩れ、リラックスできずに不眠になってしまうケースがあるのです。
ストレスを溜めないためには、適度な運動や栄養バランスのいい食事を心がけ、ゆったりとできる休息の時間を持つことが必要です。心と身体の健康の維持が、1番の薄毛対策だと言えるでしょう。
AGAは20代でも発症の可能性あり!すぐに治療をはじめよう
AGAは20代でも発症する可能性があるものです。AGAは進行性の脱毛症のため、適切な治療をしなければ、薄毛の症状はどんどん深刻になっていきます。そのため、「若いからいつか改善されるだろう」という思い込みは厳禁です。
AGA治療は、開始が早ければ早いほど効果が期待できます。特に20代の若い方であれば、元の髪を取り戻せる可能性が高いでしょう。薄毛や抜け毛が気になるという20代の方は、すぐにクリニックに相談しましょう。
天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
- 本記事の内容は公開日時点の情報となります。 情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。