AGA(薄毛)治療の種類や費用を解説!改善に必要なポイント
この記事では、AGAのクリニックでの治療法やその効果、施術の費用の相場、自分でできるヘアケアの方法などを詳しく解説します。
AGA(男性型脱毛症)は日本人男性の約3人に1人に発症する疾患と言われており、多くの方がAGAの薄毛の症状に悩まれています。最近では、そういった悩みを抱える方々のために医学が発展し、様々なAGA治療法が出てきました。
この記事では、医療機関で行われるAGAの治療法やその費用、改善に重要となるポイントなどについて、詳しく解説します。
■ 本記事のサマリ
- AGA治療法は「投薬治療」「注入薬による治療」「植毛」の3種類に大別
- 一般的に投薬治療は薬剤料で1ヶ月約1~2万程度でAGA治療法の中では最も安価
- 市販で手に入る薬や生活習慣の改善はあくまでAGA治療の補助的な役割
- AGAの症状を改善するためには、医療機関での治療と、根気強い継続が大切
それぞれのAGA治療法の詳細やその効果のメカニズムについては一つ前の記事で紹介しています。
「AGA(薄毛)治療の種類や効果を解説!医師が勧める治療法」
AGAの治療方法について
医療機関で行われるAGAの治療法は、大きく分けて下記の3つに大別されます。
AGA治療の種類
上記の中でも最も一般的な治療方法である投薬治療では「フィナステリド」「デュタステリド」「ミノキシジル」の3剤がよく使われています。
それぞれの効果として、フィナステリドとデュタステリドは抜け毛を減らす「守りの効果」、ミノキシジルは発毛を促進させる「攻めの効果」を持っています。
これらの効果を同時に発揮させるために、AGA治療ではフィナステリドまたはデュタステリドと、ミノキシジルを併用することが多いです。
なお、ミノキシジルは市販でも購入できる外用薬がありますが、フィナステリド、デュタステリドは医師の処方箋が必要な飲み薬のため、併用治療ができるのはクリニックなどの医療機関に限定されます。
薄毛対策にあたり、 市販の商品である外用のミノキシジル製剤は手に入りやすく、ファーストステップとして選ばれやすい選択肢です。
しかし、ミノキシジル製剤を含め、市販の育毛/発毛剤は、抜け毛を抑える効果が弱く、AGA治療としては不十分と言われています。最初は市販の商品で治療していた方でも、最終的にはクリニックに通われるパターンも少なくありません。
また、更に重要なポイントとして、AGA治療薬はAGAの発症から早い段階で治療を開始する方が治療効果が高いと言われています。
AGA治療を検討している場合は、まず医療機関に相談してみるのも良いかもしれません。
AGAの治療はどこで受けられるのか
AGAの治療は、AGAを専門に扱うクリニックや、皮膚科医、病院の脱毛症専門外来など、さまざまな医療機関で受けられます。
新型コロナウイルスの影響もあり、オンライン診療で相談や治療が受けられる医療機関が増えています。
オンライン診療であれば、通院の手間も省けることはもちろん、他の患者と顔を合わせることもありません。
治療を受けずに薄毛の改善は可能?
薄毛の原因がAGAではなく、食生活や生活習慣の乱れ、間違ったヘアケアなどの場合は、クリニックなどで治療を受けなくても、改善できる可能性はあります。しかし、AGAを発症している場合は、食生活や生活習慣、ヘアケアの見直しをしても薄毛が改善することはありません。
また、AGAはゆっくりと症状が進行するため、発症初期はなかなか気付きにくい疾患です。
本来であればもっと治療効果が高い早期から治療開始できたはずが、症状が進んで治療効果が低くなってしまった段階から治療を開始されるパターンも少なくありません。
AGAによる薄毛を改善するには、適切な治療が必要です。そしてそのためには、医師の診断にもとづき、自分の症状に合った最適な治療法を決めなくてはなりません。
安全で効果的な治療のためにも、まずはクリニックへ相談することが重要です。
AGA治療の費用について
クリニックなど医療機関で治療する場合、治療費用も気になるところです。ここではAGAの治療法ごとの平均的な治療費の相場を紹介します。
AGA治療の費用相場
内服薬による治療は、1ヶ月でおよそ10,000〜18,000円が相場といわれています。
AGA治療薬による費用相場
デュタステリドの先発品「ザガーロ」は、フィナステリドよりも治療効果が高いといわれており、フィナステリドよりも高めです。
フィナステリドもデュタステリドも、ジェネリック医薬品を使用することで、治療費を抑えることが可能です。
また、内服薬による治療を進める上で、別途、初診料(無料〜5,000円程度)、再診料(1,000〜3,000程度)、適切な治療選択をするための血液検査、遺伝子検査、マイクロスコープ検査、頭皮の温度や脂分の測定などの検査費用がかかる場合があります。
ただし、最近では初診料やカウンセリング料は無料のクリニックが多く、検査料金も治療パッケージに含まれた料金体系となっていることもありますので、クリニックを受診する際には事前に確認することをお勧めします。
ジェネリック医薬品の品質は大丈夫?
最近、一部のジェネリック医薬品の製造会社が、承認外の方法で不正に医薬品を製造販売して健康被害が起こるなど、ジェネリック医薬品に対する信頼が揺らいでいるのも事実です。
どの治療薬を選ぶかは、医師が専門的な見地から判断しますが、ジェネリック医薬品での治療を希望すれば、処方してもらえるクリニックが多いようです。
逆に、ジェネリック医薬品に不安がある場合は、先発品の「プロペシア」や「ザガーロ」での治療を要望することもできます。
どのメーカーの治療薬を選ぶかに関しても医師とよく相談して、信頼できるメーカーの治療薬を見極める必要もあるといえます。
AGA治療の費用相場(投薬以外)
治療薬以外の治療法として、注入治療(メソセラピー)や、植毛による治療があげられます。注入治療の相場は20,000〜60,000円程度で、注入する薬剤の種類や量によって値段が異なります。
植毛は、人工毛植毛と自毛植毛の2種類があります。人工毛植毛はクリニックによって、1本あたりの単価が異なりますが、1本約250〜300円として、1,000〜3,000本の植毛で、250,000〜900,000円程度になります。
自毛植毛は、移植する範囲によって費用に大きな差があり、300,000〜2,000,000万円程度(もしくはそれ以上)かかります。
頭皮のごく一部だけの移植なら300,000円ほどで済む場合もありますが、広範囲にわたる移植の場合は数百万円と治療費が高額になることもあります。
内服薬以外のAGA治療の相場
治療方法だけでなく、料金に関してもしっかりと確認したうえで、信頼できる医療機関を選ぶことが大切です。
AGA治療の保険適用について
AGA治療は、治療を受ける人と治療を行う医療機関が個別に契約を交わす「自由診療」となっており、原則として健康保険が適用されません。
それは、AGAは一般的な病気とは異なり、治療をしなくても健康を損なうものではないと考えられているからです。そのため、同じ治療法でもクリニックによって、費用が異なる場合があります。
ただし、円形脱毛症の場合は、病気とみなされ保険適用される場合があります。AGAと円形脱毛症の違いは一般の人が見分けることが難しい場合もあるため、クリニックや皮膚科など医療機関の受診をおすすめします。
AGA治療で効果が出ないケース
AGAの治療を行っても、期待した効果が実感できない場合もあります。ここでは、AGA治療の効果が出ないケースについて、考えられる原因を解説します。
治療方法が適切でない
AGA治療の効果が得られない場合は、そもそもの治療法が適切ではない可能性があります。
AGA治療に使用する薬の種類や組み合わせは、症状や進行の程度によって異なるものです。そのため、適切に選ばれた治療薬を使用していなければ、十分な効果が得られません。
また、薄毛の症状がAGA以外の原因で起こっている場合は、いくら品質の高い治療薬を使っても効果はありません。
適切な治療が受けられるように、自身で治療法を選択するのではなく、信頼できるクリニックへ相談することが重要です。
初期脱毛が起こっている
AGAの治療では、治療を始めてから2週間〜1ヶ月程度で「初期脱毛」と呼ばれる現象が起こる場合があります。治療前に比べて、抜け毛の量が増えることが多く、治療の効果を疑問視する人も少なくありません。
しかし、初期脱毛はヘアサイクル(毛周期)が正常に戻っている証と考えられており、治療効果の証拠とも言えます。
抜ける前の古い髪と、新しく成長を始めた髪の入れ替わりが進み、一時的に抜け毛が増えたように感じるのです。
なお、初期脱毛は1ヶ月半〜2ヶ月程度で終わるといわれています。
抜けた毛髪の下には、新しい毛髪が確実に生えてきており、しばらくすると、新しい毛髪が地肌の上に生え出てきます。
初期脱毛の段階で治療をやめてしまうと、せっかく始めた治療の効果がなくなるだけでなく、以前のAGAの状態に戻ってしまいます。
初期脱毛は治療の効果の現れと前向きに捉え、治療を継続しましょう。
個人輸入など自己判断で治療薬を購入している
最近では、AGA治療薬をインターネットでの個人輸入や輸入代理店などの非正規のルートで購入し、使用する人が見受けられます。
日本では薬機法(医薬品医療機器等法)に基づいて品質、有効性、安全性が確認されていますが、海外で製造された薬には、そのような保証はありません。
治療効果や安全性に問題がある場合も多く、重篤な副作用が生じる恐れもあります。
また、海外では粗悪品やニセモノの販売が横行しており、厚生労働省は個人輸入に関して注意を呼びかけています。
さらに、日本国内で薬機法を遵守して販売されている医薬品については、適正に使用したにも関らず、健康被害が生じた場合に、その救済を目的とした公的制度「医薬品副作用被害救済制度」を受けられます。
しかし、個人輸入された医薬品による健康被害については救済の対象外となっています。
このことからも、医師の指示のもとで適切な治療を受けることが大切です。
自己判断で治療薬の服用をやめたり量を決めている
治療薬を決められた用法・用量以上に多く塗ったり、服用したりしたからといって、必ずしも効果が高まるわけではありません。
むしろ、頭皮にかぶれや皮膚炎などの副作用が起こり、頭皮を傷めれば、逆効果になります。
また、AGA薬は半減期が短いため、約24時間で体内の薬がほとんど代謝されてしまうと言われています。
1日薬を飲まないだけでも体内の薬の濃度が下がり、効果が感じられなくなってしまう可能性があります。
医師や薬剤師の指示に従い、適切な用法・用量を守り、継続して治療を続けることが大事です。
治療薬の飲み忘れが多い
どんなに効き目の高い治療薬でも、飲み忘れが多いと思うように効果が得られません。飲み忘れを防ぐために、薬を洗面台に置いておき、朝の歯磨き時に服用したり、毎日同じ時刻にスマートフォンのアラームをセットしたりなどの工夫をしてみましょう。
ミノキシジル外用薬の場合は、基本的に1日2回の塗布が必要です。
内服薬と同様に、1日2回の塗布時刻を決めて、アラームをセットしたり、「朝の歯磨きと夜の風呂上り」などと使用するタイミングを決めたり、塗布する習慣をつけると良いでしょう。
AGA治療で薄毛を改善するポイント3つ
AGA治療にはさまざまな方法がありますが、ここではもっとも一般的なAGA治療薬による投薬治療のポイントや治療の心構え、自分でできるセルフケアなどを紹介します。
クリニックで治療薬を処方してもらう
AGAの治療は、市販のミノキシジルを配合した医薬品を購入し、自分で治療を行うこともできます。しかし、前述の通り市販薬では効果が不十分な場合が多く、現在の投薬治療は、内服のフィナステリドやデュタステリドと外用のミノキシジルを組み合わせて行う方法が主流になっています。
フィナステリドやデュタステリドは医師の処方が必要な医療用医薬品で、ミノキシジルのように市中では購入できません。
クリニックなど専門の医療機関であれば、副作用の有無の確認や、治療薬の変更など、安全性を考慮しながら治療が受けられます。
また、栄養指導やメンタルヘルスのアドバイスなどを行い、間接的に治療効果を高める工夫をしているクリニックもあります。
高い治療効果を安全に得るには、やはり専門のクリニックや医療機関を受診するのが賢明といえるでしょう。
治療は長期的に取り組む
AGA治療は、今日始めれば、明日効果が出るというものではなく、効果を実感するまで、ある程度長期間を要します。
早い人でも3ヶ月、平均的には6ヶ月、長い人では1年くらいかかる場合もあるでしょう。
治療早期の段階で効果がないと思い込み、治療の継続をやめてしまうと、せっかくの治療が台無しになってしまいます。まずは1年、根気強く治療を継続してみることをお勧めします。
もし、治療の効果が思わしくなく、治療法や効果に関して、主治医から説明を受けても納得できない場合、「セカンドオピニオン」を受ける方法もあります。
仮に同じ診断や治療法が説明された場合でも、治療を別の角度からも検討できることで、病気や治療に対する理解を深めまったというケースもあります。
AGA治療の補助としてセルフケアにも気を配る
AGAの直接的な原因は、DHTの産生にありますが、間接的な薄毛の要因もあります。
あくまでAGA治療の補助的な効果にはなりますが、次のようなセルフケアを心がけると良いでしょう。
正しい洗髪
ヘアケアは「洗髪に始まり、洗髪に終わる」といわれるように、毎日の洗髪はとても大切です。
頭皮には皮脂腺が多く、汗やフケと混ざり合い、チーズ状の塊となって、頭皮や毛穴に詰まっています。この汚れた皮脂が酸化されて生じる過酸化物質は、脱毛を引き起こす要因となります。
洗髪の際には指の腹で頭皮をよく揉みながら、毛穴にたまった皮脂や汚れをしっかり落としましょう。
抜け毛を気にして洗髪をおろそかにしても、結局、抜ける毛は抜けます。それ以上に頭皮を清潔に保つことが大切です。
また、頭皮に合わないシャンプーやコンディショナーなどを使うと、頭皮が荒れ、抜け毛が増えることもあります。自分に合ったシャンプー選びも大事です。
一般的に、弱酸性のシャンプーは頭皮に与える刺激が少ないといわれています。
正しいブラッシング
髪をブラッシングする時は、いきなり髪に大きな力をかけるのではなく、毛先からゆっくりと少しずつ、やさしくブラッシングしましょう。
ヘアスタイルを整える際には、ブラシではなく平櫛を使い、全体の形を作っていきます。
また、プラスチック製のブラシではなく、動物毛のブラシを使うと静電気が起きないので、ブラッシングの仕上げに髪の表面をなでるように使えば、髪に負担をかけません。
頭皮マッサージを行う
頭皮の血行を良くすることは髪の発育にとっても重要です。頭皮マッサージによって、毛髪のつけ根にある毛乳頭へ栄養が送り込まれ、毛母細胞の働きを活発にします。
例えば、5本の指で額から頭頂部にかけて、耳の上から後頭部にかけて、襟もとから後頭部にかけて、それぞれ頭皮を揉みほぐすように、ゆっくりと優しく指を動かすマッサージなどがあります。
朝と晩の2回、1回に5分程度のマッサージを行うと良いでしょう。
睡眠を十分にとる
1日の中で、毛母細胞の分裂がもっともさかんになるのは午後9時頃で、髪がもっとも成長するのは午後10時〜深夜2時頃といわれています。夜更かしをせず、早寝早起きで睡眠時間を調節し、規則正しい睡眠リズムを整えると良いでしょう。
栄養バランスに気をつける
髪の毛はケラチンと呼ばれるタンパク質で形成されています。良質なタンパク質とともにケラチンを作る時に必要となる鉄や亜鉛などのミネラルを積極的に摂りましょう。動物性脂肪の摂りすぎに気をつけ、野菜や海藻類などを摂るとよいでしょう。
ストレスを解消する
ストレスは交感神経を優位にし、毛細血管を収縮させるため、頭皮の血行にも悪影響を及ぼします。適度な運動やストレッチ、ヨガ、半身浴、リラックスできる音楽を聴くなど、自分なりのストレス解消法を見つけ、実践することも大事です。
AGA治療の第一歩はクリニックへの相談
AGAの治療を成功させるには、正しい知識を理解し、適切な治療を受けることに尽きるといえます。
今では、さまざまな治療薬や治療法があるため、どれを選択すればいいのか、自分で判断することは、難しいでしょう。
自己判断で不適切な治療を選択したことで、AGAが進行してしまい、治療効果が下がった状態で適切な治療を開始することは避けたいものです。
自分のAGAの進行状態を正確に把握し、より適切な治療を選択するためにも、もしかしてAGAかも?と思った段階で、AGAを専門とする医師や医療機関を受診し、まずは相談してみることをお勧めします。
医師のアドバイスを受けながら、自分の理想とする頭髪の状態を目標として掲げ、ある程度長期間、治療を継続することでAGAの改善に繋がります。
また、最近では、カウンセリングや診察を無料で行なっているクリニックや医療機関も増えています。医師から説明を受け、治療方針や料金などに納得した上で治療をはじめることも大事です。
天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
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