M字ハゲの基準や原因は?見分け方や薄毛(AGA)の改善方法を解
「これってM字ハゲ?」「M字ハゲになる原因って何?」と薄毛のことが気になっている方に向けて、この記事ではM字ハゲになる原因や見分け方、改善方法などを詳しく解説しています。
「M字ハゲかどうかを見分ける方法はある?」
「そもそもなんでM字ハゲになるの?」
髪の生え際は鏡を見た際にどうしても視界に入ってくるため、ハゲていないかその都度チェックしてしまうという方もいるのではないでしょうか。
本記事では、M字ハゲの基準や原因、自分で見分ける方法や改善方法などについて解説します。
M字ハゲを目立たなくするヘアスタイルも紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
■ 本記事のサマリ
- 以前よりも生え際が後退したり、抜け毛が増えたと感じたらM字ハゲの進行サイン
- M字ハゲの原因のほとんどはAGA(男性型脱毛症)
- 20代でも10人に1人がAGAを発症する
- AGAによるM字ハゲの改善はクリニックでの治療が必要
- 治療が遅くなると毛量を改善しにくくなるため、できるだけ早い対策が重要
M字ハゲとは?基準や見分け方
「もしかしてM字ハゲかも…」と毎日気にして髪の毛を見ていると、本当にM字ハゲなのかただの気にしすぎなのかわからなくなってくる方も多いでしょう。
M字ハゲとは、その名のとおり生え際がM字型に後退した状態のことです。実はM字ハゲかどうかを自分で簡単に見分ける方法があります。
M字ハゲに明確な定義はない
M字ハゲかどうかを自分で見分ける方法はあるものの、断定するための明確な定義は存在しません。
生まれつき生え際の形がM字型の方もいるため、一定に型に当てはめることができないのです。
しかし、以前よりもM字が目立ってきている方や、抜け毛の本数が増えてきている方は注意しましょう。
早い方では20代からM字ハゲが進行していきます。
生え際のM字が気になってきたら、次に紹介する2つの方法でまずはチェックしてみてください。
M字ハゲの見分け方
M字ハゲが気になる方は、次の方法でまずは確認してみましょう。
とくに2つめの方法は、クリニックでも使われることのある見分け方の一つです。
①おでこのしわを使ったセルフチェック
まずは、おでこのシワを基準にチェックする方法を紹介します。
- 目を見開いておでこにシワを作る
- 一番上にできたシワに指を2本添える
添えた2本の指の上に隙間がある場合は要注意です。
一番上のシワから生え際までの距離が指2本分よりある方は、M字ハゲの可能性があります。
ただし、もともとのおでこの広さやシワのできやすさによっても結果が変わるため、参考程度に行ってください。
②横顔から判断するセルフチェック
M字ハゲかどうかをできるだけしっかり調べたいという方は、こちらの方法でチェックすることをおすすめします。
- 耳の一番上の部分と頭頂部を結んでラインを作ります
- そのラインを2cmだけ生え際のほうに移動させてください
- 移動させたライン内に生え際が入っている場合はM字ハゲの可能性があります
耳と頭頂部を結んだラインから2cm以内の部分まで生え際の後退が進んでいる場合は、M字ハゲの可能性が高いと見ておきましょう。
M字ハゲの原因と考えられる脱毛症
M字ハゲになる原因には、おもに次の2つがあります。
どちらも正しい治療や対策を行うことで改善することが可能です。
まずは自分のM字ハゲがどの原因によるものなのかを把握しておきましょう。
男性型脱毛症(AGA)
M字ハゲになる原因の多くはAGA(男性型脱毛症)です。
生え際や頭頂部の薄毛が代表的な症状で、男性ホルモンの一つであるジヒドロテストステロン(DHT)の影響により起こります。
ジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターと呼ばれる受容体と結合することで、毛母細胞の働きを弱めてしまう因子の分泌が誘導され、脱毛が進んでしまうのです。
20代では約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以上になると40%以上の方がAGAを発症しています。
AGAは、残念ながら放置していても改善することがありません。
適切な対処を行わなければM字ハゲと頭頂部のO字ハゲが融合してU字ハゲになる可能性もあるので注意しましょう。
なお、AGAの治療は開始が遅くなればなるほど発毛効果が出づらくなります。
髪の毛の元となる毛母細胞には寿命があり、寿命を迎えるとどのような薬を使っても髪の毛が生えてくることはありません。
AGAを発症すると、この毛母細胞が寿命を迎えるまでの期間が大幅に短縮されてしまいます。
これを放置してAGA治療の開始が遅くなると、寿命を迎えた毛母細胞が増えた状態からの治療開始となるため、生える毛髪の量自体が少なくなってしまうのです。
今の毛量をキープしたい、毛量を増やしたいと考えている方は、M字ハゲが気になり始めたら早めに治療を始めることが大切です。
牽引性脱毛症
牽引性(けんいんせい)脱毛症とは、髪の毛が引っ張られることで抜けてしまう病気のことです。
髪の毛が長くヘアゴムで結ぶことが多い方、エクステを使っている方でよく見られます。
少し引っ張ったくらいで抜けることはありませんが、毎日のように髪の毛を結んだり強い力で引っ張ったりする癖がある方は徐々に負担がかかってしまうので注意しましょう。
多くの場合は、髪の毛に負担がかからない環境にすることで自然に改善していきます。
AGAによるM字ハゲの改善方法
M字ハゲが気になり始めると、「育毛で有名なシャンプーを買ってみよう」「育毛剤を使ってみよう」と考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、実はこれらの方法は確実な改善方法とはいえません。
AGAはクリニックでの治療が必要
確実なM字ハゲの治療を行うためには、クリニックの受診が必要不可欠です。
日本皮膚科学会が出している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」では、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなど、クリニックで処方される薬の使用が推奨されています。
ミノキシジルの外用薬は薬局やドラッグストアでも購入できますが、それ以外の治療薬はクリニックで処方してもらわなければ手に入りません。
まずはドラッグストアのミノキシジルの使用から開始することも選択肢の一つですが、ミノキシジルは発毛効果はあるものの、抜け毛を抑える効果はありません。
発毛増進と抜け毛抑制の両方にアプローチするためには、クリニックで処方されるフィナステリドやデュタステリドが必要なのです。
また、そもそもAGAが原因なのかを診断してもらうためにも、まずはクリニックを受診しましょう。
AGAは投薬による治療が一般的
AGAの治療には内服薬や外用薬のほか、メソセラピーや植毛などいくつか種類があります。
このなかで費用対効果などの面から、もっとも広く採用されているのが、内服薬や外用薬による治療です。
既にお伝えした通り、フィナステリドやデュタステリドの内服薬、ミノキシジルの外用薬は「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」で推奨度A(行うよう強く勧める)に分類されています。
ミノキシジルは外用薬のほかに内服薬も存在しており、フィナステリドやデュタステリドと併用されることも少なくありません。
AGAは10〜20代でも発症する
AGAは年齢が上がるごとに発症率が上昇していきます。
40代や50代になると薄毛に悩まされる方が増えてくるというイメージをもっている方もいるかもしれませんが、実は10代や20代でもAGAになり得るので要注意です。
20代でも約10人に1人はAGAを発症しています。
AGA治療薬として用いられるフィナステリドやデュタステリドなどは、20歳から使用可能です。
「この年でAGA?」と思わず、M字ハゲが気になるようでしたら、早めにクリニックへ相談してみてください。
早めに治療を開始できればそれだけ発毛効果も高まり、結果的に治療費用も抑えられる可能性があるため、若いうちにM字ハゲに気づけた方はむしろチャンスです。
10代はAGA治療薬が使えないため市販薬を
なお、10代の方は残念ながら一般的な治療薬が使えないため、育毛剤を使ったり生活習慣を見直したりして髪の毛の健康を守っていきましょう。
市販されている育毛剤は、とくに年齢制限が設けられていません。
いろいろな種類がありますが、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」で推奨度B(行うよう勧める)に分類されているアデノシンが配合されたものは、ある程度の効果が確認されているためおすすめです。
価格が高いほど効果があるというわけではないので、成分に注目して選んでみてください。
しかし、育毛剤のみの利用では髪が生えやすい環境を整えることはできても、AGAを治療することはできず、薄毛は進んでしまいます。
AGA治療を開始できる年齢になったら、できるだけ早いタイミングで治療開始を検討することをお勧めします。
M字ハゲを加速させる原因
M字ハゲの多くはAGAが原因で起こります。
しかし、それだけではなく日々の生活習慣の乱れが髪の毛の健康に影響を及ぼし、更にM字ハゲを増長している可能性があります。
生活習慣が乱れている
近頃、しっかり睡眠時間を確保できていますか?
昼間にウトウトしているようでしたら、睡眠時間がたりていなかったり、質のよい睡眠を取れていなかったりする証拠です。
十分な睡眠を取れない状態が続くと、ヘアサイクルが乱れて髪の毛が育ちにくくなるリスクがあります。
食生活が偏っている
髪の毛の80〜90%はたんぱく質です。
そのため、たんぱく質の摂取量が減ると髪の毛の健康が損なわれることがあります。
魚介類や肉類、卵などから積極的にたんぱく質を摂取するように心がけましょう。
血行をよくする働きのあるビタミンEもM字ハゲ対策にはぜひ摂りたい成分です。
ほうれん草やアーモンド、かぼちゃなどに多く含まれています。
過度なストレスを感じている
「ストレスを抱えすぎるとハゲる」と言われることがありますが、これは嘘ではありません。
明確なデータがあるわけではないものの、ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱れさせるため、M字ハゲを進行させる危険性があります。
また、ストレスを受けると血管が収縮して血流が悪くなりやすいことも特徴です。
誤った頭髪ケアをしている
M字ハゲが気になっている方の中には、一日に何度もシャンプーをして頭皮を清潔に保とうとする方もいます。
しかし、洗いすぎはかえって逆効果です。
頭皮が乾燥して炎症を起こしやすくなったり、皮脂量がよけいに多くなってベタつきやすくなったりします。
このように頭皮環境が悪化すると、M字ハゲが進行してしまう原因にもなりかねません。
今すぐできるM字ハゲ対策
これまでお伝えした通り、M字ハゲを改善するためには、基本的にクリニックでのAGA治療が必須です。
しかし、フィナステリドやデュタステリドを使うAGA治療の効果を更に高めたり、M字ハゲを予防する方法として、生活習慣の見直しや正しい頭髪ケアを日頃から行うことも大切です。
規則正しい生活習慣を心がける
日本人は、世界的に見ても睡眠時間が短いことで知られています。睡眠不足は髪の毛の健康に悪いだけでなく、日中の意欲や記憶力を低下させる原因です。
一概に「何時間以上は寝るべき」とは言えませんが、翌日のお昼に眠気が来ない程度には睡眠時間を確保するのをおすすめします。
睡眠の質を高めるためには、日中に軽い運動を行ったり寝る前に強い光を浴びないように気をつけたりすることが効果的です。
バランスの取れた食事をする
食べ物だけでM字ハゲを改善することはできませんが、バランスのよい食生活は日々を健康に暮らすためにも大切です。
髪の毛によいとされるたんぱく質やビタミンEを含む食事を心がけましょう。
このほか、髪の毛を構成するケラチンの材料となるメチオニンや、髪の毛の成長に必要なコラーゲンをサプリメントなどで摂取するのもおすすめです。
ストレスを溜めないようにする
軽くウォーキングをしたり趣味の時間を取ったりしてストレスを溜め込まないようにしましょう。
時間が取れない方は、腹式呼吸を行ったり音楽を聴いたりするだけでもストレス解消に役立ちます。ストレッチをしたりラジオ体操をしたりするのもよいでしょう。
正しい頭髪ケアをする
シャンプーは多くても一日に2回までにとどめましょう。
洗髪後に頭皮の乾燥を感じる場合は、洗浄力が強すぎる可能性があります。
乾燥はバリア機能の低下を招いて頭皮トラブルを起こすことがあるため、シャンプーの見直しが必要です。
また、時間がある方はお風呂からあがった後に頭皮マッサージも取り入れてみてください。血行がよくなり髪の毛に栄養素が届きやすくなります。
M字ハゲが目立たない髪型のポイント
M字ハゲが気になる場合は、髪型を工夫して目立たなくするのも一つの方法です。
サラリーマンでも取り入れやすいのは、ソフトモヒカンと呼ばれる髪型でしょう。
ソフトモヒカンとは、正面から見たときに中央部分がサイドよりもボリュームがある髪型のことです。
中央の髪の毛を長めにすることで、すっきり感を出しつつも全体的にボリュームがあるように見せられるため、M字ハゲをうまく隠せます。
ゆるめのパーマをかけたり、ツーブロックにしてサイドを刈り上げたりするのもM字ハゲを目立たなくできる髪型の代表例です。
M字ハゲにまつわるQ&A
最後にM字ハゲに関してよく聞かれる質問にお答えしていきます。
M字ハゲは育毛剤で改善できる?
育毛剤はミノキシジルが配合された発毛剤やフィナステリドやデュタステリドの飲み薬のように、髪の毛を新しく生やす効果はあまり期待できません。
成分によっては発毛が期待できるものもありますが、クリニックで一般的に使われている治療薬と比べると効果は劣ります。育毛剤だけでM字ハゲを完全に治すのは難しいでしょう。
※育毛剤についてはこちらの記事もご覧ください。
「市販の育毛剤は薄毛に効かない?本当に有効な成分やAGAへ効果とは」
女性でもM字ハゲになるの?
女性でもM字ハゲになる可能性はあります。しかし、男性とは違ってジヒドロテストステロンの影響ではなく不規則な生活やストレスによるものが多いことが特徴です。
ヘアゴムで髪の毛を縛ることが多い方は、牽引性脱毛症の可能性もあるでしょう。気になる方は早めに専門のクリニックを受診するようにしてください。
M字ハゲはAGAの可能性が高い!早めの治療が大切
M字ハゲになる原因の多くはAGAです。
ジヒドロテストステロンが髪の毛の成長を阻害することで起こります。
早い方では10代や20代からでも発症するため注意しましょう。
AGAは早く治療を始めるほど効果も出やすくなるため、気になり始めたらなるべくすぐに治療を開始するのがおすすめです。
M字型が進行してU字型にまでなった場合は、治療効果が低くなっている可能性があります。
自己判断での治療ではなく、クリニックを受診するとより効果の出やすい適切な治療を行ってもらえるため、自信を取り戻すことができるでしょう。
天野 方一 先生
ヘアテクト 顧問医師
日本抗加齢医学会専門医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
- 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
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