フィンペシアはAGAに効果がないの?薄毛改善できない原因や対処方

「フィンペシアはAGAに効果がない?」という説は本当なのでしょうか。フィンペシアの主成分はAGA治療に用いられるフィナステリドで、複数の研究で効果が証明されています。この記事ではフィンペシアが効果がないとされる理由やその安全性などについて解説していきます。

目次

「フィンペシアだけではAGAに効果がないの?」
「そもそもフィンペシアってどんな薬なの?」

薄毛が気になる方やAGA治療を検討されている方は、「フィンペシア」という名称を一度は耳にしたことがあると思います。しかし、先発医薬品ではないフィンペシアがどういった働きをするのかを明確に理解できていないケースも多いことでしょう。

フィンペシアの沿革や有効成分、使用上のリスクなどがわかれば薄毛改善の一歩を踏み出しやすくなるはずです。そこで今回は、フィンペシアの有効成分や効果、使用上の注意点などを解説します。

■ 本記事のサマリ

  • フィンペシアはAGAへの効果が期待できる薬
  • 効果が出るまでには半年程、継続して服用する必要がある
  • しかし、フィンペシアは個人輸入になるため、健康リスクや医療費が更にかかるリスクがある
  • AGA治療をする場合は、クリニック等で処方されるフィナステリドの利用を推奨

フィンペシアはAGAに効果がある薬

「フィンペシアに効果がない」という声は本当なのでしょうか。フィンペシアを評価するには、そもそもフィンペシアがどういった薬なのか、どういった作用があるのかを理解する必要があります。

まずは、フィンペシアの有効成分や効果などを見ていきましょう。

フィンペシアはフィナステリドが主成分のインドの薬

そもそもフィンペシアとはどういった薬なのでしょうか。

フィンペシアがAGAの治療に有効とされる理由は、AGAの代表的治療薬「プロペシア」と同様の有効成分「フィナステリド」が主成分として使用されているからです。

したがって、フィンペシアにはプロペシアと同等の効果が期待できるといえます。

ここで、プロペシアとフィンペシアの違いを解説しましょう。

プロペシアは米国のメルク社がAGA治療薬として開発した先発医薬品です。一方、フィンペシアはインドのシプラ社によって製造された後発医薬品(ジェネリック)です。

なお、国内に流通しているジェネリック医薬品は先発医薬品の特許期間が過ぎてから、他の製薬会社によって製造されたものですが、フィンペシアの場合プロペシアの特許が有効なうちから製造・販売された経緯があります。

フィンペシアは直接AGAの原因を抑制する

フィンペシアの有効成分であるフィナステリドは、AGAの引き金となる酸化酵素「5αリダクターゼII型」を抑制して脱毛の進行を抑える働きがあります。

AGAは主要な男性ホルモンである「テストステロン」が体内の酸化酵素5αリダクターゼと結合し、脱毛に作用する男性ホルモン「DHT」を生成することで起きます。

DHTが毛乳頭内で男性ホルモン受容体と結合して生まれるのが、毛母細胞を攻撃する脱毛因子です。
AGAを発症すると、脱毛因子の影響で髪の健全な成長が阻害され、薄毛が進行します。

5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類がありますが、AGAのほとんどはII型によって引き起こされるものです。

したがって、5αリダクターゼII型を抑制できるフィナステリドはほとんどのAGAに有効な成分と言えます。

フィンペシアの効果は多くの人が実感している

フィンペシアにはAGA改善への確かな効果が期待できます

なぜなら、前述の通りフィンペシアの主成分であるフィナステリドに薄毛改善の高い評価があるからです。

フィナステリドによるAGA治療は日本皮膚科学会のガイドラインにて最も推奨度の高い「Aランク」とされています。

フィナステリドはAGAによる薄毛の改善に用いられる最もポピュラーな有効成分なのです。

フィンペシアの効果がない人の特徴

フィナステリドを主成分としたフィンペシアに効果が感じられない場合、薬の効果が発揮されない使い方をしてしまっているのかもしれません。

以下ではフィンペシアの効果が得られない理由を解説します。

※フィナステリドの効果が出ない理由についてはこちらの記事もご覧ください。
プロペシアをやめてよかったは間違い!フィナステリドはAGAに効果的

治療を開始したばかり

フィンペシアの効果が目に見えてわかるようになるまでには3ヶ月から半年程度の期間が必要となります。

なぜなら、フィンペシアは脱毛を徐々に抑制していく薬であり、新たな髪の毛を積極的に生み出す薬ではないからです。

また新たな髪が正常なヘアサイクルに則って太く長く成長するにも、半年程度かかります。

実際、フィナステリドを有効成分としたプロペシアの添付文書には、「3ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要である」と記載されています。

フィンペシアの効果が実感できない場合、薄毛改善の効果が現れる前に服用をやめてしまっているのかもしれません。

初期脱毛への理解がない

フィンペシアを飲み始めて、抜け毛が増えてしまったという声があります。

しかしこの初期脱毛はフィンペシアの副作用ではなく、症状の改善過程に起こる一時の不調にすぎません。

フィナステリドの作用でヘアサイクルが正常になると、毛根では新たな髪が生まれる環境が整っていきます。
この正常な代謝過程で今ある弱った毛髪は毛根からどんどん頭皮表面に押し上げられていき、抜け毛として抜け落ちていきます。
しかし、抜けた毛の下には新しく育っている髪がいる証拠ですので、むしろ効果が出ているものと考え、服用を継続することをお勧めします。

ヘアサイクルの正常化に伴うこの脱毛を「初期脱毛」と呼びます。

初期脱毛への理解がなければフィンペシアの効果を副作用と勘違いし、効果が得られないまま服用をやめてしまうこともあるでしょう。

用法用量が守られていない

フィンペシアに限らず、どのような薬でも用法用量が守られていないと十分な効果を発揮できません。

例えば服用時間の間隔にばらつきがあれば、薬剤の血中濃度にムラが生じてしまいます。血中濃度のムラは、薬の効果の出にくさに繋がります。

また、症状が改善したからと油断して飲むのをやめてしまえば、頭髪の状態が元に戻ってしまう場合もあるでしょう。

その他、過剰な摂取も効果の増強につながらず、かえって副作用のリスクを高めてしまう恐れがあります。

プロペシアの添付文書には、「増量による効果の増強は、確認されていない」と記されています。

フィンペシアの効果を得るには必ず規定の用法用量を守りましょう。

薄毛の原因がAGA以外

フィンペシアはAGAに特化した薄毛治療薬なので、薄毛の原因がAGA以外である場合、効果が得られません。

薄毛の原因の多くはAGAと言われていますが、実はそれ以外にも薄毛の原因はさまざまです。

例えば、円形脱毛症は自己免疫疾患によって引き起こされ、粃糠性脱毛症・脂漏性脱毛症などは生活習慣の乱れや誤ったヘアケアなどが原因で発症します。

AGA以外の脱毛症には、5aリダクターゼを抑制しても薄毛の改善はできません。フィンペシアを使用する前に、まずは薄毛の原因を正確に突き止める必要があるのです。

しかし、自分で薄毛の原因を特定するのは難しい場合もあります。

もしかしてAGAかも?と疑われたタイミングで、まずはクリニック等専門家の無料相談を受けることをお勧めします。

※AGA以外の薄毛についてはこちらの記事もご覧ください。
薄毛・抜け毛の原因はAGA以外にもある?脱毛症の種類や症状

フィンペシアの効果が得られやすい人の特徴

フィンペシアは効果がないと言う人がいる一方で、確かな効果を実感している方は多くいます。ここでは、フィンペシアで効果を得られている方の特徴について確認していきましょう。

AGAの治療を早く始めた

フィンペシアの効果は早期からAGA治療を始めた場合に実感しやすくなります。
逆に言うと、AGAが重症化した状態では、薄毛改善の効果が得られるまでに多くの時間を要してしまうのです。

発症すると生涯進行し続けるAGAは、薄毛が気になり始めた段階で治療を始めるのがベストです。

薄毛の規模が小さかったり脱毛の進行が緩やかだったりする場合、複数の治療法を掛け合わせることなく、フィンペシアの服用だけで脱毛を食い止められるケースもあるでしょう。

用法用量を正しく守っている

フィンペシアの効果を最大限に得るには定められた用法と用量を守ることが大切です。

フィナステリドは過剰に飲んだからといって効果が強まるわけではありません。また、日によって飲んだり飲まなかったりしても十分な効果を得られなくなります。

フィンペシアの血中濃度を一定に保つためにも、毎日の服用タイミングを決め、飲み忘れのないように心がけることが大切です。服用を食後や就寝前などに決めておくと、無理なく続けやすくなります。

ミノキシジルを併用している

フィンペシアはミノキシジル外用薬と併用することで薄毛改善の効果が増強されます。

先にお伝えしたように、フィンペシアには発毛を積極的に促す作用がありません。そこで、血管を拡張させ血流を促進することで発毛を促すミノキシジル外用薬を併用すると、脱毛を抑えながら同時に発毛も促せるのです。

ミノキシジルを配合した発毛剤は医師からの処方の他、市販でも手に入ります。

またフィナステリドとミノキシジルの併用はクリニックでも推奨される治療方法です。
ある程度薄毛が進行してしまっている場合でも、フィンペシアとミノキシジルを併用して用いれば確かな薄毛改善の効果を得られる可能性が高いです。

頭髪に良い生活を心がけている

フィンペシアの効果を最大限にするには土台となる頭皮環境を整えておく必要があります。

フィナステリドの作用でAGAの引き金となる酸化酵素が抑えられても、血行不良や栄養不足、誤ったヘアケアなどがあればその治療効果が出にくくなってしまう恐れがあります。

あくまでフィンペシアなどAGA治療の補助的な役割にはなるものの、真剣に薄毛の改善と向き合うのであれば、髪に良い習慣を徹底する必要があるでしょう。

以下の項目は髪に必要な栄養を滞りなく補ったり頭皮への負担を減らしたりする上で大切です。

  • 規則正しい生活で睡眠の質を高める
  • タンパク質を中心としたバランスの良い食生活を心がける
  • ストレスを解消したりストレス耐性を高めたりする
  • 整髪剤の頭皮への付着を避ける
  • 低刺激シャンプーを使用する

頭髪に良い生活習慣はフィンペシアの効果をサポートし、薄毛の改善がより目指しやすくなるでしょう。

フィンペシアは国内未承認薬
使用には注意が必要

フィンペシアにはAGA治療に有効な成分として知られるフィナステリドが使用されている反面、入手方法が限られている上、使用にリスクを伴うデメリットが存在します。

そこで、以下ではフィンペシアの使用に注意が必要な理由と具体的なリスクを見ていきましょう。

フィンペシアは国内では未承認

フィンペシアの使用に注意が必要な理由は、フィンペシアが厚生労働省からの認可を得ていない点にあります。

フィンペシアはインドのシプラ社によってプロペシアの特許が切れる前から販売され続けてきました。

インドで先発医薬品の特許が有効なうちから模倣製造できた理由には、2005年にインドの特許法が改正されるまでは物質特許の概念がなかったことにあります。
つまり、先発医薬品を開発した会社に費用を支払いさえすれば、適法行為として同成分の薬剤を製造・販売できてしまっていたのです。

フィンペシアはインド独自の法律のもと製造された経緯があるため、日本国内ではプロペシアの特許期間が過ぎた現在もフィンペシアを未承認薬に位置付けたままです。

したがってほとんどのクリニックではフィンペシアの取り扱いがなく、入手するにはさまざまなリスクを伴う個人輸入しか方法がありません。

「医師処方」のフィナステリドを推奨

国内未承認のフィンペシアを個人輸入するには次のリスクが伴います。

  • 偽造された医薬品である可能性がある
  • 自分に合った服用の仕方がわからない
  • 医薬品副作用被害救済制度が受けられな

個人輸入で取り入れた医薬品には、偽造医薬品が紛れている可能性があります。実際、大手製薬会社による調査ではインターネットで購入したED薬のうち約4割が偽造品でした。

偽造品の中には、有効成分が全く入っていないものや、逆に過剰に薬が入っていたり、異なる成分が入っていたりします。その結果、折角購入したのに効果が全く出なかったり、逆に健康被害が出てしまったりするリスクがあるのです。

また、個人輸入した薬では服用について医師からのアドバイスが受けられなかったり、「医薬品副作用被害救済制度」の対象外になったりするデメリットもあります。医薬品副作用被害救済制度とは規定の方法で薬剤を使用したにもかかわらず副作用が生じた場合に給付金を受け取れる制度です。

個人輸入をすると安価に薬を入手できる、と思われがちですが、結果的に支払ったお金が無駄になったり、逆に副作用の治療費にお金がかかる可能性も否定できません。

フィンペシアには薄毛改善の効果がありますが、国内未承認薬であるが故、個人での入手はおすすめできません。

フィナステリドをAGA治療に取り入れたい場合、クリニックなどで医師が安全性を確認して処方している薬の選択をおすすめします。

*1 ファイザー株式会社, バイエル株式会社, 日本新薬株式会社, 日本イーライリリー株式会社『インターネットで入手したED治療薬の約4割が偽造品

フィナステリドの副作用は1%程度

フィナステリドには副作用があることも考慮しておきましょう。フィナステリドの服用で起こりうる可能性がある主な副作用は以下のとおりです。

  • リビドー減退
  • 勃起機能不全
  • 射精障害
  • 精液量減少

ただし、これらの副作用が起こる確率は極めて低い傾向にあります。 実際、フィナステリドを利用した複数の研究でも、長期間治療中に発生した副作用は全て軽度で、かつ一過性のものだったことが報告されています。

  • 10年間、532名を対象に治療したが、副作用は全て一過性で軽度であった*¹
  • 5年間、903名を対象に治療したが、副作用は軽度で、全例が継続治療をした*²

*1:M. Yanagisawa et al. Long-term (10-year) efficacy of finasteride in 523 Japanese men with androgenetic alopecia. Jan 2019
*2: 吉竹 俊裕.「日本人の男性型脱毛症に対するフィナステリド長期投与の801例調査」 より引用

また、ヘアテクトで治療されている患者様2,452人を対象に調査したデータでも同様の傾向が見られています。

副作用が出た方のうち91%は症状が軽度で継続服用することを患者様が判断されていました。更に、副作用で治療を完全に中断されたのは7名(0.3%)で、いずれも服用中止後症状が改善したとの報告を受けています。

どの医薬品にも副作用の可能性があるものです。

副作用の確率が1%程度である事実を考慮すると、フィナステリドの副作用に神経質になる必要はないでしょう。

また、もしクリニックで適切にフィナステリドの処方を受けている場合は、万が一服用後に不調が出ても、医師に相談して薬の減量や中断を検討できます。

フィンペシアは効果がないわけではないが使用は避けるべき

フィンペシアはフィナステリドを有効成分としているため、プロペシアと同様に5aリダクターゼを抑制して脱毛を防ぐ作用があります。

しかし、フィンペシアは厚生労働省から認可されておらず、国内のクリニックでは取り扱われていないのが現状です。

フィンペシアの入手はインターネットなどを通じた個人輸入に限られますが、個人輸入にはさまざまなリスクが伴うためおすすめできません。
AGAによる薄毛の改善を目指したい場合、厚生労働省から認められたフィナステリド錠をクリニックにて処方してもらいましょう。

天野 方一 先生

ヘアテクト 顧問医師

日本抗加齢医学会専門医

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2021年よりへアテクト顧問、2022年より理事長に就任。日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

  • 本記事はHAIRTECTスタッフが天野医師にインタビューを実施し、スタッフが内容をまとめたものとなります。
  • 本記事の内容は公開日時点の情報となります。 情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

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